歯に物が挟まる原因、対処法、予防について歯科専門視点でわかりやすく解説
食事をするたびに歯に物が挟まると感じることはありませんか。40~50代では同じ悩みを抱える方が増えますが、単純に年齢のせいと決めつけて放っておくのは注意しなければなりません。実は、食べ物が挟まりやすくなる裏には、歯や歯ぐきの状態変化などお口の健康サインが隠れているケースが少なくないからです。この記事では、食事で歯に物が挟まる主な原因と、歯科医院で行える改善方法についてわかりやすく解説します。
目次
歯に物が挟まるってどういう状態?
食事中に歯と歯の間や歯と歯茎の間に食べ物や繊維質が引っかかっている、これが歯に物が挟まるという状態です。歯ブラシでは取りにくく、デンタルフロスや歯間ブラシを使っても取れない場合があり、舌が触れたりすることで、日常的な不快感の原因になります。この現象は専門的に食片圧入(しょくへんあつにゅう)とも呼ばれます。たまに起きる程度なら心配は少ないものの、頻繁に起こったり、同じ場所で繰り返すという場合は裏に隠れた原因がある可能性が高いです。
どんなときに物が挟まりやすい?
物が挟まるのは誰でも経験することですが、特に次のような状況で起こりやすくなります。
歯と歯の間に隙間がある
食べ物が入り込みやすくなり、噛むたびに歯に物が挟まりやすくなります。
歯茎が下がって歯根が露出している
本来は歯茎で覆われていた部分に段差や空間ができてしまい、そこに食べ物が引っかかりやすくなります。
虫歯や詰め物の不具合がある
虫歯になってしまったり、詰め物の不具合があると、歯の形が不自然になったり隙間が生じたりして、食べ物が溜まりやすくなります。
歯並びが乱れている
歯列のずれや噛み合わせのバランスが崩れることで、特定の歯の間に食べ物が押し込まれやすくなり、歯に物が挟まる原因になります。
いずれも食べ物をキャッチする空間や癖を作ってしまうため、どうしても挟まりやすくなります。
主な原因
歯に物が挟まる主な原因を挙げていきます。
虫歯の存在
虫歯になると、細菌が酸で歯を溶かしてしまうため、歯と歯の間に穴や凹みを作ります。その部分に食べ物が入り込みやすくなり、歯ブラシで清掃しても、また食事をすると挟まってしまうということを繰り返す代表的な原因です。
歯周病による歯茎の後退
歯周病が進行すると、歯を支える骨や歯茎が減少し、歯と歯の間にブラックトライアングルという隙間が発生します。この隙間は食べ物を入りやすくしてしまいます。
歯並びや噛み合わせの不調
歯列が整っていなければ、噛む力のバランスが偏り、歯が動いて隙間が生じることがあります。また、特定の歯に強い力がかかると歯の周囲が開き気味になり、挟まりやすさが増します。
詰め物や被せ物の不適合
古くなった詰め物や被せ物が経年劣化すると、歯と歯の境目に小さな隙間が生じます。そこに食べ物が入り込みやすくなります。
日常でできる対処法や除去方法
歯に物が挟まったときに間違った方法で力任せに取ろうとすると、歯茎を傷つけたり、逆に押し込んで悪化させることがあります。安全な対処法を挙げますので、これらを実践しましょう。
デンタルフロスを使う
デンタルフロスは歯間の食べかすやプラークを落とすのに最適です。歯と歯の間を優しく滑らせながら歯に沿わせて入れ、汚れを取り除きましょう。
歯間ブラシを使う
歯の隙間が広い部分には歯間ブラシが有効です。大きさが合ったものを選び、やさしく往復して清掃してください。
水やうがいで洗い流す
大きな塊が残っていれば、まず水で口の中をブクブクとゆすいでから除去する方法も有効です。
絶対に避けたい方法
日常でやりがちかもしれませんが、絶対に避けたい方法があります。
爪楊枝で無理に掻き取る・先の尖った器具を使用する
爪楊枝で強い力で掻き出そうとすると、歯茎やエナメル質を傷つけ、炎症を招くリスクがあります。尖った先端が歯茎を傷つけてしまうと、出血や炎症、感染症の原因となる可能性があります。また、無理な力が加わることで歯と歯の間の隙間が広がり、食べかすが詰まりやすくなるという悪循環を引き起こすことがあります。力が誤ってかかってしまうと、食べかすを歯周ポケットのさらに奥深くに押し込んでしまう可能性もあります。
挟まる状態を放置すると起こるリスク
食べ物が歯に挟まった状態をそのままにしておくと、どのような悪影響が現れるかというのをご説明いたします。
| 起きるリスク | 説明 |
|---|---|
| 歯周病や歯茎の炎症 | 歯に物が挟まった状態を放置すると細菌が増殖し、歯茎の腫れや出血しやすくなり、歯周病が進行する原因になります。 |
| 虫歯の進行 | 挟まった食べ物が歯の表面や歯と歯の間に長時間残った状態では、虫歯菌が酸を産生しやすくなり、進行します。 |
| 口臭が強くなる | 食べかすが腐敗し、細菌が発生することで不快な臭いを放ち、口臭が強くなることがあります。 |
| 歯石やバイオフィルムの蓄積 | 取り除かれなかった汚れがプラークやバイオフィルムとなり、やがて歯石に変わって歯周病のリスクを高めます。 |
細菌が増殖することでプラークが多く形成されてしまうと、歯周組織への炎症が強まることがあるため、早めの対処が大切です。
歯科医院で行われる治療・改善方法
挟まりやすい症状が頻繁に起こる場合、歯科医院での診察を受けましょう。主な治療をご紹介します。
虫歯治療
むし歯菌に感染したエナメル質を削り、薬で消毒して歯の形を整えた後、詰め物や被せ物で補修します。
歯周病治療
スケーリングやルートプレーニングにより歯茎の炎症を抑え、健康な歯肉に整えていきます。重度である場合は、ブルーラジカルという切開や縫合ををせずに行う歯周病の治療法もあります。
矯正治療
歯並びや噛み合わせを整えることで隙間を改善し、食べ物の挟まりを根本から減らすことができます。
詰め物、被せ物の再作製
古くなった補綴物を新調して歯と歯茎の境目の隙間をなくす治療を行います。
予防のための習慣とケアのコツ
日常生活で歯に物が挟まりにくくするためには、次の習慣を取り入れていきましょう。
毎日の丁寧なブラッシング
朝起きた時は口腔内が乾燥して菌が多く存在します。夜寝る前にしっかりと時間をかけて清掃しておくと、唾液が少なくなる就寝中に効果的です。
デンタルフロスや歯間ブラシの併用
歯ブラシを使って磨くのにも時間が掛かるのに、毎回デンタルフロスや歯間ブラシを使う時間がないという方もおられます。就寝前の夜の歯磨きのみで補助器具を使用して清掃しましょう。
定期的な歯科検診
セルフケアで磨いていても、磨き残しはどうしても発生しがちです。磨き残した歯垢は唾液の成分と結合し、歯石となってセルフケアでは落とせません。年に数回程度で構いませんので、歯科医院でプロのクリーニングや診断を受けておくと、むし歯や歯周病の早期発見となります。
噛み合わせのバランスを意識
上下の歯が均等に接触している状態を保つためには、噛み合わせが乱れると一部の歯に過剰な力が集中し、歯が僅かに動くことで歯と歯の間に隙間が生じ、食事の際に食べ物が歯の間へ押し込まれて物が挟まりやすくなります。噛み合わせのズレは歯茎や歯を支える骨にも負担をかけ、歯周病の進行を早める原因になるため、片側だけで噛む癖を避け、左右均等に噛むことを意識しましょう。違和感や噛みにくさを感じる場合は、早めに歯科医院で噛み合わせをチェックしてもらうことで、歯に物が挟まるトラブルの予防につながります
まとめ
歯に物が挟まるという一見些細な症状でも、繰り返す場合や一定の部分にだけ起こる場合には、虫歯や歯周病、歯並びの変化などのサインというケースがあります。日常のセルフケアに加えて、気になる症状は歯科医師に相談することが大切です。




