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インプラントが適さない5つのケースとその理由

インプラントが適さない5つのケースとその理由

インプラント治療は、失った歯を補うための最先端の方法の一つです。しかし、すべての患者さんがインプラント治療を受けることが出来るわけではありません。インプラントが適さないケースとその理由についてご説明します。

インプラントが適さない5つのケース

インプラント治療は外科的な手術を伴うため、治療を行うには様々な条件があります。

  1. 全身疾患があるためインプラント治療が困難なケース
  2. 骨量と質
  3. 口腔内の状態
  4. デンタルケアが不十分な場合
  5. 生活習慣とインプラントの成功率

1. 全身疾患があるためインプラント治療が困難なケース

インプラント手術を受けるためには、全身の状態が健康であることが求められます。特に、心臓病や脳血管疾患などの重大な全身疾患を持つ患者さんは、インプラント手術のリスクが高まります。また、膠原病や関節リウマチなどの自己免疫疾患、未治療の糖尿病を持つ患者さんもインプラント治療に適していません。

インプラント治療が困難な全身疾患等は以下のようなものです。

  1. 心筋梗塞や狭心症、心臓弁膜症などの心血管疾患
  2. 重度の高血圧
  3. 重度の糖尿病
  4. 重度の腎疾患
  5. 重度の肝疾患
  6. 放射線治療中

2. 骨量と質

インプラントは顎の骨に直接埋め込まれます。そのため、骨密度が不十分であったり、必要な骨の量が不足している場合、インプラントの安定性が確保できません。このような場合、骨移植などの追加的な手術が必要となることがあります。

3. 口腔内の状態

重度の歯周病

重度の歯周病は歯槽骨を溶かしてしまうため、インプラントの大敵です。歯周病が原因で顎の骨が損なわれている場合、インプラントの成功率は大きく下がります。

4. デンタルケアが不十分な場合

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毎日の歯磨きが十分に行えておらず、口腔衛生が不十分な場合、インプラント周囲炎などのリスクが高まります。インプラント周囲炎は悪化するとインプラントがグラグラし始め、脱落してしまうこともあります。

5. 生活習慣とインプラントの成功率

インプラント治療において、成功率は患者さんの全体的な健康状態、口腔衛生、そして生活習慣に大きく依存します。

喫煙者の場合

1. 血流への影響

タバコに含まれるタールやニコチンなどの有害物質は血管を収縮させ、血管を流れる血流を減少させます。これにより、インプラント周囲の組織が十分な酸素や栄養を得られず、傷の治りが遅れることがあります。

2. 感染リスクの増加

喫煙は免疫系の機能を低下させ、口腔内の感染リスクを高めます。インプラントの周りで感染が起きると、インプラントがグラグラし出して不安定になり、最悪の場合はインプラントの脱落につながる可能性があります。

3. オッセオインテグレーション(骨との結合)の阻害

インプラントの成功は、インプラント体と顎骨がしっかりと結合することによってもたらされます。喫煙はインプラント体と骨の結合を阻害し、インプラントの安定性を損ないます。

4. 長期的な予後

喫煙はインプラント周囲炎のリスクを高め、長期的なインプラントの予後にも悪影響を及ぼすことが知られています。インプラント周囲炎はインプラントの失敗に直結する重大な合併症です。

これらの理由から、多くの歯科医師はインプラント治療を検討している方が喫煙者である場合、治療前に禁煙を強く推奨しています。禁煙はインプラントの成功率を高め、口腔内だけでなく全身の健康全般にも有益です。インプラント治療を成功させるためには、患者さん自身の積極的な協力と生活習慣の改善が不可欠です。

アルコールの過剰摂取

飲酒の習慣は、適度な量の場合は問題ありませんが、アルコールの過剰摂取は、身体に多くの悪影響を及ぼします。

1. 口腔内環境の変化

アルコール消費は唾液の分泌を減少させ、口腔内の乾燥を引き起こす可能性があります。唾液には抗菌作用があり、口腔内の自浄作用を助けています。そのため、アルコールによる唾液の減少はインプラントに汚れが付きやすくなり、インプラントの成功に直接的な悪影響を及ぼす可能性があります。

2. 免疫系への影響

過剰なアルコール摂取は免疫系の機能を低下させ、感染症への抵抗力を弱めることが知られています。これがインプラント治療後の感染リスクを高め、傷の治りを遅らせることに繋がります。

特にインプラント手術後の飲酒には注意が必要で、飲酒によって血流が良くなり、腫れや出血が起こりやすい状態になります。また、痛み止めや抗生物質などを服用する際にも飲酒を避ける事が望ましいです。

治療後のメンテナンスの重要性

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インプラント治療後は、定期的なメンテナンスが必須です。治療後のケアを怠ると、インプラントの周囲炎などの問題が生じる可能性があり、インプラントの長期的な寿命に直接的な影響を与えます。

1. 歯垢と歯石を除去する

インプラント周囲に歯垢がつかないように管理することは、インプラントを長期的に維持するために重要です。歯垢は歯肉炎やインプラント周囲炎の原因となり、インプラントの脱落につながる可能性があります。毎日の歯磨きとデンタルフロス使用により、インプラントへの歯垢の蓄積を防ぐことが重要です。

2. 定期的な歯科健診とクリーニング

定期的な歯科健診とプロフェッショナルによるクリーニングは、初期の歯周病を発見し、適切な治療を行うことを可能にします。これにより、インプラント周囲の健康を維持し、長期的な成功率を向上させます。

3. 喫煙を避ける

喫煙はインプラントの健康に悪影響を与えます。喫煙を避けることで、インプラントの寿命を延ばすことができます。

4. インプラント周囲炎の予防

インプラント周囲炎はインプラントの失敗の主な原因の一つです。定期的な歯科健診を受けることにより、このリスクを最小限に抑えることができます。

5. 咬合力の管理

インプラントは過剰な力が加わることで損傷する可能性があります。定期的な歯科健診により、咬合に問題がある場合は必要に応じて調整します。

6. 上部構造の維持

インプラントの上部構造やブリッジにも定期的なチェックが必要です。これらの被せ物が破損したり、フィット性が悪くなると、インプラントに負担がかかり、インプラントの寿命が縮まる可能性があります。

インプラントのメンテナンスを適切に行うことで、その機能性を保ち、長く快適に使用することが可能となります。インプラントの寿命は、患者さんの生活習慣と毎日のデンタルケアの質に大きく依存します。

インプラントが適さないケースとその理由に関するQ&A

インプラント治療が全身疾患を持つ患者に適さない理由は何ですか?

全身疾患を持つ患者は、心臓病や糖尿病などの病状がインプラント手術のリスクを高めるため、治療が適していません。これらの病状は手術中や回復期の合併症のリスクを増加させ、インプラントの成功率を低下させる可能性があります。特に感染症のリスクや手術後の回復過程が問題となります。

なぜ骨量と骨質がインプラントの成功に重要なのですか?

インプラントは顎の骨に埋め込まれるため、骨量と骨質が十分でないとインプラントの固定が不安定になります。骨密度が低い場合や必要な骨量が足りない場合は、インプラントがしっかり固定できず、長期的な成功率に影響します。場合によっては骨移植や増骨の処置が必要となることもあります。

歯周病がインプラント治療にどのような影響を与えるか説明してください。

重度の歯周病は歯槽骨を溶かすため、インプラントの固定を妨げる大きな障害となります。歯周病によって顎骨が損なわれると、インプラントがしっかりと固定できず、治療の成功率が大幅に下がります。そのため、インプラント施術前には歯周病の適切な治療が必要です。

まとめ

インプラント治療は歯を失った部分を補う理想的な方法ですが、その成功は患者さんの健康状態や生活習慣に大きく左右されます。全身疾患の存在、骨の質と量、口腔内環境、適切なデンタルケアの欠如、そして不適切な生活習慣は、インプラント治療をおすすめ出来ない理由となります。

これらの条件に該当する患者さんは、インプラント治療のリスクが高く、また成功の可能性が低くなります。治療選択を行う際にこれらの要素を慎重に検討し、場合によっては代替の治療法を検討する必要があります。最終的には、患者さん自身の健康を第一に考え、最適な治療計画を選択することが重要です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

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