矯正歯科

インビザラインに向く人と向かない人とは?

インビザラインに向く人と向かない人とは?

インビザラインは、近年ますます人気を集める歯列矯正の一つです。透明で目立たない装置として、特に大人の患者さんや見た目を気にする方に好まれています。しかし、インビザラインが全ての患者さんに向いているわけではありません。インビザラインに向いている人と向かない人の特徴、どのような基準で選択すべきかなどについてご説明します。

インビザラインとは?

インビザライン

インビザラインは、透明で取り外し可能なマウスピース型の歯列矯正装置です。従来のワイヤー矯正とは異なり、目立たず、食事や歯磨きの際には外していつも通り行えるのが特徴です。

アライナー(マウスピース)は、患者さんの歯列に合わせて個別に作成され、10日~2週間程度で次のマウスピースに付け替えて段階的に歯を移動させていきます。治療期間中は2ヶ月に1回程度の通院が必要になります。

インビザラインに向く人の特徴

1. 軽度から中程度の不正咬合

インビザラインは、軽度から中程度の歯並びの乱れに適しています。例えば、歯が少しだけ重なっている「叢生」や、軽い出っ歯(上顎前突)、隙間がある歯(空隙歯列)などは十分に改善が見込まれます。

これらの症状は、段階的に歯を移動させるインビザラインによって矯正が可能です。さらに、部分矯正にも対応しているため、全体的な歯列矯正ではなく、特定の歯だけを矯正したい患者さんにも適しています。

2. 目立たない矯正を希望する人

インビザラインの透明なマウスピースは、従来のワイヤー矯正と比べて非常に目立たないため、職場や学校で矯正器具を見られたくないという患者さんに向いています。

特に接客業や営業職、セミナー講師など、他者と接する機会が多い職業の人に向いています。また、結婚式や大切なイベントがある場合にも、目立たない矯正治療を希望することが多くなります。

3. 規則的な装着と管理ができる人

インビザラインは取り外しが可能ですが、1日22時間以上の装着が必要です。そのため、毎日の歯磨きや食事の際にマウスピースを外し、アライナーや歯を清潔に保つことができる人に向いています。規則正しい生活習慣がある人は、治療計画をしっかりと守り、治療計画通りの効果を得ることができます。特に、几帳面な性格の患者さんや日常的に健康管理に気を遣っている人には適している治療法です。

4. 治療の結果に積極的な関心を持っている人

インビザラインは治療期間中に定期的な歯科健診で歯の移動具合をチェックし、一定の期間毎にマウスピースを新しいものに交換することが必要です。治療の進行を確認し、ご自身でも歯並びの変化を楽しみながら進められる患者さんには、インビザラインが適しています。治療に対して前向きに取り組む方は、治療の成功率が高くなる傾向があります。

5. 食事や口腔ケアに気をつけている人

インビザラインは取り外し可能で、食事や歯磨きがいつも通りに行えることが大きなメリットです。食事の際にマウスピースを外しても良いので、従来のワイヤー矯正のように食べ物が歯や器具に詰まる心配が少なくなります。食後の歯磨きもしやすいため、お口の中を清潔に保つことができます。普段からお口のケアに気を使っている人は、この特徴を十分に活用して、治療をスムーズに進めることができるでしょう。

これらの特徴を踏まえると、インビザラインは、毎日の歯磨きを丁寧に行うことが出来るなどの自己管理に自信のある患者さんに適している治療法と言えます。

インビザラインに向かない人の特徴

1. 重度の不正咬合や顎の問題のある方

インビザラインでは対応しきれない重度の不正咬合や顎の骨の異常がある場合、他の矯正方法が適している可能性があります。特に、骨格の問題を伴う顎のずれなどは、外科的な矯正やワイヤー矯正が推奨されることが多いです。

2. 規律を守るのが苦手な人

インビザラインは取り外しが可能なため、装着を忘れてしまうことがあります。1日22時間以上の装着が必要で、これを守れないと治療がうまくいかない可能性がありますので、自己管理が難しいと感じる患者さんには向かないことがあります。

3. すでに被せ物や詰め物が多い場合

患者さんの歯に多くの被せ物や詰め物がある場合、インビザラインのマウスピースがしっかりとフィットしないことがあります。こうしたケースでは、ワイヤー矯正がより効果的な選択肢となることがあります。

インビザラインを成功させるためのポイント

毎日の装着時間の徹底

1日20時間以上の装着を守ることが、インビザラインの効果を左右します。食事や歯磨き以外の時間は、マウスピースを外さないように心掛けましょう。これを怠ると、治療期間が長引くだけでなく、歯並びの改善が十分に得られない可能性があります。

定期的な健診の重要性

治療の進行を確認するために、歯科医で定期的な健診を受けることが不可欠です。健診では、歯垢や歯の状態をチェックし、必要に応じて治療計画の修正が行われます。これにより、患者さんの歯が常に健康な状態であるかどうかを確認しながら進められます。

インビザラインが向いているかどうかを判断するには?

インビザラインが向いているかどうかは、歯並びの状態や患者さんのライフスタイルに左右されます。軽度から中程度の不正咬合であれば、インビザラインは非常に効果的な選択肢となります。

しかし、重度の問題や自己管理に自信がない場合は、他の矯正方法を検討する方がよいでしょう。最適な治療方法を見つけるためには、専門の歯科医と相談し、個々の状態に合った選択をすることが重要です。

1. 歯列の状態が軽度~重度のどこに該当するのか評価する

インビザラインは、軽度から中程度の歯列不正に適している治療法です。歯が重なった部分がある「叢生」や、軽い出っ歯、歯の間に隙間がある「空隙歯列(すきっ歯)」などの場合に、効果的に歯並びを整えることができます。しかし、重度の不正咬合や骨格的な問題がある場合は、他の矯正方法の方が効果的であることが多いため、担当医と相談して治療の選択肢を慎重に検討することが重要です。

2. 生活習慣に合わせた治療が可能かどうか

インビザラインは、取り外しが可能なマウスピースである点が大きな特徴ですが、その反面、1日22時間以上の装着が必要です。患者さんの日常生活や職業によっては、このルールを守るのが難しいこともあります。例えば、不規則な勤務時間や頻繁な出張があったり、日常的に外食が多い場合は、インビザラインの装着時間を守ることが難しくなるかもしれません。そのため、生活習慣を考慮し、きちんとした装着が可能かどうかを見極めることが大切です。

3. 自己管理能力の有無

インビザラインは、取り外し可能な矯正装置であるため、自己管理が非常に重要です。装着時間を守り、食事や歯磨きの後には必ず装着し直すという習慣を守ることができるかが、治療の成功に大きく影響します。

また、患者さん自身が治療に対して積極的であり、歯列の変化に興味を持ち、決められた日程で健診に通うことができるかも、重要な要素となります。自己管理に自信のない人や、ルーティンを守るのが苦手な人には、固定されたワイヤー矯正の方が向いている場合があります。

4. 被せ物や詰め物がある場合の影響

被せ物や詰め物が多い患者さんの場合、インビザラインのマウスピースが歯に正確にフィットしないことがあります。このような場合、歯科医と相談して、どのような治療が最も効果的かを検討する必要があります。場合によっては、インビザラインではなく、従来のワイヤー矯正が適していることもあります。

5. 治療の希望と結果に対する期待

患者さんが矯正治療に対してどの程度の変化を期待しているかも重要な判断基準です。インビザラインは、軽度から中程度の不正咬合には非常に効果的ですが、重度の不正咬合や大きな顎の問題には治療に限界がある場合があります。患者さんがどの程度の改善を求めているのか、治療結果に対する期待を事前に歯科医と共有することで、適切な治療法を選択することができます。

6. 歯科医の専門的な意見を仰ぐ

最終的に、インビザラインが向いているかどうかは、患者さんの歯列や顎の状態に基づく専門的な診断が必要です。担当医は精密検査の結果を見ながら患者さんの歯の状態を正確に評価し、最適な治療法を提案します。

これらを総合的に考慮することで、患者さんがインビザラインに向いているかどうかをより正確に判断することができます。インビザラインは、多くの人にとって魅力的な治療法ですが、ご自身のライフスタイルや歯列の状態に適しているかを見極めることが、最適な治療結果を得るためのポイントとなります。

まとめ

インビザラインは、多くの患者さんにとって効果的で快適な歯列矯正の方法です。しかし、全てのケースに適用できるわけではなく、歯並びや患者さんの生活習慣、自己管理能力が重要な要素となります。歯科医との相談を通じて、自分に最適な治療方法を見つけることが大切です。インビザラインの長所や制約を理解し、計画的な治療を進めることで、美しい歯並びと健康な口腔環境を手に入れましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

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