子供が歯をぶつけたと聞いたら、パパやママはヒヤッと慌ててしまいます。その時、どのような対応をとれば良いのかご説明します。
歯をぶつけた直後の応急処置
実際に子供が前歯をぶつけた場合、どのような処置を行えば良いのでしょうか。
ポイントは以下のようなものです。
- 痛みが長く持続するか
- 歯の具合や色
これらをしっかりと確認することが大切です。こけた瞬間は痛いと泣くでしょう。時間が経ってもずっと歯が痛いと泣き続ける場合は、歯科医院へ説明して、お子さんを連れて受診しましょう。予約を入れる際にスタッフへ事情を説明すれば、歯科医師も患者様の状態を把握したうえで、診療することが可能です。
- 歯がぐらぐらしている
- 歯が欠けた・折れた
- 歯が抜けた
- 歯にひびが入った
- 歯が変色した
1. 歯がぐらぐらしている
歯がぐらぐらしていることを専門的に歯の動揺と言います。原因としては、歯を支える骨(歯槽骨)に大きな力や衝撃が加わった際に生じますが、動揺が少ない場合は経過観察のみです。ただ、歯に触れてぐらぐらが大きい場合は、隣の歯を固定する必要があります。
2. 歯が欠けた・折れた
歯が小さく欠けた場合は、白い歯科用の樹脂(レジン)を詰めて、見た目の問題を解決します。大きく欠けた(折れた)場合は、歯の中にある神経(歯髄)や、歯周組織に影響を及ぼし、痛みが続いたり、歯肉に腫れが出る可能性があります。その際に、痛みを取り除く治療や神経治療を先に行い、その後かぶせ物(クラウン)での治療を行います。放っておくと、永久歯へ影響が出てしまいます。
3. 歯が抜けた・折れた
歯が完全に抜けてしまった場合の適切な対処法は以下の通りです。
- 抜けた歯は、乾燥させないよう注意します。歯根を触らず、歯冠部分(白い部分)を持って取り扱います。
- 歯を生理食塩水や牛乳に浸して保管します。水に浸けることは避けてください。
- 抜けた歯は早急に歯科医院へ持参します。1時間以内に対応できれば、再植が成功する可能性が高まります。
歯の周囲には歯根膜という大切な歯周組織が付着しています。洗いすぎるとそれが流れてしまいますので、さっと洗いましょう。その後、生理食塩水や牛乳に浸して歯の表面を乾燥から守りましょう
4. 歯の表面がひび割れている
歯の根元に近い部分に割れ目が入っている症状を歯根破折と呼びます。軽度な歯根破折ではなく、神経にまで達している状態でしたら、抜歯の処置が必要です。
5. 歯が変色した
歯の色がぶつけた直後にピンク色になり、その後白く戻れば問題はありません。ただ、ぶつけてしばらく経って茶色や黒色に変色したならば、その歯の神経が死んでいる状態です。そのまま放置しておくと、歯根の周囲で新たな病気になったり、歯茎が腫れる可能性があります。神経が死んでいる場合は、抜歯をおすすめする場合があります。
歯科医院への受診のタイミング
子供が歯をぶつけた場合、見た目に大きな損傷がないように見えても、内部に問題があることがあります。そのため、次のような状況では、すぐに歯科医院を受診することが推奨されます。
- 歯がぐらぐらしている場合
- 歯の色が変わり始めた場合(歯が黒ずむ、青くなるなど)
- 持続的な痛みや違和感がある場合
- 歯ぐきや唇が大きく腫れている場合
特に永久歯の場合、早期の処置が将来的な歯の健康に大きく影響するため、何か異変があればすぐに歯科医に相談することが大切です。
歯をぶつけた後の注意点
歯をぶつけた後は、以下の点に注意して観察を続けましょう。
- 食事に注意する・・柔らかい食事を選び、硬いものや粘着性のある食べ物は避けます。
- 痛みや腫れが続く場合・・軽度の痛みや腫れは数日で収まることが多いですが、長引く場合は再度歯科医院を受診してください。
- 変色がないか確認する・・ぶつけた歯が黒ずんだり変色した場合、内部で血流が止まっている可能性があるため、早めに診察を受ける必要があります。
歯の外傷を予防するには
最後に、子供が歯をぶつけないようにするための予防策を追加するのも有効です。特にスポーツをしている子供には、マウスガードの着用が転倒や子供同士の接触事故からお口を守ります。
- マウスガードを使用する・・スポーツやアクティビティ中にマウスガードを使用することで、歯を守ることができます。カスタムメイドのマウスガードは、よりフィット感が良く、効果的です。
- 安全な遊び場を提供する・・滑り台やブランコなどの遊具を使用する際は、転倒や衝突のリスクが少ない場所を選ぶことが大切です。
子供が歯をぶつけた際の対処法に関するQ&A
子供が歯をぶつけた際は、痛みの継続、歯の具合や色を確認します。痛みが長く持続する場合や、歯に異変が見られる場合は歯科医に連絡し、診察を受けることが必要です。
歯が小さく欠けた場合は歯科用の樹脂を詰めます。大きく欠けた場合は、神経治療やクラウン治療が必要な場合があります。
ひびが入った歯は、ひびが神経に達している場合は抜歯が必要な場合があります。歯科医に相談することが重要です。
まとめ
転び方で頭を打っているかもしれない場合は、脳外科を優先的に受診しましょう。子供はどうしても転びがちですし、親の目が行き届かない場所(保育園や幼稚園、学校など)がありますが、少しでも「以前と違う」と思われる部分がありましたら、病院へ連れて行くようにしてください。