矯正歯科

部分矯正で八重歯の治療はできる?

部分矯正で八重歯の治療はできる?

部分矯正で八重歯の治療が出来るならばやりたいと思われる方は多いでしょう。八重歯の定義や、部分矯正と全体矯正の違い、八重歯治療は部分矯正で本当に可能かどうか詳しくご紹介いたします。

八重歯とは何?

八重歯とは上顎の前歯の犬歯が正常な位置から萌出せず、前方へ逸脱した状態です。日本ではチャーミングなお顔の特徴としてしばしば挙げられますが、海外では八重歯はかわいらしい歯並びと捉えられていません。八重歯が見た目のコンプレックスになったり、笑顔を隠す原因となってしまうこともあります。

八重歯の健康面への影響

八重歯がもたらす影響は、審美的な側面のみではありません。正常な位置にない歯は、上下の咬み合わせの問題を引き起こす可能性があり、長期的に負担が特定の歯にかかったり、顎の健康に影響を及ぼすこともあります。八重歯が前方へ出ていることで奥の歯が磨きにくくなり、細菌感染から虫歯や歯周病を引き起こすリスクが上がるなどの口腔衛生の問題もあります。このように、八重歯は見た目の問題だけでなく、健康面においても重要な意味を持っています。

部分矯正と全体矯正の違い

部分矯正と全体矯正の違いについてご案内します。

部分矯正の対象とは

部分矯正とは全ての歯を矯正するのではなく、特定の歯だけを対象とする矯正治療法です。奥歯ではなく特に前歯の数本のみを矯正する場合に適しており、八重歯のみに問題がある場合治療が可能です。噛み合わせの状態を変えずに、既存の歯並びに最小限の干渉をしつつ必要な調整を行うことが可能です。

部分矯正の最大の特徴

全体矯正と異なる部分矯正の大きなメリットは、治療期間が短く、費用が比較的安いことです。全体矯正は歯並び以外に噛み合わせが改善するため、治療期間が数年かかりますし、費用も高いです。その点、部分矯正は通常数ヶ月から1年程度で完了し、部分的にしか触らないためリーズナブルな料金です。また、部分矯正は特定の歯にのみ焦点を当てるため、患者にとっての不快感や痛みが少なく、日常生活への影響も僅かとなります。

部分矯正の治療方法

矯正の治療方法については、マルチブラケット矯正かマウスピース矯正となります。

マルチブラケット矯正

マルチブラケット矯正は、歯にブラケットを付け、そのブラケットの中にワイヤーを通し、対象の歯に矯正力を掛けて動かします。患者さんご自身で取り外すことが出来ず、24時間装着したままです。

インビザライン矯正

マウスピースを使用するインビザライン矯正は、片顎の歯並びにマウスピースを装着し、新しいマウスピースに交換しながら歯を動かします。患者さんご自身で取り外せるためどんな食事も楽しめますが、担当医に決められた装着時間を守らなければ、歯が動かず、治療期間が延長する可能性があります。

部分矯正で八重歯が治療出来ないことがある

八重歯の治療に部分矯正を望まれる方は多いですが、残念ながら全体矯正となるケースがあります。下記のいずれかに当てはまる方は全体矯正となります。

  • 八重歯以外の歯並びに問題がある
  • 噛み合わせが良くない
  • 前歯に歯を並べる隙間がない
  • 過蓋咬合である

八重歯以外の歯並びに問題がある

僅かに歯が重なっていたり、八重歯のねじれについて治療を行うならば問題はありません。ただし、軽度の八重歯のみが問題という方はごく僅かです。

噛み合わせが良くない

上下の歯の噛み合わせに問題がある方は意外とおられます。歯の噛み合わせが悪いままで噛むと顎関節に負担を掛けてしまい、炎症を起こすリスクが高まります。

前歯に歯を並べる隙間がない

八重歯を正しい位置へ引っ込めるためには、前歯がもともと空いている方ならば問題ありません。犬歯は1本あたり8mm程度の幅があります。歯と歯のエナメル質を削ってスペースを作るスライス(IPRやストリッピング)という処置がありますが、部分矯正の場合約3mm程度しかスペースを作り出せません。

過蓋咬合である

過蓋咬合とは、上顎の前歯が下顎の前歯を過度に覆ってしまう歯並びの問題(不正咬合)です。下顎の前歯が上顎の前歯の奥に入り込んだ状態であるため、マルチブラケット矯正やインビザライン矯正で歯を動かす治療(動的治療)を行っても、リテーナーで動いた歯を固定する保定装置(静的治療)を装着することが難しくなります。

部分矯正で八重歯の治療はできるのかに関するQ&A

八重歯とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか?

八重歯は、上顎の犬歯が正常な位置から逸れて前方へ突出した状態を指します。通常、犬歯は歯列の中に他の前歯と共に1列に収まって整然と並んだ状態ですが、八重歯の場合、スペース不足や遺伝的要因などにより犬歯が前方に出てしまい、見た目に特徴的な印象を与えます。

八重歯は口腔衛生にどのような影響を及ぼす可能性があるのですか?

八重歯は口腔衛生に複数の悪影響を及ぼす可能性があります。位置の異常により歯ブラシが届きにくい部分が生じ、細菌が蓄積しやすくなることで虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、咬み合わせの問題から顎関節症や咀嚼機能の障害を引き起こすこともあります。

八重歯を部分矯正で治療したい時に制限はありますか?

部分矯正は主に軽度の不正咬合を治すための治療です。八重歯の矯正治療では抜歯が必要になる場合が多く、抜歯矯正は部分矯正では適用出来ません。
また、八重歯以外の歯並びの問題として、過蓋咬合や開咬がある場合などは部分矯正では治療が難しく、全体矯正が必要になります。

まとめ

部分矯正で八重歯を治療することについては、難しい方が多いです。歯科医師による歯列の状態の診断を受けて、上記の条件をすべてクリアすれば可能ということになります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

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