歯と口のトラブル

奥歯が抜けたまま放置するとリスクがあるの?

奥歯が抜けたまま放置するとリスクがあるの?

奥歯は食べ物を噛み砕くために非常に重要な役割を担っており、失ったままにしておくとお口全体に影響を及ぼす可能性があります。奥歯が抜けたまま放置した場合に生じるリスクと、その対処方法についてご説明します。

奥歯が抜けたまま放置するリスクとは?

奥歯が抜けたまま放置すると、単に見た目の問題だけでなく、お口全体に様々なリスクが生じます。奥歯は食べ物をしっかり噛むために重要な役割を果たしており、失われたままでは、他の歯や歯茎、顎関節に影響が及ぶことがあります。

主なリスクには以下が含まれます。

  1. 噛み合わせが乱れる
  2. 歯周病のリスクの増加
  3. 顎の骨の退縮
  4. 他の歯への負担
  5. 全身の健康への影響

1. 噛み合わせが乱れる

奥歯がなくなると、隣接する歯や対合する歯がその隙間に向かって移動する傾向があります。この歯の動きにより、噛み合わせが崩れ、以下のような問題を引き起こします。

  • 顎関節症・・噛み合わせの崩れは、顎関節に不自然な負担をかけ、痛みや音が鳴るなどの顎関節症状を引き起こすことがあります。
  • 歯列の乱れ・・他の歯が移動し、歯並びが悪くなることで、見た目や機能に悪影響を及ぼします。
  • 消化不良・・食べ物をしっかり噛めなくなると、消化器官に負担がかかり、消化不良を引き起こすことがあります。

2. 歯周病リスクの増加

奥歯が抜けた後、空いたスペースに歯垢が溜まりやすくなります。この部分は清掃が難しく、口腔衛生状態が悪化しやすいです。これが歯周病のリスクを高めます。歯周病が進行すると、歯茎や骨が破壊され、残っている歯まで失う可能性があるため、注意が必要です。また、歯周病は心臓病や糖尿病などの全身疾患とも関連していることが研究で示されています。

3. 顎の骨の退縮

歯を失うと、その部分の顎の骨(歯槽骨)が使われなくなるため、時間と共に骨が減少していきます。この現象は「顎骨の退縮」と呼ばれ、骨が痩せていくとインプラント治療が困難になるだけでなく、顔の輪郭が変わることもあります。特に奥歯がなくなると、顔の下半分が縮むように見えることがあり、老けた印象を与えることがあります。

4. 他の歯への負担

奥歯を失った場合、残っている歯にかかる噛む力が偏ります。これにより、特に前歯や他の健康な歯が過度に使われることになります。これが原因で残存歯がすり減ったり、歯周病が悪化する可能性があります。さらに、残っている歯が歯根から動いてしまい、最終的に抜けてしまうリスクも高まります。

5. 全身の健康への影響

口腔内の健康は全身の健康と密接に関係しています。奥歯がなくなり、噛む力が低下すると、硬い食べ物を避けるようになり、食事の栄養バランスが崩れることがあります。これが原因で体重減少や栄養失調、さらには免疫力の低下に繋がることもあります。また、歯周病の進行は全身の炎症を引き起こし、心臓疾患や糖尿病、さらには認知症のリスクを高めることが報告されています。

これらのリスクは放置期間が長くなるほど深刻化し、治療が難しくなることもあるため、早めの対応が重要です。

噛み合わせの崩れによる影響

奥歯を失うと、隣接する歯や対合する歯が動き、噛み合わせが乱れることがあります。これにより、次のような問題が発生します。

  • 食べ物を噛む力が分散され、他の歯に負担がかかる
  • 噛み合わせが悪くなると、顎関節に痛みや疲れが生じる
  • 噛み合わせの不調により、食べ物をしっかり噛むことができなくなり、消化不良を引き起こすことも

特に奥歯は力を受け止める役割が大きいため、噛み合わせの崩れは体全体のバランスにも影響を与えることがあります。

歯周病のリスクが高まる理由

奥歯が抜けたまま放置されると、歯の隙間や空いたスペースに歯垢が溜まりやすくなります。この歯垢が原因で歯周病のリスクが高まります。

歯周病のリスクが高まる要因

  • 歯磨きが難しくなり、口腔内の衛生管理が不十分になる
  • 歯周病が進行すると、残った歯にも影響が及び、最悪の場合、さらに多くの歯を失うリスクがある
  • 歯周病が悪化すると、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があり、心臓病や糖尿病などとの関連も指摘されています

したがって、奥歯を抜けたままにしておくことは、歯周病の進行を加速させる大きな要因となり得ます。

残された歯にかかる負担とその結果

奥歯がない状態では、残った歯に過度な負担がかかります。特に食べ物を噛む際に、本来奥歯で受けるべき力が他の歯に集中するため、次のような結果を招くことがあります。

  • 残った歯がすり減るスピードが速くなる
  • 歯が動きやすくなり、歯並びが乱れる
  • 過剰な負担により、残っている歯や歯根にダメージを与える

これにより、健康な歯まで失うリスクが高まるため、早めに抜けた歯を補う治療を検討することが推奨されます。

早期治療の重要性とその選択肢

奥歯が抜けた場合、放置することはリスクが大きい一方で、早期に治療を行うことでこれらのリスクを回避することができます。奥歯を補うための治療法にはいくつかの選択肢があります。

代表的な治療方法

インプラント治療

抜けた歯を人工の歯根で補う方法。自然な噛み心地を取り戻すことができ、長期間の使用が期待できます。

ブリッジ治療

隣接する歯を削って橋渡しのように補う方法。インプラントに比べると治療が簡単ですが、周囲の歯への負担がかかることも。

入れ歯

取り外し可能な補綴物で、比較的簡単に対応できますが、安定性や使用感に課題がある場合も。

早期に適切な治療を受けることで、噛み合わせや口腔内の健康を維持し、全身の健康にも良い影響を与えます。

放置によるリスクを最小限にするためのケア方法

奥歯が抜けたまま放置すると、さまざまなリスクが生じることがわかりましたが、リスクを最小限に抑えるためには、定期的な健診や適切なケアが重要です。

リスクを軽減するためのポイント

  • 定期的な健診を受け、口腔内の状態を常に把握する
  • 歯磨きを徹底し、歯垢の蓄積を防ぐ
  • 適切なタイミングで治療を受けることで、深刻な問題を回避する

特に、抜けた歯がある場合は、健診で残っている歯や歯茎の状態をチェックし、問題がないか確認することが重要です。

まとめ

奥歯が抜けたまま放置することは、噛み合わせの乱れや歯周病の進行、他の歯への負担増加といった多くのリスクを引き起こす原因となります。しかし、早期に適切な治療を行うことで、これらの問題を未然に防ぐことが可能です。

インプラントやブリッジ、入れ歯など、様々な治療方法があり、自分に合った選択肢を見つけることが重要です。また、定期的な健診や適切なケアを継続することで、口腔内の健康を維持し、全身の健康にも繋がります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

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