バッカルコリドーとは口角と前歯（犬歯）の間にある黒い影です。バッカルコリドーの原因によっては矯正治療を行った方が良いケースがありますので、ご説明します。
バッカルコリドーとは
バッカルコリドー（Buccal corridor）は、頬の隙間という意味です。医院によってはバッカルコリドーではなく、ブラックスペースや頬壁（きょうへき）と呼ぶ場合もあります。口角の内側の部分の影を指し、バッカルコリドーがある人とない人で笑ったお顔の印象が変わります。バッカルコリドーはある方と無い方がおられます。
バッカルコリドーがある人
バッカルコリドーがある人は、お口元の端の影が作用し、笑顔が控えめに見える印象を持たれます。白い歯が口の端まで見えていないので、少し柔らかい印象を与えることができ、日本では好まれる笑顔です。
バッカルコリドーがない人
ハリウッドなどに出演している外国のスターを見ると、バッカルコリドーが無い人が多いです。口の端まで白い歯が奥まで見えるため、笑った時の口元に明るさや華やかさがプラスされた印象を持たれます。
バッカルコリドーは原因によって治療すべき
バッカルコリドーの原因で多いのが、歯並びのアーチの角度が鋭い・歯が小さい・噛む時に癖があるなどです。
歯並びのアーチの角度が鋭い
バッカルコリドーで治療が必要と診断されやすいのは、歯並びのアーチの角度が鋭い狭窄歯列弓（きょうさくしれつきゅう）の場合です。子供の時に顎の発達がうまくいかず、アーチが狭くなり歯並びのカーブがＵではなく、Ｖの字のようになっている方は注意が必要です。特に下記の状態であるならば治療が必要でしょう。
- 左右どちらかだけにバッカルコリドーがある
- 横から見ると前歯が出ていて乾きやすい
- 歯並びが凸凹している
②上顎前突（じょうがくぜんとつ）、③歯が並ぶスペースがない叢生（そうせい）はいずれも歯並びのトラブルを起こしている不正咬合です。上下の歯の噛み合わせが悪く特定の歯に負担がかかるため、後々の歯の健康や見た目を考え、治療をおすすめします。
先天的な理由で狭窄歯列弓の方
口唇口蓋裂（こうしんこうがいれつ）の患者さんは、上顎の歯列弓が狭くなってしまい、歯並びに問題を抱える不正咬合を起こしがちです。口唇口蓋裂と診断された方は、大学病院など、厚生労働省が指定した大きな医療機関で保険適用にて矯正治療を受診できます。
後天的な理由で狭窄歯列弓の方
口呼吸をしている、頬杖をついている、指しゃぶりをしている、うつぶせ寝をしているなどの日常的な癖により、顎が正常に発達せず狭窄歯列弓になることがあります。この場合は自由診療による矯正治療となり、癖を改善するトレーニングが必要となります。
歯が小さい
歯が小さいという原因でバッカルコリドーになる場合があります。特に噛み合わせに問題がなければ、歯の大きさが気になるお悩みがない限り、治療は必要ありません。どうしても大きくしたい場合は、セラミック歯をかぶせるセラミック矯正をおすすめします。
嚙む時に癖がある
噛む時に片側ばかりで噛んでしまう癖があると、どうしても片方の筋肉が発達し、歯の摩耗度やお顔立ちにも左右差が出ます。片側噛みをする方は全体的に歯を使えるように、噛めない原因を治療する必要があります。
永久歯が生える前に乳歯が早く抜けてしまったことにより、歯列弓が狭くなることもあります。
バッカルコリドーの治療法
狭窄歯列弓が原因のバッカルコリドーや不正咬合を改善するには、歯科医院で行う矯正治療（ワイヤー矯正、裏側矯正、マウスピース矯正）が効果的です。
高い費用が掛かる治療なので不安や疑問はドクターやスタッフに確認し、解決してからが望ましいです。歯の矯正について健康保険が効かないこと等の詳細については、こちらをご覧ください。
バッカルコリドーとはに関するQ&A
バッカルコリドーは、口角と前歯の間にある黒い影のことで、英語ではBuccal corridorと表されます。この影は顔の表情、特に笑顔に影響を与え、バッカルコリドーがある人は控えめな笑顔に、ない人は華やかな笑顔に見える傾向があります。
バッカルコリドーの原因には、歯並びのアーチの角度が鋭いこと、歯が小さいこと、噛む時の癖などがあります。これらの原因によって歯並びや顎の形状が影響を受け、バッカルコリドーが形成されます。
バッカルコリドーや不正咬合の治療には、歯科医院で行う矯正治療が効果的です。マルチブラケット矯正やマウスピース矯正などがあり、治療は歯並びだけでなく、唇や顔のバランスを考慮したスマイルラインも重視した計画のもとで行われます。
まとめ
バッカルコリドーの原因が狭窄歯列弓による不正咬合ならば早めに治療を行いましょう。悪い噛み合わせにより、特定の歯や顎関節がダメージを受けると、細菌感染による炎症が起こりやすくなる可能性があります。
バッカルコリドーとは、笑顔時に上下の歯列と頬の内側の間にできる暗い空間のことを指します。歯科矯正や審美的な顔の評価において、バッカルコリドーの広さは笑顔の美しさを左右する重要な要素の一つとされています。
歯列矯正治療がバッカルコリドーに与える影響についての研究では、歯列矯正治療による歯の抜歯とバッカルコリドーの幅との間に直接的な関係は見られなかったものの、治療によってバッカルコリドーの次元が拡大または縮小されることが関連していることが示されました。【M. V. Rego et al., 2018】
また、別の研究では、バッカルコリドーのサイズやスマイルアークなどの要素が笑顔の魅力に与える影響を評価しました。この研究では、4本の臼歯を抜歯する治療法と非抜歯治療法とでは、笑顔の全体的な魅力に予測可能な効果はなく、正しく指示された場合には抜歯を伴う矯正治療が顔の審美性に必ずしも悪影響を与えるわけではないことが示されました。【G. Janson et al., 2011】
これらの研究結果から、バッカルコリドーの評価は笑顔の審美性を判断する上で重要であり、歯列矯正治療がバッカルコリドーに与える影響は個々の治療計画や患者の特性によって異なることが示唆されます。
