歯ぎしり・食いしばりの原因は?症状・セルフチェック・治し方を歯科医が解説

歯ぎしり・食いしばりの原因は?
歯ぎしりや食いしばりは、本人が気づいていないことがあります。睡眠中だけでなく、仕事やスマートフォン操作などに集中している日中に上下の歯を接触させ続けている場合もあります。
また、歯ぎしりや食いしばりがあるからといって、すべての方に治療が必要になるわけではありません。
大切なのは、歯ぎしりそのものをゼロにできるかではなく、歯のすり減りや破折、詰め物・被せ物の破損、顎の痛みなどの問題が起きていないかを確認し、必要に応じて歯や顎を守ることです。
この記事を読むとわかること
- 歯ぎしり・食いしばりとは何か
- 睡眠中と日中の食いしばりの違い
- 歯ぎしりを自分で確認する方法
- 日中に上下の歯が触れていてよいのか
- TCH(上下歯列接触癖)とは何か
- 歯ぎしり・食いしばりを放置した場合の影響
- 知覚過敏との関係
- 歯ぎしり・食いしばりの原因
- ナイトガードの役割
- 日中の食いしばりへの対策
- 歯科医院を受診した方がよいサイン
歯ぎしりというと「寝ている間にギリギリ音を鳴らすもの」というイメージがありますが、それだけではありません。まずはどのようなタイプがあるのか確認してみましょう。
目次
- 1 歯ぎしり・食いしばりとはどのような状態?
- 2 睡眠中の歯ぎしりと日中の食いしばりは同じですか?
- 3 日中は上下の歯が触れていないのが普通ですか?
- 4 TCH(上下歯列接触癖)とは何ですか?
- 5 歯ぎしり・食いしばりは自分でわかりますか?
- 6 歯科医師は歯を見るだけで歯ぎしりがわかるのですか?
- 7 歯ぎしり・食いしばりを放置するとどうなりますか?
- 8 歯ぎしり・食いしばりで知覚過敏になることはありますか?
- 9 歯ぎしり・食いしばりの原因はストレスですか?
- 10 ナイトガードを使えば歯ぎしり・食いしばりは治りますか?
- 11 市販のマウスピースを使ってもよいですか?
- 12 日中の食いしばりはどうすれば改善できますか?
- 13 歯ぎしり・食いしばりは完全に治せますか?
- 14 歯ぎしり・食いしばりで歯科医院を受診した方がよいのはどんなときですか?
- 15 まとめ|歯ぎしりは「止める」だけでなく「歯を守る」という視点も大切です
歯ぎしり・食いしばりとはどのような状態?

歯ぎしり・食いしばりは「ブラキシズム」と呼ばれ、睡眠中に起こるものと、起きている間に起こるものがあります。歯をギリギリ擦り合わせるだけでなく、音を立てずに強く噛みしめるタイプもあるため、自覚がないからといって歯ぎしり・食いしばりがないとは限りません。
歯ぎしりには、歯を擦るタイプだけでなく、音を立てず強く噛みしめるタイプもあります。
歯ぎしり・食いしばりは、歯科では「ブラキシズム」と呼ばれます。
日本歯科医師会では、ブラキシズムを睡眠中に起こる「睡眠時ブラキシズム」と、起きているときに起こる「覚醒時ブラキシズム」に分けて説明しています。
動き方によっても、いくつかのタイプがあります。
グラインディング
上下の歯をギリギリと擦り合わせるタイプです。
音が出ることがあるため、一緒に寝ている家族から「寝ている間に歯ぎしりしていたよ」と指摘されて気づく場合があります。
クレンチング
上下の歯を強く噛みしめるタイプです。
歯を横方向へ擦らないため、大きな音がしないことがあります。そのため、本人にも家族にも気づかれにくいタイプです。
タッピング
上下の歯をカチカチと繰り返し接触させるタイプです。
これらが単独ではなく、組み合わさって起こることもあります。
「歯ぎしり=ギリギリ音がする」と思っていると、音のしない食いしばりを見逃してしまうことがあります。
タイプごとの特徴を整理すると、次のようになります。
| タイプ | 主な特徴 | 気づき方 |
|---|---|---|
| グラインディング | 上下の歯を擦り合わせる | 家族から音を指摘されることがある |
| クレンチング | 強く噛みしめる | 音が出ないため気づきにくい |
| タッピング | 上下の歯を繰り返し接触させる | 音や動きで気づくことがある |
| TCH | 日中に上下の歯を接触させ続ける習慣 | 意識して確認すると気づくことがある |
重要なのは、歯ぎしりの「音」があるかどうかだけではありません。音のしないクレンチングや日中の歯の接触でも、長時間続けば歯や顎への負担につながる場合があります。
睡眠中の歯ぎしりと日中の食いしばりは同じですか?
睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズムは、起こる時間だけでなく、その背景や対策も異なります。睡眠中の歯ぎしりは意識して止めることができませんが、日中の食いしばりや歯の接触は、習慣に気づいて力を抜くことで改善を目指せる場合があります。
睡眠時と日中の歯ぎしり・食いしばりは、同じものとして扱わず分けて考えます。
睡眠中の歯ぎしりは、寝ている本人が意識して止めることはできません。
日本歯科医師会では、睡眠時ブラキシズムについて、以前考えられていたような「噛み合わせの異常が原因」という科学的根拠は実証されておらず、中枢神経系の活動との関連が考えられていると説明しています。
一方、日中の食いしばりでは、
- パソコン作業に集中している
- スマートフォンを見ている
- 細かい作業をしている
- 緊張している
- 車を運転している
といった場面で、無意識に上下の歯を接触させることがあります。
そのため、日中については「今、上下の歯が触れていないかな?」と気づくことが対策の第一歩になります。
睡眠中の歯ぎしりと日中の食いしばりをすべて同じ「ストレスのせい」と考えるのではなく、いつ起こっているのかを分けて考えることが大切です。
日中は上下の歯が触れていないのが普通ですか?
食事や飲み込みなどをしていない安静時には、上下の歯が常に接触している必要はありません。日中に気づくと奥歯を噛みしめている方は、顎の力を抜いて上下の歯を離すことを意識してみましょう。ただし、一日中「離さなければ」と過度に気にする必要はありません。
安静時は上下の歯を接触させ続ける必要はありません。気づいたときに力を抜きましょう。
「口を閉じていたら、上下の歯も噛み合っているのが普通」と思っている方もおられます。
しかし、食事や飲み込みなどをしていないときは、唇が軽く閉じていても上下の歯はわずかに離れているのが基本的な状態です。
たとえばパソコン作業中に確認してみてください。
奥歯をグッと噛んでいたら、
「肩の力を抜く」
「顎の力を抜く」
「上下の歯をそっと離す」
ことを意識してみましょう。
ただし、「歯を離さなければ」と一日中監視する必要はありません。
食いしばり対策は、力んで直すのではなく、気づいたらそっと力を抜くくらいから始める方が続けやすいでしょう。
TCH(上下歯列接触癖)とは何ですか?
TCHとはTooth Contacting Habitの略で、日中に上下の歯を接触させ続ける習慣を指します。強く噛みしめているわけではなくても、長時間歯が触れていることで顎の筋肉や歯周組織などへの負担につながることがあります。
TCHは「強く噛むこと」ではなく「長時間、歯を接触させ続ける習慣」です。
食いしばりを考えるとき、多くの方が「どれだけ強い力で噛んでいるか」に注目します。しかし、もう一つ見てほしいのが、歯が接触している時間です。
日本歯科医師会でも、覚醒時ブラキシズムに関連する状態として、TCH(Tooth Contacting Habit:上下歯列接触癖)が紹介されています。
たとえば、
「強く噛みしめているつもりはない」
「でも仕事中はずっと奥歯が触れている」
という状態です。
弱い力でも、長い時間続けば顎周囲の筋肉などへ負担がかかる場合があります。
食いしばりを見るときは「力の強さ」だけではなく、「歯が触れている時間」にも目を向けましょう。
歯ぎしり・食いしばりは自分でわかりますか?
睡眠中の歯ぎしりは自分では気づきにくいものですが、朝の顎の疲れ、歯のすり減り、歯の欠け、詰め物や被せ物の破損、日中の歯の接触などが手がかりになることがあります。ただし、これらの症状だけで歯ぎしりと確定できるわけではありません。
歯や顎に現れるサインから疑うことはできますが、セルフチェックだけで確定はできません。
次の項目を確認してみてください。
- 朝起きると顎が疲れている
→ 睡眠中に顎の筋肉を強く使っている場合、朝に疲労感やだるさが残ることがあります。 - 歯の先端が平らにすり減っている
→ 歯同士が擦れ合うことで摩耗が起こる場合があります。ただし、過去の歯ぎしりによる摩耗が残っていることもあります。 - 歯が欠けたり割れたりする
→ 強い力が繰り返し加わることで、歯の亀裂や破折に関係する場合があります。 - 詰め物や被せ物が繰り返し外れる・壊れる
→ 噛む力が一つの要因になっている可能性があります。 - 舌の横に歯の跡が付いている
→ 食いしばりなどと関連する場合がありますが、これだけで診断することはできません。 - 頬の内側に白い線がある
→ 歯が頬の粘膜に接触してできる場合があります。 - 冷たいものがしみる
→ 歯ぎしり・食いしばりによる負担が関係することもありますが、虫歯や歯肉退縮など別の原因もあります。 - 日中、気づくと上下の歯が触れている
→ 覚醒時ブラキシズムやTCHを疑う手がかりになります。
歯ぎしり・食いしばりには、さまざまなサインがあります。
ただし、一つの症状だけで「歯ぎしりが原因」と決めつけないことが重要です。
| サイン | 考えられること | 注意点 |
|---|---|---|
| 朝に顎が疲れる | 睡眠中の筋活動など | 顎関節症など他原因も確認 |
| 歯がすり減っている | 現在・過去の歯ぎしりなど | 摩耗だけでは現在の歯ぎしりを確定できない |
| 被せ物が繰り返し壊れる | 強い噛む力など | 被せ物自体の状態も確認 |
| 舌に歯型がある | 食いしばり・舌の状態など | 単独では診断できない |
| 日中に歯が触れている | TCH・覚醒時ブラキシズム | 気づいたときに力を抜く |
| 歯がしみる | 知覚過敏など | 虫歯などとの鑑別が必要 |
チェック項目が多いからといって、必ず歯ぎしり・食いしばりがあるとは限りません。
歯科医院では複数の情報を組み合わせて、歯や顎にどのような負担がかかっているかを確認します。
歯科医師は歯を見るだけで歯ぎしりがわかるのですか?
歯科医師は歯の摩耗や亀裂、詰め物・被せ物の破損、舌や頬の状態などから歯ぎしり・食いしばりを疑うことができます。ただし、歯を見るだけで現在の歯ぎしりを確定できるとは限りません。症状や家族からの情報なども合わせて判断します。
歯の状態から疑うことはできますが、見るだけで確定できるとは限りません。
歯科医院で、「歯ぎしりしていますね」と言われて、
「寝ているところを見ていないのに、なぜわかるの?」と思う方もいるでしょう。
歯科医師は、
- 歯のすり減り方
- 歯の亀裂や欠け
- 詰め物・被せ物の状態
- 舌や頬の圧痕
- 顎の筋肉の状態
- 顎関節の症状
- 患者さん本人の自覚症状
- 家族からの歯ぎしり音の情報
などを確認します。
ただし、すり減った歯は「以前に歯ぎしりをしていた跡」の可能性もあります。
より厳密に睡眠時ブラキシズムを評価する場合には、筋電図などを用いて睡眠中の咀嚼筋活動を測定する方法もあります。日本でも2026年に、7つの歯学部による睡眠時ブラキシズムの多施設臨床レジストリ研究が報告されています。
日本歯科医師会では、睡眠時ブラキシズムの診断では、歯ぎしり音や噛みしめの自覚、歯の摩耗、咬筋の状態、起床時の症状などが手がかりになる一方、こうした臨床所見だけによる診断には限界があると説明しています。
歯ぎしり・食いしばりを放置するとどうなりますか?
歯ぎしり・食いしばりによって強い力が繰り返し加わると、歯の摩耗・亀裂・破折、詰め物や被せ物の破損、顎の筋肉の疲れなどにつながる場合があります。ただし、歯ぎしりがあるすべての方に症状が起こるわけではありません。
歯や顎に強い負担が続くと、摩耗・破折・顎の疲労などが起こる場合があります。
歯は食事のときに大きな力を受け止めています。
そこへ歯ぎしりや食いしばりによる負担が長時間加わると、
- 歯がすり減る
→ 歯の先端や噛む面が平らになってくることがあります。 - 歯が欠ける・割れる
→ 歯に亀裂が入ったり、一部が欠けたりする場合があります。 - 詰め物・被せ物が壊れる
→ 歯だけでなく、治療した部分にも負担がかかります。 - 顎の筋肉が疲れる
→ 朝起きたときに顎がだるい、こめかみ周辺が疲れていると感じる場合があります。 - 顎関節に症状が出る
→ 顎の痛みや開けにくさなどに関係する場合があります。
日本歯科医師会でも、強い歯ぎしりは歯の亀裂や欠け、顎関節への負担などにつながる可能性があると説明しています。
ただし、歯ぎしりをしている方全員に歯の破折や顎関節症が起こるわけではありません。
だからこそ「歯ぎしりがあるか」だけではなく、歯ぎしりによって実際に何か問題が起きているかを確認することが重要です。
歯ぎしり・食いしばりで知覚過敏になることはありますか?
歯ぎしりや食いしばりによる力が、知覚過敏に関係する場合があります。ただし、歯がしみる原因は虫歯、歯肉退縮、歯の摩耗、酸蝕、亀裂などさまざまです。「食いしばりだから」と自己判断せず、まず原因を確認することが大切です。
歯ぎしりが知覚過敏に関係することはありますが、しみる原因はほかにもあります。
「食いしばりを指摘されてから、歯がしみるのもそのせいなのでは?」と思う方もおられるでしょう。
歯ぎしり・食いしばりによる繰り返しの負担が、歯の摩耗や亀裂などに関係し、しみる症状につながる場合があります。
しかし、知覚過敏には、
- 歯茎が下がって歯根が露出している
- 歯の表面が摩耗している
- 酸によって歯が溶けている
- 歯に亀裂がある
- 虫歯がある
など、さまざまな原因があります。
治療も原因によって異なります。知覚過敏抑制剤を使用したり、歯の表面を樹脂などで保護したりする場合があります。
「しみる=神経を取らなければならない」というわけではありません。症状が強い場合や長く続く場合は、まず虫歯や歯の亀裂などがないかを確認したうえで治療方法を考えます。
歯ぎしり・食いしばりの原因はストレスですか?
歯ぎしり・食いしばりをすべてストレスだけで説明することはできません。特に睡眠時ブラキシズムについては、噛み合わせの異常が主な原因とする科学的根拠は確立しておらず、中枢神経系の活動など複数の要因が関係すると考えられています。
「ストレスだけ」「噛み合わせだけ」が原因とは限りません。
「歯ぎしりはストレスが原因ですよね?」と質問されることがあります。
確かに、心理的な緊張やストレスが関連する場合はあります。
しかし、睡眠時ブラキシズムを、
「ストレスがあるから起こる」
「噛み合わせが悪いから起こる」
と一つの原因だけで説明することはできません。
日本歯科医師会では、睡眠時ブラキシズムについて、噛み合わせの異常が原因であるという科学的根拠は実証されておらず、中枢性の問題として考えられていると説明しています。
睡眠状態や生活習慣、一部の薬剤や嗜好品などとの関連が検討される場合もあります。原因を一つに決めつけるよりも、その方にどのような症状やリスクが出ているかを確認して対策を考えることが大切です。
ナイトガードを使えば歯ぎしり・食いしばりは治りますか?
ナイトガードは、睡眠中の歯ぎしりを完全に止めるための装置というより、歯の摩耗や破折、詰め物・被せ物などへの負担を管理する目的で使用されます。使用する必要があるかどうかは、歯の状態や症状を確認したうえで判断します。
ナイトガードは歯ぎしりを必ず止める装置ではなく、歯を守る目的で使われます。
睡眠中の歯ぎしりを指摘された場合、ナイトガードと呼ばれるマウスピース型の装置を提案されることがあります。
日本補綴歯科学会の睡眠時ブラキシズム診療ガイドラインでも、口腔内装置(スプリント)療法は管理方法の一つとして扱われています。
ナイトガードを使う主な目的として、
- 歯同士が直接強く擦れ合うことを防ぐ
- 歯の摩耗や破折から守る
- 詰め物・被せ物への負担を管理する
- 顎への負担を考慮する
などがあります。
ここで誤解しやすいのが、「ナイトガードを入れたら歯ぎしりをしなくなる」という考え方です。ナイトガードを装着していても、睡眠中の筋活動そのものが完全になくなるとは限りません。
ナイトガードは「歯ぎしりを止める装置」というより、「歯や治療した部分を守るために使う装置」と考えるとわかりやすいでしょう。
歯ぎしり・食いしばりへの対策は一つではありません。
睡眠中なのか日中なのか、どのような症状があるのかによって考え方が変わります。
| 状態 | 主な対策 | 目的 |
|---|---|---|
| 睡眠時ブラキシズム | 必要に応じてナイトガードなど | 歯や補綴物への負担を管理する |
| 日中の食いしばり | 気づいたときに顎の力を抜く | 歯の接触時間を減らす |
| TCH | 接触習慣への気づき・行動の見直し | 長時間の歯の接触を減らす |
| 歯の摩耗・破折 | 歯の状態に応じた治療 | 損傷した歯を保護する |
| 知覚過敏 | 原因確認・薬剤・樹脂など | 刺激による痛みを軽減する |
| 顎の痛み | 顎関節・咀嚼筋などを評価 | 痛みの原因を確認する |
大切なのは、全員に同じ対策をすることではありません。歯のすり減りが強い方、顎が痛い方、日中のTCHが中心の方では必要な対応が異なります。
市販のマウスピースを使ってもよいですか?
市販のマウスピースにもさまざまな種類がありますが、長期間使用する場合は歯科医院で歯や噛み合わせを確認してもらうことをおすすめします。合わない装置を使用すると違和感が出たり、十分な保護が得られなかったりする場合があります。
長期間使うナイトガードは、歯や噛み合わせを確認したうえで選ぶことが大切です。
ドラッグストアやインターネットでは、自分で形を整えるマウスピースも販売されています。
手軽に入手できる一方、
- 歯に合っていない
- 外れやすい
- 一部の歯だけ強く当たる
- 違和感が強い
といったことが起こる場合があります。
歯科医院でナイトガードを作製する場合は、歯型を採り、歯や詰め物・被せ物、噛み合わせなども確認します。特に被せ物やインプラントなどが入っている方、歯の破折を繰り返している方は、自己判断で長期使用するより歯科医院へ相談するとよいでしょう。
日中の食いしばりはどうすれば改善できますか?

日中の食いしばりやTCHでは、まず自分が上下の歯を接触させていることに気づくことが大切です。パソコンやスマートフォンなど、食いしばりやすい場面を把握し、「歯を離す」と書いたメモなどを利用して力を抜く習慣をつける方法があります。
日中は「食いしばらないよう頑張る」より、「気づいたら歯を離す」を繰り返しましょう。
日中の食いしばりは習慣になっていることがあり、本人はほとんど意識していません。
まず、
「パソコンを触っているとき」
「スマホを見ているとき」
「仕事に集中しているとき」
など、自分が歯を接触させやすい場面を探してみましょう。
対策としては、
- パソコンに「歯を離す」と書いた付箋を貼る
→ 目に入ったときに顎の状態を確認するきっかけになります。 - スマホを見るときに顎の力を確認する
→ 画面へ集中すると無意識に噛みしめていることがあります。 - 肩の力も一緒に抜く
→ 顎だけでなく首や肩まで力が入っていることがあります。 - 唇は軽く閉じても、上下の歯は離す
→ 歯を離すために口を大きく開ける必要はありません。 - 集中作業の合間に休憩する
→ 長時間同じ姿勢で集中することを避けるきっかけになります。
重要なのは、「絶対に噛んではいけない」と緊張することではありません。
気づいたら、そっと歯を離す。
これを繰り返していく方が、日常生活には取り入れやすいでしょう。
歯ぎしり・食いしばりは完全に治せますか?
歯ぎしり・食いしばりはタイプや背景が異なるため、「治療すれば必ず完全になくなる」とは言えません。特に睡眠時ブラキシズムでは、歯ぎしりそのものを完全にゼロにすることだけを目標にせず、歯・顎・詰め物や被せ物へのダメージを抑えることが重要です。
「歯ぎしりをゼロにする」だけでなく、「歯や顎を守る」ことも治療の大切な目的です。
歯ぎしりを指摘されると、「どうすれば完全に治りますか?」と考える方も多いでしょう。
しかし、特に睡眠中の歯ぎしりは、自分の意思で止められるものではありません。
そのため、治療では、
- 歯のすり減りが進んでいないか
- 歯に亀裂が入っていないか
- 詰め物・被せ物が壊れていないか
- 顎が痛くないか
- 日常生活に支障が出ていないか
などを確認します。
問題がある場合には、そのリスクを小さくするための対策を考えます。
「歯ぎしりをしている=病気」と考えるのではなく、「歯ぎしりによるダメージが起こっているか」を見ることが大切です。
歯ぎしり・食いしばりで歯科医院を受診した方がよいのはどんなときですか?
朝の顎の痛みが続く、歯が欠けた、詰め物や被せ物が繰り返し壊れる、口が開きにくい、知覚過敏が続くなどの症状がある場合は、歯科医院で確認することをおすすめします。歯ぎしり以外の病気が隠れていないかを確認することも重要です。
歯や顎に症状が出ている場合は、「歯ぎしりだから」と自己判断せず歯科医院へ相談しましょう。
次のような症状がある場合は、歯科医院で相談するとよいでしょう。
- 朝起きたときの顎の痛みや疲労感が続く
- 歯が欠けた、割れた
- 詰め物や被せ物が繰り返し壊れる
- 冷たいものがしみる状態が続く
- 顎が痛い
- 口を開けにくい
- 家族から繰り返し歯ぎしりを指摘される
- 歯科医院で歯のすり減りを指摘された
「歯ぎしりがあるだけ」で慌てる必要はありません。
一方で、次のように歯や顎に変化が出ている場合には、原因や影響を確認することが大切です。
| 症状 | 確認したい理由 |
|---|---|
| 朝の顎の痛みが続く | 咀嚼筋や顎関節への負担を確認するため |
| 歯が欠けた・割れた | 歯の破折や亀裂の程度を確認するため |
| 詰め物・被せ物が繰り返し壊れる | 噛む力や修復物の状態を確認するため |
| 知覚過敏が続く | 虫歯や亀裂など他原因との鑑別が必要なため |
| 口が開きにくい・顎が痛い | 顎関節や咀嚼筋の状態を確認するため |
| 家族に歯ぎしりを指摘された | 睡眠時ブラキシズムを疑う手がかりになるため |
歯ぎしり・食いしばりを指摘されたときに大切なのは、「今すぐ止めなければ」と不安になることではありません。まず現在の歯や顎にどのような影響が出ているのかを確認し、その方に必要な対策を選ぶことが重要です。
まとめ|歯ぎしりは「止める」だけでなく「歯を守る」という視点も大切です
歯ぎしり・食いしばりには、歯をギリギリ擦り合わせるタイプだけでなく、音を立てずに強く噛みしめるタイプや、日中に上下の歯を長時間接触させるTCHなどがあります。
そのため、
「家族から音を指摘されたことがないから大丈夫」
「強く食いしばっていないから問題ない」
とは限りません。
一方、歯ぎしり・食いしばりがあるからといって、すべての方に治療が必要になるわけでもありません。
大切なのは、
- 歯がすり減っていないか
- 歯が欠けたり割れたりしていないか
- 詰め物・被せ物が繰り返し壊れていないか
- 顎の痛みや疲労感がないか
- 日中に歯を接触させ続けていないか
などを確認することです。
日中の食いしばりでは、まず「今、歯が触れている」と気づき、力を抜くことから始められます。
睡眠中の歯ぎしりで歯への負担が心配される場合には、歯科医院で歯や噛み合わせの状態を確認し、必要に応じてナイトガードなどを検討します。
心斎橋クローバー歯科・矯正歯科では、歯ぎしりそのものだけを見るのではなく、その力によって患者さんの歯や顎、詰め物・被せ物にどのような影響が出ているかを確認することを大切にしています。
「食いしばりをしていると言われたけれど自覚がない」「朝になると顎が疲れている」「被せ物が何度も壊れる」といった場合は、一度歯科医院でご相談ください。








