日本人は顎が小さい方が多く、八重歯や出っ歯、受け口などの不正咬合が多い傾向があります。出っ歯やガタガタ等の不正咬合を放置すると、何か悪い影響があるのでしょうか? 悪い歯並びを放置した場合の悪影響についてご説明します。
悪い歯並びを放置した時のリスク
歯並びが悪いのを治さずそのままにした時にどんな問題が起こるリスクがあるのでしょうか?
1.虫歯や歯周病になりやすくなる
歯がきれいに並んでいなくて重なっていたり、捻じれて生えている場合は、食べ物が詰まりやすく、汚れや歯垢(プラーク)が歯に付いたまま残る原因になります。
歯垢の中は細菌でいっぱいですので、歯並びのせいで歯垢が溜まりやすく、歯磨きで落としにくいというだけで、むし歯や歯周病になるリスクが上がります。
歯が重なっているところは、デンタルフロスを通すのが難しいので、磨き残しが出来やすい部分です。毎日少しずつ歯垢がたまると、やがて歯石になって、細菌の数が更に増えやすくなり、その結果、虫歯や歯周病の発症リスクが上昇していきます。
歯石が出来てしまうとご自分では取れませんので、歯科医院のクリーニングをご利用ください。
2.よく噛めないので胃腸の負担になる
歯並びによっては、しっかり噛み合っていないために食べ物が噛みにくく、良く噛めない状態になっていることがあります。
例えば開咬の場合は、奥歯を噛んだときに前歯同士が噛み合わずに上下に隙間が開いてしまうため、前歯でものを噛み切れなくなります。
前歯が叢生と呼ばれるガタガタの状態でも、食べ物を噛み切れないままで飲み込んでしまい、胃腸の負担が増すことになりかねません。
3.歯並びが悪いと口元の見た目が悪くコンプレックスになる
歯並びが悪いのを気にしていると、常に口元を隠して笑ったり、なるべく口を開けないようにしたり、自然に笑えなくなってしまいがちです。
思い切り笑えないというコンプレックスが何年も続くと、精神面で悪い影響がある場合があります。
4.歯並びが悪いと発音がしにくいことがある
前歯がすきっ歯だったりガタガタの場合、喋ると歯の隙間から空気が抜けて、正しい発音にならない場合があります。また、歯並びが原因で舌の動きが悪くなり、発音しにくくなるだけでなく、滑舌が悪くなってストレスを感じることもあります。
特に発音しにくいのは、前歯を擦り合わせて発音する「さ行」です。他には、た行、な行、ら行が発音しにくい方もおられます。
矯正治療で歯並びを整えると、きれいな発音になります。
5.全身の不調の原因になる
歯並びが悪かったり、噛み合わせが悪いと、無意識のうちに左か右の片方の歯でばかり噛んでいたりして、左右の歯を均等に使って噛んでいないことがあります。
片方でばかり噛むと、全身のバランスが崩れて、顎の関節に負担がかかって顎関節症を起こすリスクがあります。噛むときに左右のバランスが崩れる影響で、頭痛や肩こり、腰痛が起こることもあります。
歯並びが悪いのを放置に関するQ&A
不正咬合を放置すると、虫歯や歯周病、発音の問題、見た目や自己意識の問題、胃腸の負担増、さらには全身の不調の原因となるリスクがあります。
歯並びが悪いと、歯の隙間から空気が抜けやすくなり、また舌の動きが制限され、発音しにくくなる可能性があります。
歯並びが悪いと、噛む際の左右のバランスが崩れ、顎関節症を引き起こすリスクがあります。また、頭痛、肩こり、腰痛なども引き起こす可能性があります。
矯正歯科での治療が一般的です。装置を使って歯を適切な位置に移動させ、正しい咬み合わせを作ることが目的です。
歯ブラシだけでは届かない部分に対してデンタルフロスの使用や、定期的な歯科医院でのクリーニングが推奨されます。
まとめ
矯正治療というと、歯の見た目をきれいにしてコンプレックスを解消するものと思う方もおられると思いますが、ものを噛んだり全身のバランスを保って健康でいるためには噛み合わせが大切です。
矯正治療をする際には、治療後の見た目だけでなく、噛み合わせを良くするということも視野に入れて、歯科医院を選ぶことをお勧めします。