
夏場によく飲まれるスポーツドリンクは、砂糖が多く含まれており、酸性度も高いことから、虫歯になるリスクが高い飲み物といわれます。虫歯にならないためにはスポーツドリンクとどう付き合えばいいのかご説明します。
目次
スポーツドリンクとは?その成分と役割
スポーツドリンクは、運動中や運動後の体の水分補給やエネルギー補充を目的とした飲料です。主に、電解質(ナトリウムやカリウムなど)や糖類が含まれており、体内のバランスを保つために使用されます。しかし、こうした飲み物には糖分が多く含まれていることがあり、特に日常的に摂取することで、口内の健康に影響を与える可能性があります。
スポーツドリンクに含まれる成分
- 糖類(砂糖、ブドウ糖、果糖)
- 電解質(ナトリウム、カリウム)
- 水分
- 酸味料(クエン酸など)
これらの成分が虫歯の原因となり得るため、特に歯のケアが必要です。
スポーツドリンクが虫歯に与える影響とは?
スポーツドリンクの最大の問題点は、その高い糖分含有量と酸性度です。糖分は、虫歯の原因菌であるミュータンス菌のエサとなり、これが歯垢を作り出します。歯垢は歯の表面に残り、酸を生成し、その酸が歯のエナメル質を侵食します。この酸による侵食が進むと、虫歯が発生しやすくなります。
さらに、スポーツドリンクの酸性成分(クエン酸など)が歯のエナメル質を直接溶かし、歯を脆くするため、虫歯のリスクをさらに高めるのです。
スポーツドリンクは砂糖の含有量が多く、酸性度が高いため虫歯の原因になる
市販されているスポーツドリンク500mlの中には、エネルギーを補うために約30gの砂糖(スティックシュガー10本分)が含まれています。
砂糖は虫歯菌(ミュータンス連鎖球菌)のエサとなり、虫歯菌の出す酸が歯の表面のエナメル質を溶かして虫歯になってしまいます。つまり、スポーツドリンクをとりすぎると、虫歯菌によって多量の酸がつくられてむし歯ができやすくなります。
さらに重要なのは、市販の一般のスポーツドリンクはpH3.5で、意外に酸性度が高く、歯にダメージを与えるということです。スポーツドリンクをたくさん飲むと、虫歯菌の出す酸に加えて、スポーツドリンク自体が酸性の飲み物であることから、虫歯ができやすくなってしまいます。
暑い季節に熱中症から身体を守るためのスポーツドリンク

熱中症から身体を守るために気をつけたいのは、体温調節と水分補給、ミネラル補給です。特に炎天下の屋外でスポーツをする人や、子供や高齢者にとっては、喉が渇く前に水分を補給することが大切といわれます。
スポーツドリンクは、汗で失われた水分や電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム)と運動で消費したエネルギーをすばやく補給できるため、真夏の熱中症対策に役立ちます。
むし歯リスクを減らすためのスポーツドリンクの飲み方

スポーツドリンクには砂糖が多量に含まれており、酸性度も高いことから、虫歯にならないように飲みかたを工夫しなければ、虫歯のリスクが高まります。
アスリートの皆さんは、日常的にスポーツドリンクを摂取しているため、それ以外の人々と比べると虫歯や歯のエナメル質が溶ける酸蝕症(さんしょくしょう)の発症率が高いことが、国内外の研究成果からわかっています。
その一例としては、2012年のロントンオリンヒック参加選手278名を対象に行なわれた調査の結果、虫歯になっている人の率は55.1%、酸蝕症の人は44.6%もの高い値となりました。
虫歯になるリスクが高いとはいえ、アスリートにとっては運動時の積極的な水分補給が必要不可欠です。スホーツトリンクを一切口にしないという選択肢はありません。そこで、歯に対するリスクを軽減する飲みかたをご提案します。
1.スポーツドリンクはゴクゴクと一気に飲む
歯のエナメル質が溶けないようにするには、スポーツドリンクを少しずつ飲んだり、飲んだ後口の中に暫く貯めて味わうのは厳禁です。
一気にゴクゴク飲んで、出来るだけスポーツドリンクが歯に触れる時間を短くしましょう。また、ホトルからじかに飲んだり、コップから飲むよりは、ストローを口の奥まてくわえて飲んたほうか、虫歯や酸蝕症のリスクは下がります。
2.スポーツドリンクを飲む時季

汗をかいて体力を消耗する真夏には、スポーツドリンクを飲んで水分やミネラルの補給をするのが良いですが、涼しい季節なら冷やした水やお茶で十分です。
3. スポーツドリンクを飲むタイミングと虫歯リスクの関係
飲むタイミングも虫歯リスクに大きく関係しています。運動後すぐに飲むことが推奨されるスポーツドリンクですが、その後、長時間にわたって歯垢が口内に残ると、虫歯のリスクが高まります。特に夜間、寝る前に飲む場合、唾液の分泌が少なくなるため、虫歯が進行しやすくなります。
虫歯リスクを高めるタイミング
- 運動後、すぐに口をゆすがない場合
- 寝る前にスポーツドリンクを摂取した場合
- 何度も少しずつ飲み続ける「ちびちび飲み」の習慣
スポーツドリンクと虫歯に関するQ&A
スポーツドリンクは大量の砂糖を含み、酸性度も高いため、これが虫歯菌の増殖や歯のエナメル質を溶かす要因となり、虫歯を引き起こすリスクが高まります。
スポーツドリンクを飲んだ後は、できるだけ早く口をゆすぐか、歯を磨くことが虫歯のリスクを減らすためには推奨されます。
人工甘味料を使用したスポーツドリンクは砂糖に比べて虫歯リスクを下げる可能性はありますが、それでも酸性度は問題となる可能性があります。
まとめ

歯になるべくダメージをあたえないためのスポーツドリンクの飲み方についてご説明しました。アスリートにとっては真夏の熱中症を防ぐ為に必須ともいえるスポーツドリンクですが、飲み方を工夫することで、虫歯や酸蝕症にならないように気をつけましょう。