歯と口のトラブル

ガミースマイルとは

ガミースマイルとは

ガミースマイルという言葉を知っても、詳しくないという方はおられるでしょう。ガミースマイルは病気ではありませんが、審美的、精神的に気になる状態です。今日はガミースマイルの原因、治療法について詳しくご紹介いたします。

ガミースマイルとは

ガミースマイルとは、笑った時に歯茎(ガム)が通常よりも多く目立つ状態で、一般的には笑顔を作った際に上の歯茎が3mm以上露出している場合、診断されることが多いです。コーカソイドと呼ばれる欧米人と比べて、日本人はモンゴロイドと呼ばれるアジア人に分類されるためどうしても顎が前に出がちな骨格です。笑顔が魅力的であるかどうかの基準として歯と歯茎のバランスが重要ですが、ガミースマイルになるとこのバランスが崩れ、歯茎が目立ってしまうために悩む方が多くおられます。健康に直接的な影響を与えませんが、笑うことに対して自信を失うため、改善を希望する方も多いです。

ガミースマイルが与える影響

ガミースマイルは見た目に関する悩みを引き起こすため、下記のような影響があります。

①コンプレックス

笑った時に歯茎が目立つため、笑顔に自信が持てなくなる方が多くいます。特に写真や鏡を見た際に気になってしまい、日常的に口元を隠して笑うような行動をとる方もいます。

②自己表現への制限

ガミースマイルが気になるあまり、笑顔を控えることでコミュニケーションに影響が出る場合もあります。特に、初対面の人との会話や写真撮影など、第一印象で重要な笑顔の自信を失いがちです。

③発音や噛み合わせの影響

骨格や歯の位置が原因でガミースマイルになると、発音や噛み合わせにも悪影響を及ぼすことがあります。歯並びの不正咬合は、矯正治療が必要になることが多いです。

ガミースマイルが起こる原因

ガミースマイルには、さまざまな原因が考えられます。

上顎の骨格の発達

上顎が過度に発達していると、歯茎が自然に前方に突出し、笑った時に歯茎が目立ちやすくなります。これは骨格的な問題であり、遺伝的な要因が強いです。

歯の長さが短い

歯が短く見える場合、その原因は歯茎が過度に覆っているためかもしれません。正常な歯の長さに比べて、歯と歯茎のラインが下の方になり、ガミースマイルが引き起こされることがあります。

上唇が上がりすぎる

笑う際に上唇が過度に上がる「過剰な唇の動き」があると、歯茎が大きく露出します。これは、上唇挙筋という筋肉の働きに原因があることが多いです。

歯並びが悪い

歯並びが悪く前歯の角度が上向きに出ている場合、歯茎が強調されて見えることがあります。

ガミースマイルの治療法

どのような原因によりガミースマイルが起こっているかにより、治療法が異なります。

歯冠長延長術(クラウンレングスニング)

歯茎が過度に歯を覆っている場合、歯茎を切開してはがし、歯槽骨を少し削る手術を行い、骨が減った状態を持続します。歯が長く見えて歯茎の分量を減らすことができます。更にセラミックのクラウンを被せる治療を併用すると、より歯が整った印象を与えることができます。

粘膜切除術

上唇が上がりすぎる場合、口唇の裏側の粘膜と歯肉の上側の粘膜を切り取り、縫合して上唇が上がりすぎるのを防止する治療法です。一回の手術で長期間の効果が保てます。

上唇のボトックス注射

上唇が過度に動くことでガミースマイルが発生しているならば、ボトックス注射で筋肉の動きを抑えることが効果的です。注射後は上唇の動きが制限され、歯茎が露出しにくくなりますが、約3~4ヶ月で元の状態に戻るため、長期間の効果は難しいです。

矯正治療

歯因性の歯並びでガミースマイルが起きている場合、歯列矯正で歯並びを整えると改善が期待できます。歯を正しい位置に移動させるために、アンカースクリューという補助装置を歯茎に埋め込み、その力を固定源に動かしたい歯のみを動かすワイヤー矯正治療が効果的です。上顎の発達については患者さんのお口の状態によって矯正治療で可能な場合がありますが、難しい場合もあります。

自分に合った治療法とは

ガミースマイルを改善するためには、まず自分の口腔状態をしっかりと把握することが大切です。原因に応じて最適な治療法が異なるため、歯科医師とよく相談して下記のポイントを考慮して治療法を選びましょう。

治療のリスクと効果

粘膜切除術などの外科的治療は手術であるため、リスクも伴います。

  • 鼻の下に内出血が起きるケースがある
  • ダウンタイムがある
  • 口腔内で感染が起きるケースがある
  • 術後唇がひきつったように感じる

お口周りの筋力の強い方や、口唇の特徴によっては、粘膜切除術が向かない場合がありますので、治療後の経過や副作用についても十分に理解したうえで、最適な方法を選択することが重要です。

費用や期間の検討

矯正治療や外科手術は高額な費用がかかることが多いため、予算や治療期間を考えておく必要があります。短期間で効果が期待できる治療法もありますが、費用と効果のバランスを見極めましょう。

まとめ


ガミースマイルは、見た目に関する悩みを抱える方が多いですが、治療法は多岐にわたります。歯肉の切除やボトックス注射、矯正治療など、原因に応じて適切なアプローチを選ぶことが可能です。歯科医師としっかり相談し、自分に合った治療法を見つけることで、笑顔に自信を取り戻すことができるでしょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

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