入れ歯

総入れ歯が外れやすい原因と対策

総入れ歯が外れやすい原因と対策

総入れ歯は、本来しっかりとフィットすることで快適に過ごせるものですが、いくつかの原因によって外れやすくなることがあります。総入れ歯が外れやすくなる原因とその対策、また、インプラント・オーバーデンチャーやオールオン4等についてもご説明します。

総入れ歯が外れやすくなる主な原因

総入れ歯

総入れ歯が外れやすくなる原因はいくつか考えられます。患者さんの口腔内の変化や、総入れ歯自体の劣化、あるいは適切なケアが不足している場合が主な原因となります。総入れ歯が外れると、食事や会話が不自由になるため、対策を行わなければなりません。

  1. 口腔内の変化・・年齢と共に歯茎や顎の骨が変化するため、入れ歯がフィットしにくくなります。
  2. 義歯の劣化・・長期間使用していると、総入れ歯自体が磨耗や変形することがあります。
  3. ケア不足・・総入れ歯も定期的に手入れし、歯垢や食べかすを取り除く必要があります。

口腔内の変化による総入れ歯の外れやすさ

患者さんのお口の中は時間と共に変化します。特に顎の骨は、歯が抜けてしまうと少しずつ減少して、歯茎も収縮していきます。このような変化は、総入れ歯が正しくフィットしない原因となります。

  1. 骨の減少と歯茎の変化・・歯がない状態が続くと顎の骨が痩せてしまい、それが総入れ歯の外れやすさに繋がります。
  2. 加齢による影響・・加齢により唾液の分泌が減少すると、総入れ歯が滑りやすくなることがあります。
  3. 体重変化が引き起こす口腔内の変化・・体重が増減すると、歯茎の厚さや形が変わり、総入れ歯が外れやすくなる場合があります。

義歯自体の問題が原因となる場合

総入れ歯が外れやすくなる原因は、必ずしも口腔内の変化だけではありません。義歯自体に問題がある場合があります。特に長期間使用している義歯は、問題が生じやすくなります。

  1. 義歯の素材の劣化・・長期間使用されると、総入れ歯の素材が変形したり、亀裂が生じることがあります。
  2. 作製時の不適合・・作製時に完璧なフィット感が得られなかった場合、外れやすさを引き起こす原因となります。
  3. 定期的な調整の必要性・・総入れ歯は定期的に調整を行ってお口にピッタリ合わせることが必要です。

日常のケア不足が引き起こす問題

総入れ歯を正しくケアしていない場合、外れやすさの原因となります。歯垢や食べ物のカスが入れ歯に溜まることで、総入れ歯が不安定になる可能性があります。

  1. 歯垢や食べかすの蓄積・・総入れ歯を清潔に保つことは非常に重要です。歯垢や食べ物のカスが付着すると、義歯がお口にしっかりとフィットしなくなります。
  2. 入れ歯のクリーニング不足・・入れ歯は毎日、専用の洗浄剤を使用して洗い、清潔な状態を保つ必要があります。
  3. 入れ歯の保管方法の重要性・・入れ歯は夜間は外して必ず水に浸けて保管しましょう。乾燥を防ぐことが入れ歯の劣化を防ぐポイントです。

総入れ歯が外れにくくなるための対策

総入れ歯の外れを防ぐためには、以下の点にも気を付けましょう。

  • 定期的な健診を受ける・・総入れ歯は、患者さんの口腔内の変化に応じて調整が必要です。定期的な健診を受け、適切なフィット感を保つようにしましょう。
  • 入れ歯安定剤の使用方法・・外れやすい場合は、入れ歯安定剤を使用することでしっかりフィットさせることができます。
  • 正しいケアとメンテナンス・・毎日のケアと定期的な健診を怠らないことで、総入れ歯の状態を長持ちさせることができます。

総入れ歯の外れを予防するための生活習慣の見直し

患者さんの生活習慣も、総入れ歯の安定性に影響を与えることがあります。総入れ歯の外れを予防するためには、以下の生活習慣を見直すことが重要です。

  • 適切な食生活・・硬い食べ物を避け、バランスの取れた食事を心掛けることで、総入れ歯の負担を減らすことができます。
  • 適度な体重管理・・体重の急激な増減は、総入れ歯のフィット感に影響を与えることがあるため、適度な体重を維持することが重要です。
  • 口腔筋トレーニングの重要性・・口の周りの筋肉を鍛えることで、総入れ歯が外れにくくなる効果が期待できます。

総入れ歯が外れやすいと感じる場合、原因はさまざまですが、正しい対策を取ることで改善することが可能です。

インプラントを併用する方法

歯が1本もない患者さんに対しては、総入れ歯以外にインプラントを併用した方法もありますので、ご紹介します。

インプラント・オーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャー

総入れ歯がどうしても外れやすいと感じる患者さんには、「インプラントオーバーデンチャー」を検討することをお勧めします。インプラントオーバーデンチャーとは、数本のインプラントを顎の骨に埋め込み、磁石の力で総入れ歯を固定する方法です。この方法により、従来の総入れ歯よりもはるかに強固なフィット感を得ることができます。

インプラントによる固定は、外れやすさの問題を大幅に改善し、食事中や会話中の不快感も軽減されます。また、インプラントが顎の骨に埋め込まれることで、骨の減少を防ぐ効果も期待でき、長期的に口腔内の健康を保つことが可能です。総入れ歯の不安定さに悩んでいる患者さんには、インプラントオーバーデンチャーが優れた選択肢となるでしょう。

インプラント・オーバーデンチャーのメリット

  1. 安定性が高い・・従来の総入れ歯に比べて、しっかりと固定されるため外れにくい。
  2. 顎骨の健康維持・・インプラントが骨に刺激を与え、骨の減少を防ぐ。
  3. 快適な装着感・・フィット感が良く、長時間使用しても不快感が少ない。
  4. 取り外しが可能・・自宅で簡単に清掃でき、衛生的。
  5. 食事や会話がしやすい・・外れる心配がないため、自然な動作が可能。

デメリットと注意点

一方で、インプラントには手術が必要であり、一定の治療期間がかかる点や、従来の総入れ歯に比べて初期費用が高くなるというデメリットもあります。また、顎の骨の状態によっては、インプラントの埋め込みが難しい場合があるため、事前の診察や適切な治療計画が重要です。

オールオンフォー

オールオン4

総入れ歯が外れやすくて困っている患者さんには、「オールオン4」と呼ばれるインプラント治療を検討することをお勧めします。オールオン4は、片顎に4本のインプラントを埋め込み、その上に固定式の義歯を装着する方法です。この方法により、従来の総入れ歯と比べて飛躍的に安定した装着感を得ることができます。

オールオン4の大きなメリットは、少ない本数のインプラントで14本分が一体となった上部構造をしっかりと固定できる点です。総入れ歯に比べ、外れる心配がなく、食事や会話もより自然で快適に行えるようになります。さらに、オールオン4は骨の減少を防ぐ効果も期待でき、顎の骨を健康に保つことが可能です。総入れ歯の外れやすさに悩んでいる患者さんには、生活の質を大幅に向上させる治療法として、オールオン4を考える価値があるでしょう。

オールオン4のメリット

  1. 少ないインプラントで安定性を実現**:片顎4本のインプラントで14本分が一体となった上部構造をしっかり固定する。
  2. 外れにくく、快適な使用感・・総入れ歯のように外れる心配がないため、自然に食事や会話ができる。
  3. 顎骨の健康維持・・インプラントが骨を刺激し、顎の骨の減少を防ぐ。
  4. 治療期間が比較的短い・・即日で義歯を固定することができる場合が多い。
  5. 長期的な耐久性・・正しいケアを行えば、長期間にわたって安定して使用できる。

まとめ

総入れ歯が外れやすい原因は、口腔内の変化や義歯自体の劣化、さらには日常のケア不足などがあげられます。しかし、定期的な健診や正しいケア、そして生活習慣の見直しによって、その問題は改善できます。

特に、入れ歯の調整や安定剤の使用、口腔筋トレーニングを取り入れることは、フィット感の向上に役立ちます。また、インプラントを併用したインプラント・オーバーデンチャーやオールオン4という技術も総入れ歯の患者さんにとっては快適に過ごすための方法となります。

総入れ歯がしっかりとフィットしない場合は、歯科医院に相談して、様々な選択肢を含めて提案してもらい、最適な治療法を見つけましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

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