インプラント

オールオン4が向く人、向かない人とは?

オールオン4が向く人、向かない人とは?

オールオン4は、全ての歯を失ってしまった人や多くの歯を失った人にとって有効なインプラントの治療法ですが、誰にでも適しているわけではありません。「オールオン4が向く人」と「向かない人」の特徴、それぞれの患者さんにとって最適な選択肢を見つけるためのポイントについてご説明します。

オールオン4とは?

オールオン4

オールオン4は、失った歯を全て取り戻したい患者さんのために、顎の骨に4本のインプラントを埋め込み、それを土台として固定された義歯を装着する治療方法です。これにより、従来のインプラント治療よりも少ないインプラントで広範囲の歯をカバーでき、短期間での回復が可能です。以下のセクションでは、どのような患者さんにオールオン4が向いているのか、またどのような条件があると不適応となるのかを詳しく解説していきます。

https://www.kitaosaka-implant.com/implant_guide/impg_allon4.html

オールオン4が向く人の特徴

オールオン4は、従来のインプラントに比べて短期間で広範囲の歯を修復することができるため、以下のような患者さんに特に適しています。

1. 多くの歯を失っている、または全ての歯を失っている人

オールオン4は、複数の歯を一度に再生できるため、ほぼ全ての歯を失ってしまった人に最適な治療法です。入れ歯の不安定さや動揺が気になる人にとっては、固定式のオールオン4は大きな安心感を提供します。また、従来のインプラントに比べ、少ない本数で広い範囲をカバーできるため、経済的な負担が軽減される点も魅力です。

2. 比較的骨量があり、顎の骨が安定している人

インプラントを支える顎の骨がある程度の強度と健康状態を保っていることが、オールオン4の成功には重要です。一般的に骨が少ない場合、追加の骨移植手術が必要になることもありますが、オールオン4は比較的骨量が少なくても対応できる設計です。しかし、十分な骨があることは、安定したインプラントの装着に有利となります。

3. 入れ歯の使用に不満がある人

動く入れ歯やメンテナンスの手間、見た目の違和感など、入れ歯に不満がある人にはオールオン4が適しています。固定式の義歯により、日常生活における不安が軽減され、口元の見た目や発音の改善が期待できます。特に、食事中に入れ歯が動くことが不快と感じる人にとっては、オールオン4による固定された義歯が非常に適しています。

4. 治療時間を短縮したい人

オールオン4の最大のメリットの一つは、治療期間が短いことです。従来のインプラント治療では、骨とインプラントが融合するまでの期間を要しますが、オールオン4はその期間を短縮でき、より早く歯を取り戻すことが可能です。これにより、早期に通常の生活に戻りたいという希望を持つ患者さんには非常に適した治療法となります。

5. 長期的な安定性を求める人

オールオン4は、骨としっかりと結合することで長期間の使用が可能です。適切なケアと定期的な健診を行うことで、長期的に安定した機能と美しい見た目を保つことができます。

オールオン4が向かない人の特徴

オールオン4は優れた治療法ですが、以下のような特徴を持つ患者さんには必ずしも適しているとは限りません。

1. 顎の骨が非常に少ない、または質が低い人

オールオン4では、4~6本のインプラントで義歯を支えますが、奥歯側のインプラントは骨のある場所に斜めに埋入します。そのため比較的骨量の少ない方でも出来るのですが、やはり骨量や骨質が良いに越したことはありません。

骨の厚みが足りなかったり、骨がもろい場合は、インプラントが十分に固定されないリスクがあります。このような場合、骨移植や他のインプラント治療方法が必要になることもあります。特に長期にわたり歯を失ったままでいると、骨の密度が減少し、オールオン4の適応が難しくなる場合があります。

2. 全身的な健康状態が安定していない人

全身疾患がある場合、特に糖尿病や心疾患などの慢性疾患を持つ人は、インプラント手術のリスクが高まります。糖尿病は特に、術後の治癒能力を低下させ、感染リスクも高くなるため、慎重な判断が必要です。こうした患者さんの場合、一般的なインプラント治療自体が難しいこともあり、オールオン4のような大がかりな治療は適さないことがあります。

3. 喫煙者

喫煙はインプラントの成功率に大きく影響します。タバコのニコチンやその他の成分が血流を悪化させ、インプラントと骨の結合を阻害するため、喫煙者はインプラントの安定性が得られにくいというリスクがあります。

また、喫煙による免疫力の低下により、術後の感染リスクも高まります。したがって、オールオン4を希望する場合、禁煙が推奨されることが多く、禁煙が難しい患者さんには適さないことがあります。

4. 歯磨きがうまくできない人

オールオン4だけでなく、インプラントには長期的なメンテナンスが重要です。特に術後は、歯垢がたまるとインプラント周囲炎などの感染症リスクが高まり、インプラントの寿命にも影響します。自己管理が難しい人や日常的な歯磨きが難しい患者さんには、オールオン4の維持が困難となるため、向いていない場合があります。他の取り外しができる入れ歯など、管理が比較的簡単な選択肢が好まれることもあります。

5. 重度の歯ぎしりや食いしばりの癖がある人

歯ぎしりや食いしばりが習慣になっている場合、インプラントにかかる負荷が大きくなり、オールオン4の安定性が低下する恐れがあります。これにより、インプラントが損傷したり、上部構造が破損するリスクが高まります。このような場合、夜間にマウスガードを装着するなどの対策が必要ですが、それでもリスクが完全に解消されるわけではありません。重度の歯ぎしりがある場合には、インプラント以外の治療法が検討されることもあります。

オールオン4を選ぶ際の注意点

オールオン4を検討する際には、以下のようなポイントに注意が必要です。

術後のケアが重要

インプラント手術後は、日々の歯磨きと定期的な健診が非常に重要です。歯垢が溜まるとインプラントの寿命が短くなる可能性があるため、丁寧なケアが必要です。

費用と保険適応について確認する

オールオン4は比較的高額な治療法です。保険が適用されるケースもあるため、費用の総額や支払い方法についても事前の確認が必要です。

治療を受ける前に知っておくべきこと

オールオン4を選択する前に、以下の点も理解しておくことが大切です。

長期的なメンテナンスの重要性

オールオン4はインプラントに支えられているため、メンテナンスを怠ると歯茎が周囲炎を起こし、インプラントの寿命を縮める可能性があります。そのため、毎日のていねいな歯磨きに加えて歯科医院でのメンテナンスが欠かせません。

治療による変化を理解する

歯がなかったときと比べると噛み合わせが大きく変わり、食べ物を噛むときのタイミングや噛み心地に以前とは変化が起こります。最初は違和感が生じる場合もありますが、時間と共に馴染んでくることが多いです。

まとめ

オールオン4は、多くの歯を失った患者さんにとって、短期間で新しい人工歯を手に入れるための有力な選択肢です。しかし、顎の骨の状態や全身の健康状態などによっては向いていない場合もあるため、ご自身に最適な治療方法かどうかを見極めることが重要です。

また、治療後のセルフケアや歯科医院でのメンテナンスも含めて、長期的に健康な歯の状態を保つための努力が必要です。オールオン4を検討する際には、担当の歯科医師と十分な相談を行い、将来的に長く維持できるような治療計画を立てましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

▶プロフィールを見る

心斎橋クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック