歯医者が怖い人のための歯医者ってあるのだろうかと苦手な方は思われるでしょう。どんな環境の歯医者さんを選べば良いのか詳しくご紹介いたします。
歯医者が怖い人の原因について
歯医者が怖いと感じる理由は人により異なりますが、多くの場合は過去の痛い治療や不快な経験が原因です。下記のような経験がトラウマとなり、歯科医院に対する恐怖心が生まれることがあります。
- 「痛かったら手をあげて」と言われ手を挙げたのに「我慢して」と治療を続けられた
- 「じっとして」と診療台に無理やり押さえつけられて治療を受けた
- 麻酔が効かず痛みを感じたが言い出せず痛みを我慢した
- 治療前の麻酔の注射が痛かった
- 歯科医師や歯科衛生士に嫌な顔をされた
子どもの頃に受けた治療で「痛かった」「怖かった」経験が大人になっても尾を引き、歯科医院へ行くこと自体がプレッシャーになったり苦痛になります。歯の治療はもちろん、歯科医院そのものに対して、体と心が過剰に拒否反応を示すようにさせてしまうからです。
歯科恐怖症とは
歯科恐怖症の患者さんは全国に500万人いるとも言われ、おおよそ20人に1人くらいです。歯医者が怖いと感じてしまう程度が強く、実際に歯科医院へ行くことができない状態を「歯科恐怖症」と呼びます。この状態では、以下のような症状が見られます。
- チェアに座ること自体ができない
- 歯を削る音で体が硬直する
- 強い動悸や息苦しさを感じる
精神的に苦痛過ぎて体にこのような反応が出る
精神疾患のようなレベルの方から「歯医者に行くのが苦手」などのレベルの方まで、歯科恐怖症と呼べる患者さんの程度は様々ですが、下記のような状態になる方もおられます。
- 嘔吐反射(えずき)
- 顔面蒼白
- 血圧が上がる
歯科恐怖症の方は、虫歯や歯周病などの細菌感染が悪化しても受診を避けるため、最悪の場合天然歯を失ってしまいます。歯科恐怖症に理解のある医院を見つけて通院することが大切です。
歯医者が怖い人のための歯医者の選び方
歯医者が怖い人のための歯医者の選び方として、下記のような点が重要です。
1.お悩みを丁寧に聞き治療内容をしっかり説明してくれる
治療しなければならない部分への治療計画、麻酔の方法、通院回数についてしっかり説明してくれる医院を選びましょう。いくら治療実績のあるドクターでも質問しにくければ、不安になってしまいます。患者さんが質問しやすい雰囲気がある医院かという点も大切です。
2.傾聴の姿勢や質問への回答からドクターやスタッフを信頼できる
患者さんのお悩みについて、きちんと話を聞いてくれる時間があるのか、優しく対応してくれるスタッフがいるかどうかも、歯科医院選びの大切なポイントです。事前に口コミを見ておき、ホームページで無痛治療に関する情報を確認してから予約をしましょう。
3.設備が完備され無痛治療を行っている
痛みを最小限に抑える技術があるか、歯科恐怖症の患者さんと多く向きあってきた設備が整っているかどうかという点は大切です。無痛治療に必要な設備がなければ、どれだけ優しい歯医者さんでも治療自体がイヤになってしまいます。麻酔の針が極細針か、笑気麻酔を導入しているかなど、無痛治療に対して積極的である歯科医院を選びましょう。
このようなポイントから歯科医院を探し、どうしても違うと思ったり、治療計画に不安や疑問がある場合は、セカンドオピニオンに相談しましょう。
無痛治療とは
無痛治療とは麻酔を効かせて痛みを最小限に抑えた歯科治療です。麻酔の際に痛みを感じにくくするための工夫や患者さんがリラックスできる環境整備を行います。
表面麻酔
麻酔注射の痛みを抑えるため、注射を打つ前に皮膚の表面へ麻酔を施します。
極細針を使用
痛みを感じにくい極細の針を使って麻酔を行います。当院の場合は麻酔を人肌の温度に温めて刺激を少なくし、痛点を避けて一定量を等間隔で注入し、痛みを感じないように注意して行います。
リラックスできる環境
緊張を和らげるために、落ち着いた雰囲気の治療室や音楽を取り入れているなどです。これらの工夫により、治療に対する不安を和らげ、痛みをほとんど感じることなく治療を受けることが可能になります。
笑気麻酔を使用
亜酸化窒素という吸入麻酔薬の一種と医療用酸素を混合した気体を混ぜたものが笑気ガスで、軽い鎮静効果や鎮痛効果が持続します。麻酔と違い意識を保ったままゆるやかにリラックスした状態を保てて、その状態で歯科治療を受けることが出来ます。副作用として嘔吐などの症状がありますが、引き起こす方はごくまれにおられます。当院では小児のみ笑気麻酔を行っております。
静脈内鎮静法
笑気麻酔ではなく、静脈内鎮静法(セデーション)という点滴から麻酔をする方法を取る場合があります。歯科医師の他に、麻酔の専門医が患者さんの管理を行います。全身麻酔と混同されやすいですが、静脈内鎮静法は下記の点が異なります。
- 呼びかけた場合応えることができる
- 眠くなる程度の意識がある
- 自発呼吸を行えるため、挿管や人工呼吸は必要ない
- 麻酔の為に入院する必要はない
治療内容や時間をあまり覚えていない健忘効果もあるため、歯科恐怖症の方にとっては、ストレスなく治療を受けることが可能です。麻酔薬が体内から代謝されるのには約2時間程度かかるため、体がふらつくリスクがあり、歩行の際に注意しなければなりません。
短期集中歯科治療という治療もある
定期的に歯科医院へ通院することが出来ない職業の方や、歯科恐怖症でなるべく早く終わらせたい方に短期間で治療を行うのが短期集中歯科治療です。このような治療を行っているかという点については、歯科の設備や専門の麻酔科医がいる医院かなどの確認が必要です。当グループではカトレア歯科で行っております。
まとめ
歯医者が怖い人にとって、無痛治療は心強い味方です。過去の嫌な経験や不安を少しでも軽減できるよう、歯科医院選びの際には無痛治療を提供する医院、且つ信頼できるスタッフのいる医院へ通院を検討してみてください。