小さな虫歯を治療する際に、コンポジットレジン(CR)で小さな虫歯を詰める保険治療を受けたことのある方もおられると思います。コンポジットレジンで小さな虫歯を詰める場合の治療方法についてご説明します。
コンポジットレジンで詰める治療とは
レジンでの治療は保険治療と自費治療があり、治療する場所や範囲によって変わります。
小さな虫歯の場合に、虫歯の部分を削り取って歯科用の硬化プラスチックの白いレジンのペーストを歯に直接詰めて光を当てて固めます。この治療法のことをコンポジットレジン充填と呼びます。
保険適用のレジンは強度が弱いため、噛む力が強い方の場合はレジンではなく銀歯か自費診療のセラミックをおすすめする場合があります。
保険診療でのレジンでの治療は小さな虫歯に限定されますので、治療時間はあまりかかりません。
コンポジットレジンの治療の流れ
コンポジットレジン充填の治療は以下のような手順で行います。
STEP1 虫歯を取り除く
歯を削って虫歯の部分のみを取り除きます。虫歯が大きい場合はコンポジットレジンでは治療できない場合があります。既に詰め物がある場合は、詰め物を除去します。
STEP2 レジンを直接歯に詰めて光を照射して固める
歯科用接着剤を歯に詰めて、専用の照射器で光を当てて固めます。その上にペースト状のコンポジットレジンを詰めて再び光を3秒~5秒程度当てて固めます。
STEP3 表面を滑らかに研磨する
固まったコンポジットレジンを削って形を整えていきます。その後表面を削って滑らかにします。
コンポジットレジンのメリット
1. 隙間なくピッタリ詰めることができる
コンポジットレジンで詰める治療は、歯に直接ペースト状のレジンを詰めていきます。型取りで詰め物や被せ物を作る場合と比べると、歯を削った面に隙間なく詰めることが出来ます。
詰め物や被せ物と歯の面がピッタリフィットしていない場合は、詰め物や被せ物を接着するためのセメントと呼ばれる接着剤と歯の間に小さな隙間が出来てしまいます。その僅かな隙間から虫歯菌が歯の内部に入ってしまうリスクがあり、それを二次虫歯といいます。
コンポジットレジン充填をする時に使用する接着剤はセメントよりは厚みがなく、レジンをピッタリと歯に接着することが出来ます。これにより、二次虫歯のリスクが少なくなります。
2. 歯を削る量が少ない
詰め物や被せ物を型取りによって作製する場合は、歯の削った部分の形を整える為に多めに削る必要があります。一方コンポジットレジン充填では、虫歯の部分のみを削り取るだけで済みますので、歯を余計に削ることがありません。
3. 1回で治療が終わる場合が多い
コンポジットレジン充填は虫歯を削ってすぐにコンポジットレジンを詰めることが出来ますので、通常は治療が1回で済みます。
詰め物や被せ物の場合は、型取りをしてから技工所に詰め物や被せ物の作製を依頼します。そのため最低2回の通院が必要になります。
4. 治療直後は詰め物が全く目立たない
コンポジットレジンは歯と殆ど同じ色で詰めることが出来ますので、治療直後は完全に歯と馴染んで目立ちません。しかしレジンは着色しやすい為、数年経つと着色が目立つ可能性があります。
5. 金属アレルギーを起こさない
コンポジットレジンは、レジンとガラスで出来ている材料で、金属アレルギーを起こすことはありません。
コンポジットレジンのデメリット
コンポジットレジンには幾つかのデメリットもあります。
1. 強度が低い
コンポジットレジンは金属やセラミックの詰め物・被せ物と比べてr強度が弱いため、噛む力の強い方の奥歯に使用すると欠けたり割れることがあり、数年で治療をやり直さなければならない可能性があります。
また強度の問題があるため、小さな虫歯のみにしか使用出来ません。
2. 変色しやすい
コンポジットレジンは素材がプラスチックなので食べ物による着色が起こりやすいという特徴があります。もし着色が気になった場合は、歯のクリーニングである程度きれいになりますし、レジンの表面を研磨することで白さを取り戻せます。
ただし、歯とレジンの境目が着色によって1本の細い線が入ったように見える場合は、もう一度歯を削ってレジンを詰め直す必要があります。
3. 歯科医師によって仕上がりが違う
歯に直接レジンを詰めていくため、歯科医師によって出来栄えが違ってきます。レジンを詰めて光で固めた後、表面が滑らかになるように研磨しますが、どの位きれいに研磨できるかでも、仕上がりが変わってきます。
自費診療のコンポジットレジン「ダイレクトボンディング」
ダイレクトボンディングは、歯科用のコンポジットレジン(CR)で歯を直接修復していく方法です。
前歯がほんの少し欠けてしまった場合に、欠けた部分だけをコンポジットレジンで作り足して修復するという治療が可能です。
前歯の中心がすきっ歯になっている方の場合も、コンポジットレジンで隙間の部分を埋めることが出来ます。
前歯の修復においては、CRを充填して歯の形を作る作業も大切ですが、その後に行う研磨も重要な作業となります。きちんと研磨することで歯の表面が滑らかになり、汚れがつきにくい状態に仕上げることが出来ます。
まとめ
コンポジットレジンを用いた小さな虫歯の治療は、保険適用範囲内で迅速かつ効果的に行えます。この方法は、歯を削る量を最小限にし、隙間なくピッタリとフィットさせて詰めることができ、一般的には一回の治療で完了します。
また、金属アレルギーの心配がなく、自然な見た目が魅力です。しかし、強度が低く着色しやすい点や、歯科医師の技術に左右される結果となることもデメリットとして考慮すべきです。
コンポジットレジンを選択するか否かは、その虫歯の大きさや場所と患者さんのニーズによって決定することになります。