インプラント

奥歯の7番を抜歯した場合インプラントは出来ますか?

奥歯の7番を抜歯した場合インプラントは出来ますか?

奥歯の7番を抜歯後にそのまま放置すると、周囲の歯や顎骨にさまざまな問題が生じる可能性があります。特に、咬み合わせの崩れや顎骨の吸収といった問題は、お口全体の健康に大きな影響を与えます。7番の抜歯後にインプラントが必要かどうかについてご説明します。

奥歯の7番の役割と重要性

奥歯の7番(第二大臼歯)は、噛む力を支える重要な歯です。他の奥歯と連携し、食べ物を効率的にすり潰す役割を果たします。また、咬み合わせのバランスを保つためにも不可欠です。特に、7番が失われると、周囲の歯や顎に負担がかかり、不正咬合のリスクが高まります。

具体的な役割は以下の通りです。

  1. 咬む力を効率的に分散
  2. 顎関節の負担を軽減
  3. 咬み合わせの調和を維持

そのため、7番が抜歯された場合、早めに歯科医師と話し合って対応することが必要となります。

7番を抜歯した場合に起こる問題

7番の抜歯は、以下のような問題を引き起こす可能性があります。

咬み合わせの崩れ

7番が失われることで、隣接する歯がその空間に移動しやすくなります。このような歯の移動は、上下の歯が正しく接触しなくなる原因となり、不正咬合を引き起こす可能性があります。長期的には顎関節への負担も増加し、顎関節症のリスクが高まります。

隣接する歯への負担増加

抜歯した部分の咬合力が他の歯に集中することで、6番や8番の歯が過剰に摩耗したり損傷したりすることがあります。また、周囲の歯が傾斜することによって歯垢がたまりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクも上昇します。

顎の骨の吸収

歯がない状態が続くと、顎骨に刺激がなくなるため、骨が吸収されてしまいます。これにより、顎の形態が変わり、他の歯の支持力にも影響を及ぼします。骨の吸収が進行すると、将来的にインプラントを埋め込むための骨造成が必要になる場合もあります。

噛む力の低下

咬む力が低下すると、硬い食べ物を避ける傾向が強まり、栄養バランスの悪化や消化機能の低下につながる可能性があります。また、食事の満足感が低下することで、生活の質が損なわれることもあります。

 

これらの問題を防ぐためには、7番を抜歯した場合でも、速やかに適切な補綴治療を検討することが重要です。

歯科医師によっては特に積極的な治療が必要ないという意見になる場合もあります。患者さんは担当医の意見を考慮しつつ、7番を治療した場合と治療しなかった場合のメリット・デメリットを比較して、治療を行うかどうかを選択しましょう。

インプラントが適している理由

インプラント治療は7番の抜歯後に推奨される選択肢の一つです。その主な理由は以下の通りです。

1. 自然な咬み心地

インプラントは顎骨に直接埋め込まれるため、天然歯と同じように噛む力を伝えられます。これにより、食事の際に違和感がなく、硬い食べ物も問題なく噛めるため、食事の満足度が向上します。また、しっかりと噛むことで消化を助け、全身の健康にも良い影響を与えます。

2. 周囲の歯への負担を軽減

ブリッジ治療では隣接する歯を削る必要がありますが、インプラントではその必要がありません。その結果、健康な歯を守ることができ、将来的な虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。また、隣接する歯への過剰な咬合力の負担も回避でき、長期的な歯の健康を維持できます。

3. 顎骨の吸収を防ぐ

インプラントが顎骨に刺激を与えることで、骨の吸収を抑制します。歯がない部分の骨が減少すると、顔の輪郭が変わる可能性がありますが、インプラントを埋入することでそのリスクを軽減できます。さらに、顎骨の健康を保つことで、他の歯の安定性も維持されます。

4. 長期的な耐久性

適切なメンテナンスを行うことで、インプラントは長期間使用可能です。一度治療を受ければ、しっかりとしたケアにより数十年単位で使用できるため、将来的な再治療の必要性が少なくなります。これにより、トータルの治療コストを抑えることも可能です。

5. 審美的な効果

インプラントは天然歯に近い外観を持つため、口元の見た目を改善します。笑ったり話したりする際に自信を持つことができるため、患者さんの心理的な満足度も向上します。

このように、インプラントは機能面・美観面ともに優れた選択肢となります。

他の治療法との比較

インプラント以外にも7番の補綴方法として選ばれる治療法がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

ブリッジ

ブリッジ

一番奥の歯が抜けてしまうと、両隣の歯でブリッジを作ることが出来ません。手前の2本の歯を削って3本連結の被せ物をする場合もありますが、一番奥の部分の人工歯がどうしても不安定になり、強く噛むことが出来なくなります。

以下のメリット・デメリットは、一般的なブリッジの場合のものです。

メリット

  • 比較的短期間で治療が完了。
  • 保険適用が可能な場合がある。

デメリット

  • 隣接する歯を削る必要がある。
  • 顎骨の吸収を防ぐ効果がない。

入れ歯

入れ歯

メリット

  • 費用が比較的安価。
  • 取り外しが可能で清掃が簡単。

デメリット

  • 咬む力が弱く、装着感に違和感がある場合が多い。
  • 顎骨の吸収を防ぐ効果がない。

これらと比べると、インプラントは総合的な満足度が高い選択肢と言えます。

治療を選ぶ際のポイント

治療方法を選ぶ際には、以下の点を考慮することが重要です。

患者さんの健康状態

全身疾患や喫煙習慣がある場合、インプラント治療が適さないことがあります。

顎骨の状態

骨量が不足している場合、骨造成が必要になることがあります。

費用と治療期間

インプラントは他の治療法に比べて高額で、治療期間も長くなる傾向があります。

メンテナンスの継続性

インプラントは定期的な健診と歯磨きが欠かせません。

患者さん一人ひとりの状況に応じた適切な治療法を選ぶことが重要です。

まとめ

奥歯の7番を抜歯した場合、インプラントで治療することには多くのメリットがあります。噛み合わせの回復や顎骨の維持、長期的な耐久性などを考慮すると、インプラントは優れた選択肢と言えます。ただし、患者さんの健康状態や経済的状況、ライフスタイルに応じた治療法を選ぶことが大切です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

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