虫歯

虫歯が出来るのはどうして?

虫歯が出来るのはどうして?

心斎橋クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 山田 秀史

歯をしっかり磨いていても虫歯になってしまう方がおられます。どうして虫歯が出来るのかを知れば、予防方法がわかります。

虫歯が出来る理由は虫歯菌への感染

虫歯菌

虫歯は、歯の表面についた歯垢(プラーク)や歯石の中にいる細菌によって起こる感染症です。細菌は糖をエサにして酸を出し、酸は歯の表面のエナメル質を溶かしてしまいます。軽度の初期虫歯であれば唾液の再石灰化という働きで自然治癒しますが、再石灰化が追い付かないと歯に穴があいてしまいます。

ミュータンス菌は赤ちゃんの時には口の中に存在していません。家族からの食器の共用などで虫歯菌が家族から赤ちゃんの口の中にうつってしまいます。近年は虫歯が感染症で親から子にうつることが多いという情報がかなり行き渡り、その結果赤ちゃんにうつさないように気をつける親御さんが増え、子供の虫歯は減ってきています。

子供の虫歯感染で一番気をつけたい時期は、乳歯が生え揃う3歳頃までです。乳歯はどうせ生え変わると思われるかもしれませんが、乳歯が虫歯になると永久歯の萌出に影響が出ますので、出来るだけ虫歯に感染しないことが望ましいです。

虫歯ができるメカニズム

酸によるエナメル質の破壊

虫歯は、口腔内の細菌が食物に含まれる糖を分解し、酸を生成することでエナメル質を溶かすことから始まります。この酸によって歯の表面が侵食され、最初は目に見えない小さな穴が開き、次第に大きくなっていきます。

ミュータンス菌の役割

虫歯の原因となる主な細菌はミュータンス菌です。この菌は歯の表面に付着し、糖をエサに酸を作り出します。ミュータンス菌の量が多い人ほど、虫歯になりやすいとされています。

口腔内に細菌はどのくらいいるの?

お口の中には多くの細菌が棲んでいて、歯磨きをしっかりしている方は1000億~2000億個、あまり歯磨きをしていない方は4000億~6000億個、殆ど歯磨きをしない方は1兆個を超えるともいわれています。

食生活の虫歯への影響

糖分摂取の頻度とリスク

糖分を含む食べ物や飲み物を頻繁に摂取すると、ミュータンス菌が活発になり、虫歯のリスクが高まります。特にスナック菓子やソフトドリンクなど、糖分が多い食品を頻繁に摂る人は注意が必要です。

間食の回数

食事の回数が多いほど口内に酸が長時間留まり、エナメル質が酸にさらされる時間が増えるため、虫歯になりやすくなります。

口腔ケアが不十分な場合

歯磨きがきちんとできていない

歯磨きが不十分だと、歯垢(プラーク)が歯に溜まりやすくなり、細菌が繁殖する環境が整います。歯垢は酸を作り出す細菌の住処であり、これを適切に取り除かないと虫歯が進行します。特に、奥歯や歯と歯の間など、磨き残しが多い部位は虫歯のリスクが高まります。

デンタルフロスを使っていない

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の歯垢を完全に取り除くことはできません。デンタルフロスを使用しないと、歯の隙間に残った歯垢が原因で虫歯が進行することがあります。

唾液の役割と分泌不足

唾液の自浄作用

唾液には、口腔内の酸を中和し、食べ物の残りカスや細菌を洗い流す役割があります。唾液が十分に分泌されると、虫歯のリスクが下がります。食後に唾液が多く出る人は、口内の酸を早く中和し、エナメル質の修復を促進します。

ドライマウス(口腔乾燥症)

唾液の分泌量が少ないと、虫歯ができやすくなります。特に加齢や薬の副作用で唾液が少なくなると、虫歯のリスクが高まります。

遺伝や体質の影響

エナメル質の強さの違い

人によってエナメル質の強度は異なり、生まれつきエナメル質が薄い、または弱い人は虫歯になりやすい傾向があります。遺伝的な要因も大きく影響し、家族に虫歯が多い場合、同じリスクを抱えていることがあります。

生活習慣とライフスタイルの影響

不規則な食事やスナック習慣

不規則な食事や頻繁な間食は、虫歯の原因になります。食事の回数が増えると、酸が歯に与える影響が繰り返され、エナメル質がダメージを受けやすくなります。

飲酒や喫煙

アルコールやタバコも、口腔内環境に悪影響を与え、虫歯のリスクを高めます。アルコールは口腔内を乾燥させ、唾液の分泌を抑えるため、虫歯ができやすくなります。喫煙も歯や歯茎にダメージを与え、歯の健康を損ないます。

口腔内のミュータンス菌を減らすには?

虫歯予防のためには、お口の中からミュータンス菌の数を減らすことが大切です。しかし、ミュータンス菌のみを減らすことは出来ませんので、お口全体から細菌を減らす対策を行います。

セルフケアケアでの虫歯予防

デンタルケアグッズ
  • 歯磨き・・歯磨きで食べカスや歯垢を除去して口の中の菌の量を減らす
  • フッ化物を使う・・歯磨き剤や洗口剤を利用する
  • 唾液の量を増やす・・よく噛んで唾液を出す。お口の体操をする
  • 食後すぐに歯を磨く・・食べ物が口の中に停滞している時間を短くする
  • 食習慣を変える・・糖質が多く含まれる食べ物を避ける
  • だらだら食べない・・口の中が酸性に傾く時間を減らして中性にする

歯科医院でのクリーニングで虫歯予防

定期健診

歯科医院でのクリーニングでは、主に歯磨きで落ちない汚れや歯垢、歯石を落とし、お口の中を清潔にします。

  • 歯と歯の間の歯垢をクリーニングで除去する
  • 歯と歯茎の間の歯垢をクリーニングで除去する
  • 歯石を除去する

ホームケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアで、虫歯菌を増やさないように予防しましょう。

どのような要因によって出来るのか?

虫歯が引き起こされるために関係のある要因をまとめた図は「ニューブランの輪」と呼ばれています。虫歯になる要因がわかれば対策方法がわかり、予防が出来ます。予防には正しい知識を持つことが大切です。

虫歯は、下の図のように4つの条件が重なると発生するといわれています。

虫歯の主な発生要因の関わりを示す図

1.歯質について

歯質とは、歯自身の強さ、唾液の質と量、歯並びなどのことをいいます。歯質はフッ化物を使うことによって強化することが出来ますが、効果を感じられるまでにはある程度の期間続ける必要があります。

2.細菌について

虫歯菌の代表として良く知られているのはミュータンス菌で、ミュータンス菌の数が多いと虫歯になるリスクが高まります。虫歯菌の数は人によって違い、1日の中でも変化します。歯磨きなどのセルフケアで細菌を出来るだけ減らすようにしましょう。

3.時間について

一般的に食事のあと30分以内に歯を磨くことが推奨されますが、それは歯磨きまでの時間が長くなると、細菌が繁殖してリスクが高まるからです。食後8時間程度で食べカスや歯についた汚れから歯垢が作られ、48時間ほどたつと歯垢は歯石に変わります。

そうなる前に歯磨きで歯垢を出来るだけ取らなければなりません。食後のキシリトールガムも予防に効果的です。

4.糖質について

ミュータンス菌は糖質をエサにして酸を作り出し、歯を溶かしていきます。そのためお口の中に糖がある状態が長くならないように、食事や間食は時間を決めてダラダラと食べ続けないようにしましょう。

食物だけでなく、ジュースや炭酸飲料などにも砂糖がたくさん含まれていますので、ジュースなど砂糖が含まれている飲み物を飲んだら、水を一口飲むなどの工夫をしましょう。

まとめ

虫歯にならないためには、以下の点に気をつけましょう。

  • フッ化物を含んだ歯磨き剤や洗口剤をを使って歯を強くする
  • ものを食べたらなるべく早く口の中を中性に戻す
  • 間食を減らし細菌にエサを与える機会を減らす
  • 糖質の摂取を減らす
この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

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心斎橋クローバー歯科・矯正歯科

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