
いい歯医者さんの見分け方を知りたいと思う方は多いのではないでしょうか。今日は、いい歯医者さんとはどのような歯医者か、見分け方やポイントについて詳しくご紹介いたします。
歯医者さんはどれくらいある?
コンビニエンスストアよりも歯医者が多いとメディアで聞いたことはありませんか。令和6年2月に厚生労働省が発表している全国の歯科医院は66843軒です。一方コンビニエンスストアは、チェーン店舗データ集計に基づくと、56505軒です。コンビニより1万軒も歯医者が多い計算になります。
なぜコンビニより多い?
少し遡りますが、1970年代前後に虫歯の洪水という社会問題になる程、子供の虫歯がまん延していました。昭和40年代には人口10万人に対して歯科医師30人くらいしかおらず、対処する歯科医師の不足が叫ばれ、歯科医師を養成する歯学部や歯科大学が多く設置されました。令和4年の歯科医師数は105267人であるため、人口10万人に対して歯科医師が84人に増加しています。都会や通行量の多い道路にあるコンビニと違い、地方や閑静な住宅地でも歯科医院は点在しており、その地域に暮らす方のためにクリニックがあるという点が注目すべき差です。
いい歯医者の定義
このように多くの歯科医院がある中、腕の良い歯科医院で治療を受けたいというのは、患者さんにとって当たり前のことだと思います。氾濫する情報の中、口コミや設備、医院の雰囲気も大切ですが、本当に大事なのは患者さんの未来を考えてくれる歯医者かどうかです。
1. わかりやすく説明してくれる
治療内容や計画を、難しい専門用語のみで話されても、患者さんには伝わりません。患者さんが納得できるようにわかりやすく丁寧に説明し、治療の選択肢をいくつか提示してくれる歯科医院は信用がおけます。
2. なぜ?に答えてくれる
例えば歯列矯正を行う方でどうしても抜歯が必要な方の場合で考えてみましょう。
- なぜこの歯を抜く必要があるのか
- この歯を抜いたタイミングでどのような治療工程になるのか
- 最終的にどのような歯並びをゴールにするのか
患者さんの不安や疑問に歯科医師やスタッフがきちんと向き合ってくれることが、後悔のない治療につながります。
3. 予防を大切にしている
歯は痛くなるなどの症状が出てから治すと思われがちですがそうではありません。なるべく治療をしないで済む口腔内の維持を目指すべきです。常にお口の中を健康に保つことを治療理念に掲げている姿勢であれば、長く通いたくなる歯医者と言えます。
4. 技術のみでなく思いやりもある
いくら最新機器があり技術が高いと言われる歯医者でも、患者さんに寄り添わない医院で治療をするのはおすすめできません。不安や悩みを解消したうえで、治療を行える歯医者さんが本当の意味でのいい歯科医院でしょう。患者さんにとってのいい歯医者は、症状を治すのみでなく、この先生に相談してよかったと思えるような安心感を与えてくれる存在でなけれなりません。そんな歯科医院と出会えれば、健康な毎日を支える第一歩になります。
歯医者さんも虫歯になるの?
歯医者さんは虫歯にならないのでは?と思う方もおられるかもしれませんが、それは違います。歯科医師や歯科衛生士も人間です。どれほど歯の知識があっても、忙しさや生活習慣の影響はあり、虫歯になるリスクはゼロではありません。
虫歯の初期段階を見逃さないようにしている
むし歯の原因は、細菌の巣である歯垢(プラーク)が食べ物などに含まれる糖分を栄養として作り出される酸が歯のエナメル質を溶かしてしまう状態です。エナメル質に含まれるカルシウムなどが溶け出ることを専門用語で脱灰と言いますが、脱灰を繰り返すと穴が開きむし歯ができます。食べ物を口にする回数や、糖分を含む飲み物を時間を決めて飲むなどしておけば虫歯は予防できます。そのような知識は患者さんより深く持っているため、小さな違和感や初期の変化を見逃さず、早めに対処して重症化しにくい傾向にあります。
定期的に歯のクリーニングを受ける
歯科医師や歯科衛生士も毎日デンタルフロスや歯間ブラシを使ってオーラルケアを行い、日常的な予防やケアに力を入れています。それ以外に患者さんと同じく、定期的にプロによる歯石の除去などのクリーニングを受けています。歯医者さんが虫歯にならないのではなく、虫歯にならないように日々のケアを徹底しているからです。歯科のプロでも虫歯になることがあるからこそ、私たちも気を抜かず、日常のケアや定期検診を大切にしたいものです。
歯医者さんが虫歯になったらどこで治療する?
歯科治療は基本的に自ら行う行うことができず、他の誰かに治療してもらわなければなりません。勤務先の医院で治療を受けるか、人脈のある歯科医院か、患者さんと同じように他の医院を探して受診するという方が多いでしょう。
いい歯医者の見分け方
いい歯医者をどのように見分けたらいいのか、見分け方についてご案内します。
ホームページを確認する
受けたい治療があって、歯医者さんを探している場合はホームページを確認しましょう。単に歯科医師と言っても、一般歯科、矯正歯科、小児歯科、口腔外科、審美歯科など様々な治療があり、専門的な知識が必要となる分野があります。症例経験が多いドクターを探しているならば、そのようなドクターが在籍しているかどうか、ホームページに掲載されているか見てみましょう。
滅菌などの言葉に注目
以前歯を削る際に使用するハンドピースという器具を使いまわしていたと話題になったことがありますが、お口に使う専用器具の消毒や滅菌は重要です。唾液や血液が付着しやすい部分であるため、患者ごとに交換しなければとても不衛生です。院内感染対策をしているかどうかについては、徹底している歯科医院ならばホームページに記載があると思います。滅菌や消毒については、衛生的な環境で治療を行っているかどうかなので確認しましょう。
口コミはあくまで口コミ
口コミの良し悪しは気にする方が多いでしょうが、口コミが良いからと言って自分に合うとは限りません。口コミは他者の感想であるということを踏まえて、見ておきましょう。近しいご家族や友人などが通われているならば、口コミよりも感想を聞いてみるのが良いです。
設備が揃っているか
いくら人柄の良い先生でも、治療をする為の設備が院内になければおすすめできません。歯科用CTやマイクロスコープなどがあれば、神経(歯髄)が死んだ大きな虫歯でも、抜髄後の清掃作業などの根管治療もしっかり行えます。最新の設備や機器がある医院で治療を行うと再発率は下がるため、歯の健康を保てます。
患者さんの立場にたった説明をしてくれる
患者さんの立場に立って、やさしくわかりやすく説明してくれる医院かどうかです。例えば自費治療の場合は、治療期間や治療計画のみではなく、安くはない治療費がかかります。支払い方法の明確さがあり、患者さんの不安に耳を傾けてくれるカウンセリングを行う歯医者にしましょう。ささいな質問にしっかり答えてくれるかも、大きな判断基準です。
治療の選択肢を提示してくれる
あなたの状態ではこれしかありませんという歯科医院であれば、他の医院を探しましょう。保険治療、自費治療、期間や費用など、いくつかの治療法を出し、それぞれのメリット・デメリットをきちんと伝える歯科医院は、患者さんの意思を大事にしていると言えます。
予防を大切にしている
痛くなったら来てくださいという歯科医院は患者さんのためになりません。虫歯や歯周病を未然に防ぐことが大切です。定期検診、クリーニングをすすめる医院は、歯の健康寿命や費用面などの点から見ても良心的で、長い目で見てあなたの健康を考えてくれています。
清潔感があり、スタッフの感じがいい
院内が清潔であり、受付やスタッフの対応が親切であることも大切なポイントです。口腔内の処置をしてもらう場所は、清潔感や、滅菌処理、ディスポなどが徹底してある方が良いでしょう。独特の薬剤のにおいや音がする緊張しやすい歯科受診において、安心して通える雰囲気があるかどうかはとても重要です。
無理に高額な治療をすすめない
これが一番いいと自費治療のみを強くすすめる医院には注意が必要です。患者さんの価値観や希望、状況はそれぞれあるため、他の提案もしてくれる医院を選びましょう。
まとめ

通いやすいから、近いからというのも歯科医院を選ぶ一つのポイントではありますが、それのみで選ぶのは危険です。歯や歯肉の状態の悩みを聞いてくれたり、トラブルが起きれば処置を早めにしたり、何より口腔内を健康に保つための予防に重きを置いている医院が良いのではと考えます。自分のかかりつけ歯医者さんを見つけることが、後悔しない治療への第一歩です。