ガムを噛むとお口や身体にどのような影響があるのでしょうか?実はガムを噛むと良い影響と悪い影響がありますので、ご説明します。
顎を動かしてガムを噛むことのメリット
ガムを噛んで顎をしっかりと動かすことは、どのようなメリットがあるのでしょうか?主な4つのメリットについてご説明します。
- 唾液をたくさん分泌するので虫歯や歯周病の予防効果がある
- 良く噛むと脳への血流が良くなり、脳の発達や認知症の予防効果がある
- 唾液の作用で消化が良くなり胃腸の負担を減らす効果がある
- お口の周りの筋肉を動かすので顎の発達を促し顔の輪郭や歯並びをよくする効果がある
1. 唾液をたくさん分泌するので虫歯や歯周病の予防効果がある
ガムを噛むと唾液の分泌が促進され、唾液のもつ様々な優れた効果により、虫歯や歯周病になるのを予防します。また、唾液には口腔内の酸を中和する効果があります。これにより、歯の再石灰化を促進し、エナメル質の保護が期待できます。
- 洗浄作用(お口の中を洗い流してきれいにする)→食べカスや細菌を洗い流す
- 殺菌・抗菌作用(細菌が入ってくるのを防ぐ)→虫歯菌や歯周病菌の繁殖を抑える
- 緩衝作用(お口の中を中和してくれる)→食事によって酸性に傾いたお口の中を中性にする
- 再石灰化作用(歯を修復して虫歯を防ぐ)→虫歯菌が溶かした歯をすぐに修復して強くする。
唾液がお口の中に十分に行きわたると、虫歯の持つ様々な作用が虫歯や歯周病になりにくい環境をつくります。
2. 良く噛むと脳への血流が良くなり、脳の発達や認知症の予防効果がある
ものを噛むときに歯にかかる力で歯根膜の下にある血管に圧が加わり、その結果ポンプのように血液を脳に送り出します。血流によって脳が刺激を受けて活性化するため、よく噛むと脳の発達や認知症予防の効果があります。
3. 唾液の作用で消化が良くなり胃腸の負担を減らす効果がある
唾液には消化作用があります。ガムを噛んで唾液が出ると食べ物を消化する働きが増して消化を助け、胃腸の負担を減らします。
4. お口の周りの筋肉を動かすので顎の発達を促し顔の輪郭や歯並びをよくする効果がある
ガムを噛むとお口の周囲の筋肉を動かし続けるため、顎の成長を促してお顔の輪郭が整います。また、顎が成長することで歯並びも良くなります。
ガムを噛むことで顎の筋肉が強化されることがあり、咬合力の向上や歯並びの安定に貢献する可能性があります。ただし、長時間噛みすぎると顎関節症のリスクがあるため、適度に噛むことが推奨されます。
ガムに含まれる成分によるメリット
歯にいいガムとして、虫歯予防に効果が期待できる3種類のトクホ(特定保健食品)ガムがあります。
1. 歯に関する特定保健用食品(トクホ)とは?
歯に関する特定保健用食品として、ガムやタブレットなどの製品が販売されています。表示内容と保険機能成分は以下の通りです。
- 虫歯の原因になりにくい・・パラチノース、マルチトール、茶ポリフェノール、キシリトール、エリスリトール
- 歯の健康維持に役立つ・・マルチトール、リン酸一水素カルシウム、キシリトール、フクロノリ抽出物(フノラン)、CCP-ACP、第2リン酸カルシウム、還元パラチノース、リン酸化オリゴ糖カルシウム(POs-Ca、ポスカ)
- 歯を支える歯肉の健康を保つ・・カルシウム・大豆イソフラボンアグリコン
2. キシリトールの働き
キシリトールとは白樺やかしの木を原料とした天然素材の甘味料です。キシリトールを摂取すると、虫歯菌が酸を作り出せなくなるため、虫歯予防に効果があります。
キシリトール自体には再石灰化の作用はありませんが、唾液分泌を促して唾液の成分が初期虫歯を再石灰化して修復します。
キシリトールはカルシウムと結びつく性質があるため、歯のカルシウムを補って再石灰化を促します。
シュガーレスガムと砂糖を含んだガムの違い
- シュガーレスガムは虫歯のリスクを低減しますが、含糖ガムは逆に虫歯を引き起こす可能性があるため、選択が重要です。
- 特にキシリトールを含むガムは、虫歯予防に効果的とされています。
3. CPP-ACPの働き
CPP-ACPは牛乳タンパク由来の抗う蝕性物質です。CPP-ACPに含まれるリン酸カルシウムは歯の表面を覆っているエナメル質の内側に浸み込みやすいため、脱灰を抑制して再石灰化を促すことで歯を虫歯になりにくくします。
4. POs-Ca(ポスカ)の働き
POs-Ca(ポスカ)は馬鈴薯でんぷんから作られたリン酸オリゴ糖カルシウムです。ポスカは唾液に溶けやすく、酸性に傾いていたお口の中を中性に近づけて、唾液中のカルシウム濃度を上げ、再石灰化効果を高めます。
更にポスカは再結晶化機能をもち、歯の結晶成分であるハイドロキシアパタイトの構造とほぼ同じ形に歯を再石灰化します。
ガムは食後すぐに噛むと効果的
食後はお口の中が酸性に傾くため、虫歯になりやすい環境になります。食後すぐにガムを噛むと、唾液の分泌を促すためお口の中が中性に戻るのを早めます。
ガムを効果的に噛むためには、毎食後に20分程度しっかり噛んで唾液を出します。ただ、気をつけなければならないのは、ガムを噛むことは補助的なデンタルケアであり、歯磨きの代わりにはならないということです。
虫歯や歯周病の予防に必要なのは、まず歯ブラシで歯をていねいにブラッシングして、食べカスや汚れを出来るだけ歯に残さないことです。そのうえでガムを噛むという習慣をプラスすることで、虫歯や歯周病予防の効果が高まります。
ガムを噛むことのデメリット
ガムをしっかり噛むと歯にも健康にも良いと歯医者で言われ、真面目にガムを噛み続けた結果、噛みすぎてしまうということがあります。ガムを噛みすぎることでデメリットがありますので、知っておきましょう。
ガムを噛みすぎると歯がすり減る
長時間ガムを噛みすぎると、歯がすり減ってしまうことがあります。その結果、知覚過敏になったり、噛み合わせが悪くなることがあります。長時間のガム噛みは、顎に負担をかけたり、歯に過度なストレスを与える可能性があるため、1日に噛む時間や頻度を考慮することが大切です。
砂糖の入ったガムを習慣的に噛むと虫歯になる
ガムには砂糖で甘い味をつけているものもあります。糖分は虫歯を引き起こす原因菌であるミュータンス菌の大好物で、ミュータンス菌は糖分をエサにして酸を出し、歯を溶かします。
そのため砂糖の入ったガムをひんぱんに噛むことで、お口の中が酸性に傾いた状態が続くと、虫歯になるリスクが高まります。
ガムを噛みすぎるとエラが張る
ガムをしっかりと噛むとお口の周りの筋肉を動かすことになります。ガムを噛みすぎると、筋肉に刺激が伝わりすぎて、咬筋が硬くなったり太くなったりということが起こります。その結果、咬筋が発達しすぎてエラが張って見えるというリスクがあります。
ガムを噛んだ時の歯への影響に関するQ&A
ガムを噛むことの主なメリットは、唾液の分泌促進、脳への血流改善、消化の助け、および顎の発達と顔の輪郭改善があります。
ガムを噛むと唾液がたくさん分泌され、唾液の洗浄作用、殺菌・抗菌作用、緩衝作用、再石灰化作用により、虫歯や歯周病を予防します。
食後すぐにガムを噛むと効果的です。食後はお口の中が酸性に傾くため、虫歯になりやすい環境になりますが、ガムを噛むことで唾液の分泌を促し、お口の中が中性に戻るのを早めます。ただし、ガムを噛むことは補助的なデンタルケアであり、歯磨きの代わりにはならないことに注意が必要です。
まとめ
ガムを噛むことには歯や身体に良い効果が多く、虫歯や歯周病の予防にも役立ちます。しかし噛みすぎると、逆にデメリットの方が大きくなりますので、ガムを噛む場合は、ガムの成分や噛む頻度に注意しましょう。