70代でもインプラントを受けるメリットはある?年齢・リスク・注意点を詳しく解説

70代でインプラント治療を検討している方には、「今から始めても遅い?」「手術が不安」「入れ歯のほうが安全なのでは?」と迷っている方も多いでしょう。70代でもメリットはあり、治療の可否は、年齢だけで決まるものではありません。全身の健康状態、服用している薬、あごの骨の状態、歯周病の有無、日常的な口腔ケアができるかなどを総合して判断します。
年齢以外にも、今後の生活にどのようなメリットがあるか、治療後も安全に管理できるかという視点で考えることが大切です。この記事では、70代でインプラントを受けるメリットや、デメリット、メンテナンス、他の治療法の選択肢について詳しくご説明いたします。
目次
70代でインプラントを受けるメリット① 食事を楽しみやすくなる
70代でインプラントを受ける大きなメリットの一つが、噛みやすさの改善を期待できることです。あごの骨に人工歯根であるフィクスチャーを埋め込み、その上に人工歯を装着する治療であるため、取り外し式の入れ歯と比較すると装置が動きにくく、食事中の安定感を得やすいという特徴があります。入れ歯を使っている方の中には、このようなお悩みがある方も多いです。
- 硬いものを避けている
- 食事中に入れ歯が外れそうで気になる
- 入れ歯が歯ぐきに当たって痛い
- 左右どちらか一方だけで噛んでいる
- 外食するときに食べ物を選んでしまう
固定式のインプラントによって噛む機能が改善すれば、これまで避けていた食品も食べやすくなり、食事の選択肢が広がります。70代以降は、食事量の低下や食べられる食品の偏りが低栄養につながりますが、無理なく噛める口腔環境を整えることは、生活の質を考えるうえで重要です。
インプラントを入れれば栄養状態が必ず改善するという意味ではありません。栄養状態には食習慣や全身疾患、消化機能、生活環境など多くの要因が関係しているため、しっかり噛んで食事をする環境を整える選択肢の一つと考えましょう。
70代でインプラントを受けるメリット② 残っている健康な歯を守りやすい
他に知っておいていただきたいメリットとして、残っている天然歯への負担を抑えやすいことです。歯を1本失った場合に行う義歯治療は、他にブリッジや部分入れ歯があります。
ブリッジや部分入れ歯の歯への負担
ブリッジでは、失った歯の両隣にある歯を支えとして人工歯を固定するため、症例によっては健康な歯を大きく削る必要があります。部分入れ歯は、金属などのバネを残っている歯にかけて固定するため、支えとなる歯に負担がかかります。
インプラントは欠損部分に独立して人工歯根を設置するため、隣の健康な歯を大きく削る必要がありません。70代になっても残っている天然歯をできるだけ長く保ちたい方にとって、大きなメリットと言えます。高齢になっても多くの天然歯を保つ人が増えているからこそ、失った歯だけを補うのではなく、残っている歯をどう守るかまで考えて治療方法を選ぶことが重要です。
70代でインプラントを受けるメリット③ 会話や外出への不安を減らせる
入れ歯は歯を失ったときの重要な治療方法ですが、人によっては装着時の違和感や動きが気になる場合があります。話している途中で入れ歯が動かないか心配、人前で外れたら困る、食事のたびに気になると感じる方もいるでしょう。インプラントは固定式の人工歯にできるるため、入れ歯特有の動きや着脱の煩わしさを減らせます。また、人工歯の色や形を周囲の歯に合わせることで、自然な見た目を目指しやすいのも特徴です。
70代は、仕事を引退した後に旅行や趣味を楽しんだり、家族や友人との時間が増える年代でもあります。そのため、旅行先で食事を楽しみたい、孫と一緒に外食したい、友人との会話を気兼ねなく楽しみたいといった希望がある方にとって、食べる・話す・笑うといった日常動作への安心感は、検討理由の一つでしょう。
70代のインプラントで注意したいデメリット・リスク
70代のインプラントには多くのメリットがありますが、すべての方に適しているわけではありません。特に知っておきたいのが、次のようなデメリットです。
| デメリット・リスク | 内容 |
|---|---|
| 外科手術が必要 | あごの骨にフィクスチャーを埋め込む手術を行うため、全身の健康状態によっては身体への負担を考慮する必要がある。 |
| 治療期間が比較的長い | 人工歯根と骨が結合するまで一定の期間が必要。骨造成を行う場合は、さらに治療期間が長くなる。 |
| 費用負担が大きくなりやすい | 自由診療のため、保険診療の入れ歯などと比較して費用が高くなる。 |
| 治療後もメンテナンスが必要 | 適切な歯磨きや定期的な歯科受診を続けなければ、インプラント周囲炎などを引き起こす。 |
現在の状態だけでなく、5年後、10年後にもメンテナンスを続けられるかという視点も重要です。
持病がある70代でもインプラントはできる?
70代になると、高血圧や糖尿病、心血管疾患、骨粗しょう症などの治療を受けている方も増えますが、持病があるから、絶対に治療ができないとは限りません。病気の種類や重症度、コントロール状態、服用している薬、予定する手術の規模などを確認したうえで個別に判断します。年齢だけではなく、全身状態や局所的なリスク、生活習慣などを含めて評価することは大事です。特に確認したい項目を挙げてみましょう。
| 持病・健康状態 | 確認すべきポイント |
|---|---|
| 糖尿病 | 血糖コントロールの状態や、感染リスク・傷の治癒への影響を確認。 |
| 高血圧・心血管疾患 | 血圧や循環器の状態、服薬内容を確認し、手術の安全性を慎重に判断。 |
| 抗凝固薬・抗血小板薬の服用 | 手術時や術後の出血リスクを考慮し、必要に応じて主治医と連携。 |
| 骨粗しょう症 | 骨の状態に加え、治療薬の種類や投与方法、使用期間などを確認。 |
| がん治療歴 | 放射線治療や薬物療法の内容を確認し、インプラント治療への影響を評価。 |
| 喫煙習慣 | 周囲の組織の健康や傷の治癒への影響を考慮。 |
服用中の薬を手術があるから血液をサラサラにする薬を止めようといった勝手な判断は危険です。インプラントの相談時には、お薬手帳や治療歴がわかる資料を持参し、必要に応じてかかりつけ医と歯科医師に連携してもらいましょう。
あごの骨が少ない場合でもインプラントは可能?
70代でインプラントを検討する際、骨が少ないので難しいと言われるケースもあります。骨を失ってから長期間が経過すると、歯を支えていたあごの骨が痩せてしまいます。骨に固定する治療であるため、治療前にCTなどを使って骨の幅、骨の高さ、骨の形、神経や血管の位置などを詳しく確認する必要があります。
骨が不足している場合は、骨造成などの処置をすると行えるケースがあります。ただし、骨造成を行うことで身体的負担や治療期間、費用が増える可能性は十分に考えられます。70代の場合は技術的に可能かだけでなく、追加処置をしてまで行うメリットが本人にあるかという視点で考えましょう。入れ歯や少ない本数のインプラントを利用する方法など、より負担の少ない治療が適することもあります。
70代だからこそ重要なインプラントのメンテナンス
70代でインプラント治療を受ける場合、治療と同じくらい重要なのが、その後のメンテナンスです。周囲にプラークが蓄積するとインプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎が起こり、進行すると人工歯根を支える骨が失われる可能性があります。天然歯と異なり、むし歯になることはありませんが、支える骨に影響を与えてしまいます。インプラント周囲炎は自覚症状が乏しいまま進行するため、定期的な検査やクリーニングが重要です。
体の変化の可能性
手指が動かしにくくなったり、視力の低下、通院が困難、介護が必要といった変化が起こる可能性も考えておかなければなりません。そのため、治療前に次のような点まで確認しておくと安心です。
- 自宅から無理なく通院できる歯科医院か
- 家族や介護者が口腔ケアを手伝える環境があるか
- 歯間ブラシなどを無理なく使用できる設計か
- 使用したメーカーや型番などの情報を残してもらえるか
70代のインプラントは、現在の噛みやすさのみでなく、外科手術による身体への負担、費用、残存歯、骨の状態、通院環境など将来的なメンテナンスのしやすさまで比較して自分に合った治療方法を選びましょう。
70代はインプラント・入れ歯・ブリッジのどれを選ぶべき?
メリットはありますが、70代ならインプラントが一番と断言できません。それぞれの治療にメリット、デメリットがあります。
| 治療方法 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| インプラント | 固定され、しっかり噛みやすい。隣の健康な歯を削らずに治療できる。 | 外科手術が必要で、自由診療のため費用が高く、定期的なメンテナンスも欠かせない。 |
| ブリッジ | 固定式で違和感が比較的少なく、症例によっては短期間で治療できる。 | 両隣の歯を支えにするため、健康な歯を削る必要が生じる。 |
| 部分入れ歯 | 外科手術を避けやすく、保険診療を選べるケースもある。 | 装着時の違和感やずれが生じることがあり、バネをかける歯に負担がかかる場合がある。 |
| インプラントオーバーデンチャー | 少数のインプラントで入れ歯を支えるため、通常の入れ歯より安定感を得やすい。 | 外科手術や費用負担があり、取り外し式のため、入れ歯とインプラントの両方の清掃・管理が必要になる。 |
70代のインプラント治療で歯科医院を選ぶポイント
インプラント治療を受ける歯科医院を選ぶときは、症例数が多いかだけを見るのではなく、診断と長期管理の体制も確認しましょう。特に70代では、全身疾患や服薬への対応、医科との連携、将来的なメンテナンスが重要です。歯科医院を選ぶ際には、次のような点を確認するとよいでしょう。
- CTなどを使用して骨や神経・血管の位置を確認している
- 持病や服薬内容を詳しく確認している
- 必要に応じて医科の主治医と連携できる
- それ以外の義歯治療も説明してくれる
- メリットだけでなくリスクについても説明してくれる
- 治療後のメンテナンス体制が整っている
- 将来セルフケアが難しくなった場合についても相談できる
- 治療費の総額や追加処置の可能性を事前に説明してくれる
70代でも絶対に大丈夫とすぐ治療を勧めず、全身状態や口腔内を詳しく確認し、他の選択肢まで説明してくれる歯科医院で相談してください。
よくあるご質問
インプラントを70代で始めることに関するご質問をまとめました。
70代からインプラントを始めるのは遅いですか?
年齢だけを理由に遅すぎるとは言えません。高齢者を対象とした研究でも高いインプラント生存率が報告されています。重要なのは全身状態、骨量、歯周病、服薬、メンテナンス能力などを個別に評価することです。
75歳を超えていてもインプラントはできますか?
可能なケースはあります。75歳以上を対象とした研究でも良好なインプラント生存率が報告されていますが、持病や服薬、セルフケア能力などを含めた慎重な診断が必要です。
骨粗しょう症でもインプラントはできますか?
骨粗しょう症があるだけで不可とは限りませんが、骨の状態だけでなく、骨粗しょう症治療薬の種類や投与方法、使用期間などを確認する必要があります。場合によっては医科の主治医との連携を要します。
70代なら入れ歯とインプラントのどちらがよいですか?
一律には決められません。固定した歯を希望し、全身状態や骨の条件が適していて、長期的なメンテナンスが可能ならインプラントが有力な選択肢になりますし、外科手術を避けたい場合や通院・清掃が難しい場合には、入れ歯が適することもあります。
インプラントは何年くらい持ちますか?
寿命には個人差があり、何年持つと断言はできません。ただし、高齢者を対象とした研究でも5年間で高い生存率が報告されています。長く使うためには、歯周病や清掃状態、喫煙、噛み合わせ、全身状態などを管理し、定期的なメンテナンスを続けることが大切です。
70代でインプラントを受ける一番のポイントは何ですか?
今、手術を受けられるかだけでなく、今後もメンテナンスを続けられるかまで考えることです。70代では将来の通院環境やセルフケア能力の変化も想定して治療計画を立てることが重要です。
まとめ

70代でも、インプラント治療によって噛みやすくなる、入れ歯の動きや違和感を減らせる、残っている健康な歯を削らずに欠損を補えるといったメリットを得られる可能性があります。年齢だけを理由に治療を諦める必要はないですが、持病や服薬、あごの骨の状態、口腔清掃能力、将来的な通院環境まで含めた判断が欠かせません。重要なのは、インプラントを埋め込めるかだけではなく、治療後も安全に管理し続けられるかという点です。
インプラントを検討している場合は、入れ歯やブリッジなどの代替治療についても説明を受け、自分の健康状態、生活スタイル、予算、将来のメンテナンスまで含めて比較しましょう。70代だからもう遅いと年齢だけで諦める必要はありません。まずは治療に対応している歯科医院で精密検査を受け、自分の場合にはどのようなメリットとリスクがあるのかを具体的に確認することから始めましょう。








