虫歯はあるけど痛くない場合があります。なぜ虫歯なのに痛くないかという理由や、虫歯ができるまでご紹介します。
痛くない虫歯とは?
虫歯なのに痛くないというケースはどのようなものでしょうか。大きく分けて三つあります。
1. 初期の虫歯である(C0)
白いエナメル質に濁った白い点があるのが初期むし歯です。まだエナメル質が少し溶けかかっている状態で、痛みなどの症状がなく、気づくことはありません。
2. 神経が死んだ状態の虫歯である(C3)
象牙質に進行した虫歯は自覚症状があり、また、歯髄にまで達すると、痛みは激しくなります。神経が死んでしまうと、痛みを感じなくなるため、痛みが消失します。
3. 神経のない歯が二次虫歯になる
虫歯治療により、神経を抜いた(抜髄)歯には、根管治療を行い、薬剤を充填し、しっかりと被せ物で蓋をします。特に、保険適用の銀の被せ物は経年劣化を起こしやすく、被せ物と歯や歯茎に隙間が生じます。虫歯菌が隙間から入り込み、被せものの下で進行すると、歯の表面も見えず確認ができません。抜髄しているため、痛みを感じることがなく、自覚のないまま虫歯を悪化させてしまいます。
虫歯になるまで
そもそも虫歯はどのような流れで引き起こされるのか、簡単にご案内します。一般的にむし歯と呼ばれますが、専門的にはう蝕(うしょく)と呼びます。
- 食事の際の食べ物や飲み物の汚れや食べかすが歯の表面や歯間に付着
- 歯垢(プラーク)に潜む嫌気性菌の虫歯菌(ミュータンス菌)が、食べかすを餌に酸を生成
- 時間の経過とともにお口の中が酸性に傾き、歯の表面に酸が付着する
- CO・酸が付着した歯は脱灰を起こしてしまい、エナメル質が脱灰し白濁する
- C1・初期むし歯の状態で再石灰できなければ、エナメル質の脱灰は進行し、歯に小さな穴が開き変色する
- C2・象牙質にまで細菌が進行すると、しみる・痛むなどの自覚症状を引き起こす
- C3・更に神経(歯髄)に進行すると、神経が死ぬため、放置しておくと歯の変色になる
- C4・重度の状態になると膿やひどい口臭が発生し、歯が抜ける
むし歯で歯が抜けると、噛む刺激が脳に伝達できず、抜歯になった部分の顎骨(あごの骨)が痩せてしまい、隣接する歯がグラグラするなど健康を脅かすリスクにしかなりません。そのため、入れ歯・ブリッジ・インプラントなどの義歯治療が必要となります。
歯の構造
口腔内に露出している部分は、人体の中で最も硬い組織と言われるエナメル質です。その内側に象牙質があり、象牙質の上部はエナメル質、下部は歯肉で覆われています。象牙質には象牙細管が多く走っており、お口の中の刺激や食べ物の温度を歯髄に伝達します。そのため、虫歯による痛みを更に内部の神経(歯髄)に伝え、歯が痛むというトラブルになります。
虫歯の進行を止めるには
まず、下記のような症状や状態ならば、できるだけ早めに歯科医院へ通院し、歯科医師に診察してもらいましょう。
- 歯に小さな変色がある
- 飲み物や食べ物を食べると染みる
- 噛んだ時に少し違和感がある
- 被せ物・詰め物が外れやすくなった
- デンタルフロスが引っ掛かりやすい
虫歯と診断されたら、早めに治療を開始しましょう。放置すると虫歯菌の感染を拡大させて悪化してしまいます。
虫歯の進行を止めるのに必要なのは治療のみ
歯医者さんでしっかりとむし歯菌により汚染された部分を削って除去してもらい、詰め物(インレー)・被せ物(クラウン)できちんと覆うことが大切です。自費治療の材料にするか、保険適用内の材料で治療するかによって、費用や審美性は大きく異なります。
保険適用内の詰め物・被せ物
すべて保険適用内で治療が可能なため、費用は安い
●コンポジットレジン(CR・歯科用プラスチック)
前歯や小さな部分に適用可能で入れた瞬間はきれいに見える
吸水性があるという特徴により、茶色く変色する
●銀合金
奥歯にも適用可能で強度はあるが、金属のアレルギーをお持ちの方には使用できない
審美性に欠ける点・唾液により銀はイオン化し、体内に溜まる点・年月が経過すると二次むし歯になりやすいのがデメリット
保険適用外の詰め物・被せ物
保険適用外で自由診療となるため、費用は高い
●セラミック(オールセラミック・セラミックインレー)
天然の歯と比べても変わらない審美性があり、陶器と同じ材質のため変色を起こさず、健康上の面でも安心して使用できる
食いしばりや歯ぎしりの癖がある方には割れる可能性があるためおすすめできない
●ジルコニアセラミック
奥歯にも使用可能な強度を保ち、また変色を起こさない
●金合金
噛むための強度は高いが、金に関しては金属イオン化は起きにくい物質
金の色が目立つため、審美性は低い
虫歯なのに痛くない理由に関するQ&A
虫歯が痛む理由は、歯の構造にあります。歯の表面には硬いエナメル質があり、その内側に象牙質と歯髄があります。虫歯による痛みは、神経まで進行した場合に起こります。しかし、痛みがない場合もあります。痛くない場合の主な理由は、以下の3つです。
1.初期の虫歯ではエナメル質がわずかに溶けかかっており、痛みを感じないことがある
2.虫歯が進行して神経が死んだ状態では、痛みを感じなくなる
3.神経のない歯に進行した場合は、痛みを感じることがなくなる
初期の虫歯は、エナメル質に濁った白い点が現れる状態です。エナメル質が少し溶けかかっており、痛みなどの自覚症状はなく、気づきにくいです。
神経が死んだ状態の虫歯は、象牙質に進行した虫歯で、自覚症状があります。しかし、神経が死んでしまうと痛みを感じなくなるため、痛みが消失します。
まとめ
虫歯の予防に欠かせないのは、セルフケアとプロのケアです。
- セルフケアは、食後に歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスによる歯磨き
- プロのケアは、クリニックへ定期的に通院して、メインテナンス(歯石や歯垢をクリーニングで除去)
医院での定期検診を受けると歯の健康や予防に繋がり、歯周組織や虫歯を早期の段階で発見できるため、すぐに対処が可能となります。小児歯科や予防歯科のある医院で小さな年齢の頃から定期的に通院し、強い健康な歯や歯肉を保つようにしましょう。