噛む大切さは重々にわかっていても、時間に追われ早く食べる早食いをやりがちな現代です。今日はよく噛む大切さや体に及ぼす影響についてご紹介します。
よく噛むことの大切さとは
噛む回数の目安として、一口30回噛みましょうと聞いたことがある方もおられるでしょう。固いものではなかった場合、味がなくなったり、そうめんなどの細い麺類ではそんなに噛むことができない場合もあります。その場合は回数は気にせずによく噛むように心がけましょう。
片側噛みをすると特定の歯に負担をかけることになる為、全体の歯で均一に噛むようにしましょう。
良く噛むことのメリット
- 唾液の分泌量が増加する
- 口元の筋肉を鍛えられる
- 噛む刺激が脳へ伝達する
噛むという機能の必要性
子供の頃に親から「よく噛んで食べなさい」と言われた経験がある方は多いと思います。歯で噛むという咀嚼機能を用いて、どのような流れで体は栄養素を吸収するかについてご案内します。
- 食事の際に食べ物を口の中に運ぶ
- 食べ物を上下の前歯で噛みちぎり小さく破片にする
- 奥歯で左右に臼のようにより細かくすりつぶす
- 唾液とともに食塊にして消化器官(食道・胃)へ運ぶ
- 食べ物の栄養を胃腸などで吸収して血管を通じて全身に運ばれる
よく噛んで食べると、栄養とともに酸素が全身に供給されます。そのため、噛むことは日常生活で健康な体を維持するためにはとても重要です。
噛むと大切な体にどんな影響がある?
よく噛むことは体にどのような影響を与えるのでしょうか?
唾液の量が多くなる
- 口内の食べかすなどを唾液で洗い流してくれるので自浄作用が高くなる
- 歯に付着した食べかすや歯垢(プラーク)を洗い流してくれるので虫歯や歯周病の予防になる
- 唾液の中のペルオキシダーゼという酵素ががんを予防する
- 唾液中の酵素が消化を助けて、食道や胃の働きを少なくする
- 初期むし歯のケースならば再石灰化作用によって歯のエナメル質が修復される
口元の筋肉が鍛えられる
- お口の周りの咀嚼のための筋肉や表情筋を鍛える
- 表情が豊かになる
- 正しい発音やきれいな発音を行える
- 子供ならば顎の骨の成長を促進できる
噛む刺激が脳へ伝達する
- 食後20分から満腹中枢が働き食べ過ぎを防止するため、肥満予防やダイエットの効果につながる
- 食べ物の味覚をより鋭敏に感じ取ることが可能である
- よく噛むと脳の血流が多く流れて、脳の働きが活性化する
よく噛むことで得られる効果
しっかりと噛むことで得られる効果を簡単にまとめた『ひみこのはがいーぜ』という言葉があります。
ひ 肥満防止
み 味覚の発達
こ 言葉の発音がはっきり
の 脳の発達
は 歯の感染予防
が ガン予防
いー胃腸が活発
ぜ 全身が元気
昔と比べて加工された柔らかい食品が増えた現在、噛む回数は減る一方です。きちんと意識して噛むことや、固い食べ物を食べることを心がけましょう。
噛む大切さについてのQ&A
唾液の量が多いと口腔内の自浄作用が高まり、虫歯や歯周病の予防になります。また、唾液に含まれるペルオキシダーゼという酵素ががんを予防し、消化を助け、初期のむし歯を再石灰化することも可能です。
口元の筋肉を鍛えると、表情が豊かになり、正しい発音や美しい発音を行えるようになります。子供の場合、顎の骨の成長を促進することもできます。
噛む刺激が脳へ伝わると、食後20分から満腹中枢が働き、食べ過ぎを防止します。これは肥満予防やダイエットに有効です。また、食べ物の味覚をより鋭敏に感じ取ることができ、脳の血流も増え、脳の働きが活性化します。
まとめ
ご自身の天然歯を失って咬めなくなれば、入れ歯やブリッジで咬めば良いと思われる方もおられるでしょうが、天然の歯と比べて、入れ歯は噛む力が40%程度しかありません。ご自分の歯を長持ちさせることが、歯の健康であり、食事を楽しめることになりますので、意識的に噛むようにしましょう。また、歯科医院で行う定期検診に通院し、歯や歯肉の状態を歯科医師に確認してもらい、クリーニングなどを受診して、長持ちさせるように心がけてください。