インプラントをやらなきゃよかったとならないためには、どのようなポイントを重視すればよいのでしょうか。後悔しがちな点や、治療の仕組みや注意点、後悔しないために詳しくご紹介いたします。
インプラントをやらなきゃよかったとなる原因
後悔する原因を挙げていきます。
手術が失敗してしまった
- 顎骨に穴を開けるドリルの熱を逃がす注水がうまくいかなかった
- インプラントを埋め込む角度や位置、深さが不適切だった
- 顎に固定できなかった
これらはインプラント体(人工歯根)を埋入する際の失敗による後悔です。
術後のトラブルでダメになった
- 治療後のケアが不十分で歯周病のようなインプラント周囲炎になった
- 上部構造が咬合力や設計ミスなどにより破損してしまった
- 手術を終えてから何日も経っているのに痛みが引かず感染症になった
術前の噛み合わせの確認不足や、術中の衛生、術後のケアが不十分だったことによる後悔です。
歯科医師の選択を誤った
- カウンセリングで確認したいことがあったけど質問させてもらえなかった
- 治療計画について説明が不十分だった
- 細菌感染(歯周病や虫歯)を先に治療せずにインプラントをして感染症になった
知識や症例は豊富でも質問しにくい雰囲気、反対に知識や経験が不十分な歯科医師であったことによる後悔です。
インプラントの基本的な仕組みと魅力
インプラントは、歯を失った部分に人工歯根(フィクスチャー・インプラント体)を埋め込み、骨と接着後に連結部分(アバットメント)を入れ、その上に人工歯(上部構造)を被せる義歯治療です。
インプラント治療のメリット
では、この治療におけるメリットを挙げましょう。
自然な見た目
周囲の天然歯と調和する色合いです。入れ歯のような金属が目立たないため、口元の審美性において違和感のない仕上がりになります。
高い耐久性や他の歯へ影響がない
インプラント治療は、適切なメンテナンスを行っていれば、10年以上使い続けることが可能です。他の義歯治療は残存歯を支台歯にするため、特定の歯にダメージがかかりますが、この治療は自立して咀嚼するため、残存歯に影響が出ません。
咀嚼力の回復
人工歯根は骨と結合して自立しているため、噛む力は入れ歯と比べて安定しています。天然歯と変わらなくしっかりと噛め、外れる心配がないため、食事や会話を不安なく楽しめます。入れ歯は咀嚼の刺激が伝達できず、顎の骨が薄くなり他の歯へも影響が出ますが、インプラントの場合はそれがありません。
インプラント治療のデメリット
反対にデメリットを挙げましょう。
治療費の高さ
入れ歯やブリッジは保険適用の治療もありますが、インプラントは保険適用外のケースがほとんどです。そのため、費用が予想以上に高額になることがあります。
治療期間が長い
顎骨にインプラントを埋め込むため、骨の状態によっては数ヶ月から1年以上の治療期間を要することがあります。
術後のトラブルがつらい
手術後に下記のような状態になることがあります。
痛みや腫れが続いている
術後の痛みは通常約2~3日で引きますが、手術した部分が細菌感染を引き起こすと約2週間くらい痛みが続くことがあります。出血や膿が出た場合は、すぐに歯科医院へ相談しましょう。
インプラント周囲炎になってしまった
インプラント周囲炎とは、健康な状態でいう歯周病のような状態です。人工歯は虫歯になりにくいですが周囲に汚れが溜まり、歯茎が感染すると、発症します。歯茎がどんどん退縮すると、インプラントは動揺や脱落のリスクが高まります。
インプラントが定着しない
埋入する位置と深さに僅かにずれがあると、定着しないケースがあります。
歯科医師の技術不足
経験不足の医師による施術を受けると、安全性や仕上がりにトラブルが生じる場合があります。骨量が足りなかったり、角度を誤ったりするミス以外に、ドリルの熱で骨がダメージを受けるオーバーヒートというトラブルが考えられます。
メンテナンスが負担で怠った
定期的なクリーニングやメンテナンスを負担に感じて怠ると、インプラントの動揺や脱落を招きかねません。再度の治療か、他の義歯治療が必要となってしまい、費用や時間がかかる場合があります。
インプラント治療前の準備
治療を検討する際には、事前の準備が非常に大切です。やらなきゃよかったという思いを防ぐためにも、治療の成功率を高めなければなりません。
信頼できる歯科医院を選ぶ
歯科医院をどんな基準で選んだら良いのかまとめてみました。
多くの治療実績がある
インプラントの治療実績を積んでいるか、複雑な症例も経験しているのかなど知ることは重要です。医院の公式ページに掲載されていることが多いので、確認してみましょう。症例経験が少ないと、手術の際に何かトラブルが起きた場合、対処しきれない可能性があります。その点でも一般歯科や専門的知識、治療実績が豊富かどうかというのはとても大切です。
カウンセリングや検査がきっちりしている
カウンセリングを受診した際に、患者さんご自身のお悩みをきちんと聞いてくれる姿勢か見ましょう。聞く姿勢のみではなく、詳しく説明を行ってくれるか、不安材料に答えてくれるかという点もチェックしてください。院内の歯科用CTなどで検査を行え、顎の骨の状態(高さ、骨の質、量)や、血管、神経、歯の位置などを正確に診断し説明できる医院にしましょう。
品質の良いインプラントを取り扱っている
インプラントには種類があり、メーカーも様々ですが、相場よりかなり安く治療が行えるというクリニックがあった場合、どこのメーカーのものを使用しているか聞きましょう。安全性が高く、品質の良いものを使用しなければ、身体への影響も懸念されるからです。ストローマン、ノーベルバイオケア、アストラテックなどは安心して使用できます。当院では、ストローマングループのより低価格で、骨への初期固定が高いレベルで出来るネオデントインプラントも取り扱っております。
設備の整った医院である
患者さんの負担が少なくインプラント治療ができるかという点です。先述した歯科用CTやレントゲン以外に、サージカルガイドで治療を行えるのかというポイントも大事です。また、外来環という表記がある歯科医院は、厚生労働省の基準を満たした人員や設備が整っています。AED、酸素ボンベ、パルスオキシメーターなども備わっているため、万が一トラブルが起きても迅速に処置できます。
費用が明確で相場である
高い費用がかかる治療で、支払いが不透明であるととても不安です。治療を始める前に、きちんと費用について説明があり、明確な支払方法を教えてもらえる医院にしましょう。
治療後も同じ医院に通ってメンテナンスできる
治療後は別の医院でメンテナンスとなると、気にかけてほしい点などがあれば最初から説明しなければなりません。治療を行った医院で定期的にメンテナンスが受けられると、通いやすいです。
通いやすく話しやすい雰囲気である
治療中はもちろん、治療後もある程度通院をしなければなりません。ご自身に無理のない診療時間か、通いやすい立地かどうかという点も重視しましょう。
生活習慣を変える必要があることも
治療前にすべきこととして、服用する薬や持病があるかどうかをインプラントの担当医に伝えましょう。服用中の薬があれば一旦止めてもいいか、かかりつけの医師に許可をとることが大切です。許可が下りなければそれ以外の治療法を考えなければなりません。またアルコールの摂取や喫煙習慣がある方は、どれくらいの期間断酒や禁煙しなければならないか確認してください。
インプラント治療中の注意
治療中は、インプラントを安全に定着させるため、以下の点に注意する必要があります。
指示された食事制限を守る
治療後しばらくは硬い食べ物、粘着性の高い食べ物、刺激物を避けることをおすすめされます。ハードパンやナッツ、キャラメルやお餅、唐辛子などの香辛料は避けておきましょう。
感染予防を徹底する
歯磨きやうがいをしっかり行い、口腔内を清潔に保ってください。また、術後に処方された抗生物質の服用はきちんと飲み切り、口腔ケア用品を活用しましょう。手術直後は、歯ブラシの毛先を手術した部分に当てて刺激しないように注意してください。
定期的に診察を受ける
術後の経過を確認するため、指定されたスケジュールで歯科医院を訪れましょう。
無理をしない
痛みや違和感、腫れを感じた場合は、我慢せずすぐに相談し、歯科医院で対処を受けましょう。
インプラント後のケアと後悔を防ぐためのポイント
治療後のケア次第で長期的な満足度が変わります。
インプラント後のケア方法
これから挙げるアフターケアを実践し、トラブルを防ぎましょう。
毎日の口腔ケアを徹底する
柔らかめの歯ブラシか、もしくは超音波歯ブラシを使い、細かく丁寧に磨きましょう。タフトブラシでインプラントと歯肉の境目の汚れを除去し、デンタルフロスや歯間ブラシで歯間やインプラントと歯の間の汚れを除去してください。
定期的な歯科検診を受ける
3〜6ヶ月ごとに検診やクリーニングでメンテナンスへ通院し、インプラントの状態をチェックしてもらいましょう。
生活習慣を見直す
喫煙は血液の流れを悪くしてしまい、インプラント周囲炎のリスクを高めるため、禁煙が望ましいです。アルコールの利尿作用も同様です。また、バランスの取れた食事を摂り、口腔内の環境を健康に保ちましょう。
まとめ
インプラント治療は、見た目や機能性の面で大きなメリットがありますが、費用やメンテナンスの負担やデメリットも伴います。「やらなきゃよかった」と後悔しないためには、信頼できる医師のもとで治療を受け、適切なケアを継続することが重要です。準備はしっかり行い、医院選択は慎重に行いましょう。