多くの歯を失った場合、従来のインプラント治療では時間と費用がかかってしまうため、オールオン4が検討されることがあります。この治療法は、少ない本数のインプラントで全ての歯を支えることができるため、治療期間や費用を抑えつつ、快適な生活を取り戻すことが可能です。ここでは、オールオン4の構造の仕組みや入れ歯との違い、さらに具体的な治療の流れについて詳しく解説していきます。
オールオン4とは?
オールオン4(All-on-4)は、歯を失った方に対して、4本のインプラントで全ての歯(上部構造)を支える治療方法です。従来の入れ歯や歯の本数分のインプラントを使用する方法とは異なり、少ないインプラントで効率的に多くの歯を作っていく術式で、即日で仮歯が入ることと、治療期間や費用が抑えられることが特徴です。
オールオン4の構造の仕組み
オールオン4は、次のような仕組みで機能します。
4本のインプラント
前歯と奥歯に2本ずつ、計4本のインプラントを埋め込みます。骨質や骨量が足りない場合は6本のインプラントが必要になります。
12本の人工歯のついた上部構造
インプラントに固定される上部構造は歯茎がついた形になっており、12本の人工歯が設置されています。歯茎の部分がついているのは、歯が1本もない状態に設置するための審美性や機能性のためです。
骨と強固に結合する
インプラントは骨と直接結合する性質をもっており、これをオッセオインテグレーションといいます。そのため骨の中にしっかりと固定され、天然歯と同様に良く噛めるようになります。
斜めにインプラントを埋入する
奥歯のインプラントは斜めに埋め込まれることが多く、これにより通常のインプラント治療では骨量が足りないケースでも骨移植が不要になり、噛む際の力の分散が効率的に行われます。
オールオン4と入れ歯との違い
オールオン4と従来の入れ歯にはいくつかの違いがあります:
- 固定式 vs. 取り外し式・・オールオン4は固定式であり、入れ歯は取り外し式です。
- 大きさ・・上顎用の入れ歯は口腔内を広範囲に覆いますが、上顎用のオールオン4は口蓋の部分がないため、快適性が増します。
- 会話と食事・・オールオン4は固定されているため、入れ歯に比べて会話や食事がしやすくなります。
- 安定性・・入れ歯はずれやすいことがありますが、オールオン4はネジ止めされているため、非常に安定しています。
オールオン4の利点と欠点
利点
- 治療期間が短い・・従来のインプラント治療に比べて埋入本数が少ないことと、即時加重で行うため、短期間で完了します。
- 費用が抑えられる・・少ないインプラントで済むため、コストが削減されます。
- 骨移植が不要・・斜めにインプラントを埋め込むことで、骨移植が不要になります。
- 快適な装着感・・固定式で上顎の上部構造が小型なので、違和感が少なく快適です。
欠点
- 適応が限定される・・すべての患者さんに適しているわけではなく、骨の状態などにより適応が制限されます。
- 手術が必要・・インプラントの埋め込みは外科手術であり、リスクが伴います。全身の健康状態によってはインプラント手術が受けられない方もおられます。
オールオン4が適している方とは?
オールオン4が適している方は次のようなケースです。
- 既に多くの歯を失っている方・・部分的にではなく、全体的に歯を失っている方に最適です。
- 入れ歯に不満がある方・・入れ歯の不安定さや違和感に悩んでいる方に向いています。
- 健康な骨がある方・・インプラントを支えるための十分な骨量がある方が対象です。
- なるべく早く噛めるようになりたい方・・治療期間をなるべく短くして出来るだけ短期間で噛めるようになり、社会生活や仕事への影響を最小限にしたい方に向いています。
オールオン4の治療の流れ
オールオン4の治療は次のような流れで進行します。
1. カウンセリングと診断
患者さんのお口の状態を評価し、オールオン4が適しているかを確認します。
2. 治療計画の作成
CTスキャンなどを用いて、インプラントの埋め込み位置を決定します。
3. インプラント手術
前歯と奥歯にインプラントを埋め込みます。この手術は局所麻酔で行われます。必要に応じて静脈内鎮静を併用します。
4. 仮歯の装着
手術当日に仮歯を装着することが多く、即日で機能を回復します。
5. 上部構造の装着
数ヶ月後、インプラントが骨と結合した後に最終的な上部構造を装着します。
まとめ
オールオン4は、少ない本数のインプラントで効率的に12本の人工歯を支えることができる治療方法です。従来の入れ歯や多くのインプラントを使用する方法と比較して、治療期間や費用を抑えられるだけでなく、快適な装着感も得られます。