矯正歯科

光加速装置で矯正期間を短縮する仕組みとは?

光加速装置で矯正期間を短縮する仕組みとは?

歯の矯正治療をしていると、多くの患者さんが「治療を早く終わらせたい」とおっしゃいます。矯正治療の期間を短縮する方法はいくつかありますが、ここでは「光加速装置」という最新の技術についてご紹介します。

光加速装置とは何か?

PBMヒーリング

PBMヒーリングはドイツで設計開発された装置で、LEDによる近赤外線(850nm)ライトが骨や神経、皮膚の活性化を起こして歯の動きを加速させます。光加速装置のマウスピースの部分をお口の中に装着し、近赤外線を歯茎に照射します。これにより、歯を支える骨の代謝が促進され、歯の動きが早まります。

これにより、通常は2~3年の治療期間がかかる矯正治療を最大50~66%短縮することが可能です。(治療期間には個人差があります)

光加速装置「PBMヒーリング」について

PBMヒーリング

当院で取り扱っている「PBMヒーリング」という名称の光加速装置についてご紹介します。

PBMヒーリングは、光治療によって生体の機能を調節し、治療をサポートするという手法です。これは、特定の波長の光を患部に照射することで、組織の再生や修復、炎症の抑制などの効果を得る方法です。

仕組み

PBMヒーリングは低光量の近赤外線ライトを照射することで細胞を刺激し、様々な生物学的反応を引き起こします。歯茎に照射すると歯周組織の活性化を促進し、矯正治療によって骨が吸収、再構築をする骨のリモデリングのサイクルを早め、治療期間を短縮することができます。

矯正治療への応用

歯科矯正治療では、PBMヒーリングが以下のような形で活用されています。

骨の代謝促進

矯正治療で歯を動かすためには、骨が溶けて新しい位置で再形成されることを繰り返す必要があります。PBMヒーリングは、骨細胞の代謝を活発化させ、骨の再形成を促進することで歯の移動をスムーズにし、矯正期間を短縮する効果があります。

痛みの軽減

PBMヒーリングは、照射された光が細胞の炎症反応を抑制する効果があり、矯正治療に伴う痛みや不快感を軽減するのにも役立ちます。

PBMヒーリングのメリット・デメリット

メリット

PBMヒーリングの主なメリットは、以下のようなものです。

  • 矯正治療期間を短縮・・インビザラインでのマウスピース交換のタイミングは一般的に7~10日程度ですが、PBMヒーリングを使用することで、3~4日程度で交換が可能になります。全体の治療期間は半分程度になる場合もあります。(※どこ程度短縮出来るかは個人差があります。)
  • 痛みや炎症の軽減・・PBMヒーリングで低光量の近赤外線を歯茎に照射すると、炎症を抑制し、痛みを軽減する働きがあります。新しいマウスピースを装着してすぐは締め付けられるような違和感や痛みを感じることがありますが、それらが軽減されます。
  • 自宅で好きな時間に使用・・PBMヒーリングの使用は1日8分間(上下顎各4分ずつ)装置を装着するだけです。お好きな時間に使用しましょう。

デメリット

一方で、PBMヒーリングには以下のようなデメリットもあります:

  • 費用・・PBMヒーリングを行うためには装置の購入が必要であるため、経済的な負担があります。
  • 手間・・治療にはマウスピース型の装置を上下の歯にそれぞれ4分ずつ装着する必要があり、1回あたり最低8分かかります。しかし、アプリなどで装着を管理することで効果的に使用することができます。

赤外線の役割とは?

赤外線は波長が長く、骨まで届くため、骨の代謝を上げるのに役立ちます。骨の代謝が活性化されると、骨細胞の再生と分解のサイクルが早くなり、歯の移動を助けます。矯正治療での歯の移動は、骨を溶かす細胞(破骨細胞)が骨を溶かし、歯の根が移動することによって起こります。このサイクルを早めることで矯正期間が短縮されます。

PBMヒーリングによって治療はどのくらい早くなるのか?

インビザラインは7日程度でマウスピースを交換して段階的に歯を動かしていきますが、光加速矯正装置「PBMヒーリング」を使用すれば、4日程度でマウスピースの交換が可能になります。

マウスピースの交換が速くなるため、通常は2~3年の治療期間がかかる矯正治療を最大50~66%短縮することが可能です。(治療期間には個人差があります)

【動画】【早く治せる】矯正期間を短縮する光加速装置の仕組み

光加速装置で矯正期間を短縮する仕組みに関するQ&A

光加速装置「PBMヒーリング」はどのようにして歯の動きを加速させるのですか?

PBMヒーリング装置は、LEDによる近赤外線を歯茎に照射することで、骨の代謝を活性化させます。これにより、矯正治療に必要な骨のリモデリング、つまり骨の吸収と再構築が加速され、結果的に歯の移動を早めることが可能となります。

PBMヒーリングの使用による治療期間の短縮は具体的にどの程度ですか?

PBMヒーリングを使用することで、通常の矯正治療期間が最大で50~66%短縮される可能性があります。例えば、通常2~3年かかる治療が、PBMヒーリングの助けを借りて1年未満で完了することもありますが、具体的な期間は個人の状態により異なります。

PBMヒーリングの照射に使われる近赤外線の波長は何nmですか?

PBMヒーリングで使用される近赤外線の波長は850nmです。この特定の波長が骨や歯茎の組織を刺激し、細胞の代謝プロセスを活性化させるのに適しています。

まとめ

光加速装置は、歯列矯正の治療期間を短縮するために有効な装置で、痛みの軽減にも効果があります。費用や毎日の手間の問題はありますが、早く治療を終わらせたい方や、痛みを軽減したい方にはおすすめの方法です。

当院で矯正治療を受けておられる患者さんにのみ販売させていただいておりますので、興味のある方はぜひ検討してみてください。

光加速装置が矯正期間を短縮する仕組みは以下のように説明されています。

1. [Ojima et al., 2016]によると、光加速装置(Photobiomodulation)は、低出力のLED光を使い、骨の代謝を促進します。これにより、骨の再構築が早まり、歯の移動速度が向上します。その結果、矯正期間の短縮が可能になります。

2. [Fulsundar et al., 2018]は、Photobiomodulationが低出力の赤外線や赤色光を用いて、骨のリモデリング(再構築)速度を向上させることを示しています。これにより、歯の動きが加速され、矯正治療にかかる時間が短縮されます。

結論として、光加速装置は低出力の光エネルギーを用いて骨のリモデリングを促進し、歯の動きを加速することで矯正期間の短縮に寄与します。

この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

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