歯周病患者さんにとっての歯磨きは、単に汚れを落とすだけの目的ではありません。汚れを落として歯周病菌をお口の中から減らすことは確かに大切ですが、それに加えて歯肉をそっとマッサージするようにブラッシングしましょう。
目次
歯周病患者にとってのブラッシングの目的とは?
1.歯の汚れ落とし(歯周病菌の除去)
歯の汚れを落とすというと、お口の中に残った食べカスをきれいに洗い流すこと落とすと考えがちです。しかし、食べカスは歯周病の直接原因ではなく、歯磨きで除去しなければならない汚れとは、歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌の塊のことで、バイオフィルムとも呼ばれます。
食べカスは細菌のエサとなりますので、食べカスがお口の中にたくさん残っていると細菌を増殖させます。
虫歯も歯周病も細菌が引き起こす病気ですので、原因となる細菌を除去することがブラッシングの大きな目的の一つです。
2.血行促進、歯肉強化
虫歯の原因がミュータンス菌ということは、TVCMの影響もあり一般に良く知られるようになりました。虫歯予防のためのブラッシングであれば、細菌の塊である歯垢をきれいに取り去って細菌除去するということが第一の目的となります。
しかし、歯周病に関しては、細菌除去だけでは予防や治療をしたことにはなりません。歯周病の予防・治療のためには、ブラッシングで歯肉の血液循環を良くすることが必要になります。
とはいえ、歯茎を力任せにゴシゴシこするのは逆効果です。力を抜いて、ソフトにブラシの毛先を微振動させて、歯茎に弱い刺激を長時間与えます。そうすることで歯肉の血液循環が良くなって、歯肉の強化に繋がります。
なおすべきブラッシングの悪い癖とは?
歯磨き剤の使用方法が間違っていると、お口の中にダメージをあたえている可能性があります。
1.歯みがきの前に歯ブラシを水で濡らす
歯ブラシを水で濡らしておくとよく泡立つために磨いた気になってしまいます。お口の中が泡でいっぱいになると、細かい部分の汚れが落ちていないにも関わらず、歯がしっかり磨けたと錯覚してしまうのです。歯磨きは乾いた歯ブラシに歯磨き粉をつけて磨くようにしましょう。※歯磨き剤の使用をお勧めしないという先生もおられます。
2.歯磨き剤の付けすぎ
歯磨き剤の付けすぎにも注意が必要です。歯磨き剤は歯ブラシの毛の部分のだいたい3分の1程度を目安につけるようにしましょう。
3.歯ブラシで強くゴシゴシする
力を入れて強くゴシゴシ磨いていると、歯の表面のエナメル質や歯茎を傷つけてしまいます。歯ブラシは鉛筆持ちで力を抜いてやさしく振動させます。
ゴシゴシ磨くと、歯肉がその刺激に負けまいと分厚くなり、歯肉の肥厚(フェストゥーン)ができてしまいます。強く磨くと 歯肉が擦り減って歯茎が退縮してしまうこともあります。
歯周病患者が歯磨きで気をつけることに関するQ&A
歯ブラシを使う際には、歯みがきの前に水で濡らさず、強く磨きすぎないように気をつけます。また、歯磨き剤も適量使用することが重要です。
歯磨き剤の使い方に注意点は、付けすぎに注意することです。歯ブラシの毛の部分のだいたい3分の1程度を目安につけると良いです。
歯ブラシで強く磨くと歯の表面のエナメル質や歯茎を傷つけてしまいます。また、歯肉が分厚くなったり、歯茎が退縮したりすることもあります。
まとめ
歯周病予防・治療のためには、歯垢を落とすための歯磨きと、歯茎のマッサージのためのブラッシングが必要です。毎日ていねいに歯磨きをしているつもりでも、間違った方法で行って入れば逆効果になってしまいますので、正しい方法をぜひ身につけていただきたいと思います。