歯と口のトラブル

親知らずの抜歯後の注意点を教えて

親知らずの抜歯後の注意点を教えて

「親知らずを抜いた後、どんなふうに過ごせばいいんだろう…」
「痛みが続いたらどうしよう?」
「食事は何を食べたらいいの?」

親知らずの抜歯が終わった後、そんな不安を感じる方は多いのではないでしょうか。

抜歯を終えてホッとしたのも束の間、じわじわと襲ってくる痛みや、腫れ、そして「このまま放っておいて大丈夫なの?」という不安…。実は、抜歯後の過ごし方次第で、痛みや違和感を最小限に抑え、回復をスムーズにすることができます。

「しっかりケアしたいけれど、何に気をつければいいのかわからない…」

そんなあなたに向けて、親知らずの抜歯後に気をつけるべきポイントを、わかりやすくご紹介します。ちょっとした工夫をするだけで、痛みを和らげ、快適に回復期間を過ごせるようになります。

抜歯後の痛みや腫れへの対処法

抜歯後、最も気になるのは「痛み」と「腫れ」です。個人差はありますが、抜歯後1~2日は特に腫れやすく、痛みが出やすいタイミングといわれています。

痛みや腫れを抑える方法

痛み止めの服用

抜歯後、痛みを感じる場合は、歯科医院で処方された痛み止めを指示通りに服用しましょう。「まだそれほど痛くないから…」と我慢せず、適切なタイミングで飲むことで痛みのピークを抑えられます。市販の鎮痛剤を服用する場合は、歯科医に相談すると安心です。

冷やすタイミングと注意点

抜歯当日は、患部の外側(頬側)を冷やすことで腫れを軽減できます。ただし、冷やしすぎると血流が悪くなり、回復が遅れることがあるため、1回につき10分~15分程度を目安にしましょう。また、氷を直接当てるのではなく、タオルなどを巻いた保冷剤を使うと良いでしょう。

安静に過ごすことが大切

抜歯当日は、激しい運動や長時間の入浴は避けましょう。血行が良くなりすぎると、出血が続いたり、腫れがひどくなったりする可能性があります。抜歯当日は、なるべくゆったりと過ごし、回復を優先してください。

横になりすぎないようにする

横になると、血流の影響で腫れや痛みが増すことがあります。枕を少し高くして寝ることで、腫れを軽減できます。

通常、腫れは2~3日ほどでピークを迎え、その後徐々に引いていきます。1週間以上腫れや痛みが続く場合は、歯科医院へ相談しましょう。

食事のポイント

食べていいもの・避けるべきもの

「食事をするときに傷口を気にしてしまう…」「何を食べたらいいのかわからない…」と不安に思う方も多いですよね。抜歯後の食事は、傷口の保護と回復を助けるために、慎重に選ぶ必要があります。

食べていいもの

やわらかい食べ物(おかゆ、スープ、豆腐、ヨーグルト、ゼリーなど)
常温またはぬるめのもの(熱い食べ物は傷口を刺激するため)
栄養価の高いもの(回復を早めるため、ビタミンやタンパク質を意識しましょう)

避けるべきもの

硬いもの・噛む力が必要なもの(せんべい、ナッツ、ステーキなど)
刺激の強いもの(辛い料理、アルコール、炭酸飲料)
ストローを使う飲み物(吸う力で血餅が剥がれやすくなるため)

特に「ドライソケット(傷口の血餅が取れてしまう状態)」を防ぐために、吸う動作や強く噛む動作を避けることが大切です。

口腔ケアはいつから?歯磨きの注意点

「抜歯後の傷口って、どうやってケアしたらいいの?」
「うがいをしていいのか、歯磨きをしていいのか、怖くて何もできない…」

親知らずを抜いた後、口の中のケアについて悩まれる患者さんはとても多いです。傷口に触れたり、刺激を与えたりすることで、回復を遅らせるのではないかと不安になりますよね。特に、抜歯後は食べかすが溜まりやすく、感染が心配な方も多いでしょう。

しかし、適切な口腔ケアを行うことで、細菌の繁殖を防ぎ、傷口の回復を助けることができます。大切なのは、「無理に触らず、優しくケアすること」です。

抜歯当日はどうする?

まず、抜歯当日は傷口がデリケートな状態ですので、過剰な刺激を与えないことが大切です。

うがいは最小限に

「口の中が気持ち悪いから…」と強いうがいをしたくなるかもしれませんが、これは要注意です。抜歯後の傷口には「血餅(けっぺい)」という血の塊ができ、これが自然なカサブタのような役割を果たしてくれます。

この血餅が剥がれると、「ドライソケット」という強い痛みを伴う状態になる可能性があります。そのため、抜歯当日のうがいは最小限に抑え、どうしても気になる場合は、「ぬるま湯で軽く口をすすぐ程度」にしましょう。

歯磨きは傷口を避けて

歯磨き自体は禁止ではありませんが、傷口に歯ブラシを当ててしまうと刺激になるため、抜歯当日は傷口を避けて磨きましょう。また、歯磨き粉のミント成分がしみることがあるため、使わずに磨くのもひとつの方法です。

翌日以降のケアは?

抜歯の翌日からは、少しずつ通常のケアに戻していきましょう。ただし、傷口が完全にふさがるまでは慎重なケアが必要です。

優しく歯磨きをする

抜歯した部分を意識しすぎるあまり、歯磨きをしないと、口腔内に歯垢が溜まり、傷口の回復を遅らせることになります。傷口を避けながら、他の歯はしっかり磨くようにしましょう。

洗口剤やお湯でのうがいを活用する

抜歯後は口の中が不衛生になりやすいため、歯科医院で処方された洗口剤や、ぬるま湯を使って優しくうがいをするのも効果的です。ただし、市販の刺激の強いうがい薬(アルコール成分が含まれているもの)は、傷口に刺激を与えてしまうことがあるため、使用を避けた方がよいでしょう。

歯ブラシの選び方も大切

普段使用している歯ブラシの毛が硬い場合は、やわらかい毛のものに変更すると、より傷口に優しくケアできます。

デンタルフロスや歯間ブラシはどうする?

デンタルフロスや歯間ブラシは、歯と歯の間の清掃にはとても効果的ですが、抜歯後しばらくは使用を控えた方がよいでしょう。誤って傷口に当たると、血餅が取れたり、炎症を引き起こす可能性があります。少なくとも1週間程度は控え、その後も慎重に使うようにしてください。

抜歯後に気をつけるべき口腔ケアNG行動

抜歯後は、以下のような行動を避けることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

  • 強いうがいをする → 血餅が取れると、傷の治りが遅れる原因に
  • 歯ブラシで傷口をゴシゴシ磨く → 刺激になり、出血や感染のリスクが高まる
  • タバコを吸う → 血流が悪くなり、治癒が遅れる原因に
  • アルコール入りのうがい薬を使う → 刺激が強すぎるため、抜歯直後は控える
  • フロスや歯間ブラシを使う → 傷口を刺激する可能性がある

出血・違和感が続く場合の対応

通常、抜歯後の出血は数時間で止まりますが、まれに長く続くこともあります。

出血が続く場合の対処法

清潔なガーゼを噛む → 軽く圧をかけることで出血が止まりやすくなります。
強いうがいを控える → 血餅が剥がれやすくなるため、最小限にしましょう。
リラックスする → 血圧が上がると出血が増えるため、安静に過ごしてください。

また、違和感や痛みが強くなる場合、傷口が化膿している可能性もあるため、早めに歯科医院を受診しましょう。

抜歯後のトラブルを防ぐためにできること

抜歯後の回復をスムーズにするために、以下のポイントも意識してみてください。

禁煙を心がける → タバコの煙は傷の治癒を遅らせるため、できるだけ控えましょう。
アルコールを控える → 血行が良くなりすぎて、出血が止まりにくくなる可能性があります。
ストレスを避ける → 体調が回復しやすいよう、無理のない生活を心がけましょう。

これらの対策を守ることで、トラブルを防ぎ、回復を早めることができますよ。

「口の中が気持ち悪い…」そんなときは?

抜歯後、食事をした後に「口の中がすっきりしない」「食べかすが気になる」と感じることもあるでしょう。でも、強いうがいはできないし、傷口を触るのも怖い…そんなときは、以下の方法を試してみてください。

  • ぬるま湯や洗口液を使って優しくすすぐ
  • 舌を動かして食べかすを流す(無理に吐き出さない)
  • 小さめのスプーンを使って、奥歯の食べかすを取り除く(力を入れないように)

無理に傷口を触らず、自然に口腔内を清潔にする意識が大切です。

まとめ

抜歯後のケアをしっかり行い、早く快適な状態へ!

親知らずの抜歯後は、少しの工夫で痛みや腫れを軽減し、スムーズに回復できます。

  • 痛みや腫れを抑えるために、痛み止めの服用や冷却を活用する
  • 食事はやわらかいものを選び、傷口に優しい食生活を心がける
  • 口腔ケアは翌日から慎重に行い、歯垢をためないようにする
  • 出血や違和感が続く場合は、無理せず歯科医院へ相談する
  • タバコやアルコールを控え、体を休めることも大切

これらのポイントを意識すれば、快適な回復期間を過ごせるはずです。「親知らずを抜いた後、どうすればいいの?」と不安な方も、ぜひ実践してみてくださいね。

この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

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心斎橋クローバー歯科・矯正歯科

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