ブルーラジカルという最新の歯周病治療は安全性が大丈夫だろうかと懸念されるかもしれません。ブルーラジカルの治療法とはどのような治療か、従来の治療法と何が違うのか、メリットやデメリットも含めて詳しくご紹介いたします。
ブルーラジカル治療とは
歯周治療、歯周炎、歯周ポケットの殺菌、スケーリングと明記され、厚生労働省より認可の下りた国内唯一の歯周病治療機器、それがブルーラジカルP-01です。チップから3%の過酸化水素に405nmブルーレイ(青い光)を同時照射して、過酸化水素をヒドロキシルラジカル(活性酸素)に変化させます。活性酸素は強い殺菌力を持つため、バイオフィルム内の細菌も死滅させることができるという目的の機器です。治療時には局所麻酔を用い、痛みが怖い方には静脈内鎮静法といった方法で眠っている間に処置するケースもあります。
こんな人におすすめな治療
東北大学が長い時間をかけて開発したブルーラジカルは、口内環境の悪い重度歯周病の患者さんを対象にしています。重度歯周病であれば、従来は外科治療(フラップ手術・歯周組織再生療法)を選択するのが一般的でした。歯茎をメスで切られるのは抵抗があるという方にとっては、ブルーラジカル治療は非外科的治療であるのでおすすめです。
重度歯周病とはどの程度を指すの?
歯周病といっても、自分が重度なのか、軽度なのかわからないという方もおられるでしょう。歯周病は完全に治癒というのが難しい疾患で、進行を止め健康な状態を維持するような治療を行います。歯茎の細菌感染である歯肉炎や歯周病についてご紹介すると、三段階に分類されます。
- 初期の歯周病(歯肉炎)
- 中度の歯周病
- 重度の歯周病
初期の歯周病
歯垢(プラーク)の中にいる歯周病菌が繁殖して、歯茎が炎症を起こしたり、出血をする症状です。歯肉のみが赤く腫れていて歯槽骨は正常な状態を指します。歯肉炎とも呼ばれ、この時期に治療を行えばピンク色の腫れてない歯茎に戻すことができます。再発予防も容易に行えます。
中度の歯周病
歯肉炎が進行し、歯周ポケットが4~6mmの深さに達すると、歯茎の腫れがぶよぶよして膿が出たり、口臭が起きたり、固いものを食べると歯が少し動く症状です。歯茎の腫れと歯槽骨の吸収が進んだ状態で歯の長さが長くなってしまっている状態です。歯槽骨の吸収で歯を支える顎の骨が痩せてしまっているため、歯が動いたり、噛んだ時に違和感を覚えます。歯周ポケットの奥に溜まった歯石や歯垢をブラッシングで掻き出すことは難しく、どんどん症状が悪化するため、早めの通院と治療後には再発予防の定期的通院が必要です。
重度の歯周病
中度の歯周病が進行すると、歯周ポケットが6mm以上の深さになり、歯茎からの出血・膿・口臭が酷くなり、噛む際に食事がしづらくなったり、歯と歯の隙間が目立つ症状があります。顎の骨が歯周病菌によりどんどん吸収されてしまっているため、歯を失った後に義歯治療を行おうとしても、骨が少なければ時間や費用も掛かります。歯周ポケットの奥にいる歯石や歯垢、そして歯石が出す毒素などを掻き出さなければならず、リスクの高い歯は抜かなければならない場合があります。治療後には定期的に通院を行い、歯周組織の状態を確認しなければなりません。
歯周病治療の定義とブルーラジカルの機能
歯周病の治療といえば歯石取りというイメージを持っている方は多いかもしれませんが、実際の目的はプラークという細菌の住処の除去にあります。歯石は細菌の温床となり歯周病を進行させるため、除去しますが、それのみで治療が終わるわけではありません。最も重要なのは、歯石を取ったあとにプラークが再び増えないように保つプラークコントロールです。
ブルーラジカルの機能
最新の歯周病治療機器のブルーラジカルP-01ですが、先述した通り、チップの先端から3%の過酸化水素水と405nmの青色レーザーを同時に放出します。プラークは高度なバリア構造があり、今までの治療では内部の細菌まで完全に除去するのが困難でした。分子量の小さい過酸化水素水はその内部に深く浸透でき、青色レーザーの照射により、過酸化水素が活性酸素に変化することで、強力なラジカル殺菌作用となり、プラーク内部の細菌を99.99%殺菌できます。
ブルーラジカルの安全性
器具が直接届かない歯周ポケットの奥深くに、水(過酸化水素水)と光(青色レーザー)を行き渡らせ、目に見えないプラークを破壊できます。この治療で使用する過酸化水素水は、レーザーが当たった瞬間のみラジカル化するため、体内に残ることはなく、活性酸素は人体の白血球が自然に用いている殺菌手段であり、耐性菌が発生しない点も大きなメリットです。繰り返し使用してもその効果が落ちることはありません。局所麻酔は行いますが、通常の歯周病治療と同程度の感覚で受けることができ、患者さんにとって大きな負担がなく安全性は高いと言えます。
従来の歯周病治療とブルーラジカルを比較
従来の治療法では不可能な深い歯周ポケットの細菌も殺菌でき、外科的な処置をしなくとも歯周病の進行を抑制できます。従来の治療法に比べて、患者様に与える負担が少なく、痛みを最小限に抑えることができるため、より快適な治療を提供することができます。
超音波スケーラー・再生療法・ブルーラジカルの比較
では、従来の歯周病治療(超音波スケーラー、再生療法)とブルーラジカル治療について比較してみましょう。

超音波スケーラー
超音波スケーラーは、器具を歯に直接当てて歯石やプラークを物理的に除去し、水で洗い流す方法です。そのため、器具が届かない歯周ポケットの深部には効果が及ばず、治療が難しい状態です。こうした部分には、抗生剤を使った化学療法や、歯ぐきを切開して直接歯根を清掃する外科手術が必要とされてきました。化学療法には耐性菌のリスクがあり、外科手術では術後の痛みや長い回復期間など、患者への大きな負担が課題となっていました。
再生療法
歯周病によって破壊された骨や歯周組織(歯ぐき、歯根膜など)を回復及び再生させることを目的とした治療法です。外科的な処置が必要となり、再生療法にもいくつか種類があります。
GTR法(組織再生誘導法)
人工メンブレンという膜を使って、歯周病菌により破壊された部分を覆います。歯周組織の再生スペースを確保し、歯槽骨や歯根膜の自然な再生を促します。
エムドゲイン法
歯の発生に関与するタンパク質(エナメル基タンパク質)が含まれたエムドゲインゲルを使用する治療法です。破壊された歯根面に塗布すると、歯が萌出する際の再現をしているような状態になり、歯周組織の再生を促進します。
骨移植法
患者さん自身の自家骨や牛骨由来の人工骨を用いて、失われた骨の再生を図る方法です。自家骨であれば体内から採取するため安全性が高いですが、骨を採取するための手術が必要で体への侵襲が高いです。他家骨であれば骨を採取するための手術が不要であり、体への侵襲が低いです。
再生療法は、すべての症例に適応できるわけではなく、骨の欠損の形や深さ、患者の健康状態やセルフケアの状況によって効果が左右されます。成功すれば歯の寿命を延ばすことができる重要な選択肢ですが、高度な技術と治療管理が求められます。
ブルーラジカル治療
ブルーラジカルは、歯周炎ステージⅢ・Ⅳの患者に対し、歯周ポケット内の殺菌とスケーリングを同時に行うことが目的で、画期的な歯周病治療器です。特に歯周ポケットの減少への明確な効果を目指した初の機器として注目されています。
- 持続性ではないが99.99%の細菌を除去可能な高い殺菌力
- 歯周病の進行を抑制する
- 歯周ポケットが浅くなる
- 炎症の軽減や膿の発生も抑制される
- 超音波スケーラー治療に比べて高い効果が得られる
- 体への負担が外科治療に比べて少ない
ブルーラジカル治療は非外科的かつ低侵襲ながら、深部まで効果的に殺菌できる点が大きな特長です。従来の治療と組み合わせることで、より効果的な歯周病管理が期待できます。
ブルーラジカルのデメリット
メリットばかりの治療というのはありません。ブルーラジカル治療のデメリットについてもお伝えします。
費用が高い
ブルーラジカルは保険適用外であり、自費診療です。保険適用内の治療であれば自己負担3割ですが、保険適用外であれば全顎負担です。当院では、モニター価格もご用意していますので気になる方は医院へお電話にてお尋ねください。
個人差がある
一度の照射で成功する方もおられれば、複数回の照射が必要な方もおられます。
即効より継続が大切
一度の施術で目に見える変化が実感は出来ないでしょう。定期的な評価とメインテナンスを含めた長期的な管理を行わなければなりません。
ブルーラジカルが難しいかもしれない方
ブルーラジカルを希望されても、体内の状態により難しい方もおられます。
- 局所麻酔ができない
- ペースメーカーを使用中である
- 無カタラーゼ症である
- 光線過敏症である
- 妊娠中または妊娠の可能性がある
- 自力で通院が難しい
- 通院継続が困難な可能性がある
まとめ

ブルーラジカルは、切らずに治療でき、痛みが少なく、再発を防ぎやすい最新の歯周病治療法です。歯肉の出血や口臭が気になる方、従来の治療に不安がある方に特におすすめです。心斎橋クローバー歯科では、ブルーラジカルご希望の方は、お電話のみでご予約を承っております。まずはお気軽にご相談ください。




