歯をしっかり磨いていても虫歯になってしまう方がおられます。どうして虫歯が出来るのかを知れば、予防方法がわかります。
虫歯が出来る理由は虫歯菌への感染
虫歯は、歯の表面についた歯垢(プラーク)や歯石の中にいる細菌によって起こる感染症です。虫歯菌は糖をエサにして酸を出し、酸は歯の表面のエナメル質を溶かしてしまいます。軽度の初期虫歯であれば唾液の再石灰化という働きで自然治癒しますが、再石灰化が追い付かないと歯に穴があいてしまいます。
ミュータンス菌は赤ちゃんの時には口の中に存在していません。家族からの食器の共用などで虫歯菌が家族から赤ちゃんの口の中にうつってしまいます。近年は虫歯が感染症で親から子にうつることが多いという情報がかなり行き渡り、その結果赤ちゃんに虫歯をうつさないように気をつける親御さんが増え、子供の虫歯は減ってきています。
子供の虫歯感染で一番気をつけたい時期は、乳歯が生え揃う3歳頃までです。乳歯は虫歯になってもどうせ生え変わると思われるかもしれませんが、乳歯が虫歯になると永久歯の萌出に影響が出ますので、出来るだけ虫歯に感染しないことが望ましいです。
口腔内に細菌はどのくらいいるの?
お口の中には多くの細菌が棲んでいて、歯磨きをしっかりしている方は1000億~2000億個、あまり歯磨きをしていない方は4000億~6000億個、殆ど歯磨きをしない方は1兆個を超えるともいわれています。
口腔内のミュータンス菌を減らすには?
虫歯予防のためには、お口の中からミュータンス菌の数を減らすことが大切です。しかし、ミュータンス菌のみを減らすことは出来ませんので、お口全体から細菌を減らす対策を行います。
ホームケアで出来る虫歯予防
- 歯磨き・・歯磨きで食べカスや歯垢を除去して口の中の菌の量を減らす
- フッ化物を使う・・歯磨き剤や洗口剤を利用する
- 唾液の量を増やす・・よく噛んで唾液を出す。お口の体操をする
- 食後すぐに歯を磨く・・食べ物が口の中に停滞している時間を短くする
- 食習慣を変える・・糖質が多く含まれる食べ物を避ける
- だらだら食べない・・口の中が酸性に傾く時間を減らして中性にする
歯科医院でのプロフェッショナルケアで虫歯予防
歯科医院でのプロフェッショナルケアでは、主に歯磨きで落ちない汚れや歯垢、歯石を落とし、お口の中を清潔にします。
- 歯と歯の間の歯垢をクリーニングで除去する
- 歯と歯茎の間の歯垢をクリーニングで除去する
- 歯石を除去する
ホームケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアで、虫歯菌を増やさず、虫歯にならないように予防しましょう。
虫歯はどのような要因によって出来るのか?
虫歯が引き起こされるために関係のある要因をまとめた図は「ニューブランの輪」と呼ばれています。虫歯になる要因がわかれば対策方法がわかり、虫歯の予防が出来ます。虫歯予防には正しい知識を持つことが大切です。
虫歯は、下の図のように4つの条件が重なると発生するといわれています。
1.歯質について
歯質とは、歯自身の強さ、唾液の質と量、歯並びなどのことをいいます。歯質はフッ化物を使うことによって強化することが出来ますが、効果を感じられるまでにはある程度の期間続ける必要があります。
2.細菌について
虫歯菌の代表として良く知られているのはミュータンス菌で、ミュータンス菌の数が多いと虫歯になるリスクが高まります。虫歯菌の数は人によって違い、1日の中でも変化します。歯磨きなどのセルフケアで虫歯菌を出来るだけ減らすようにしましょう。
3.時間について
一般的に食事のあと30分以内に歯を磨くことが推奨されますが、それは歯磨きまでの時間が長くなると、虫歯菌が繁殖して虫歯のリスクが高まるかrです。食後8時間程度で食べカスや歯についた汚れから歯垢が作られ、48時間ほどたつと歯垢は歯石に変わります。
そうなる前に歯磨きで歯垢を出来るだけ取らなければなりません。食後のキシリトールガムも虫歯予防に効果的です。
4.糖質について
ミュータンス菌は糖質をエサにして酸を作り出し、歯を溶かしていきます。そのためお口の中に糖がある状態が長くならないように、食事や間食は時間を決めてダラダラと食べ続けないようにしましょう。
食物だけでなく、ジュースや炭酸飲料などにも砂糖がたくさん含まれていますので、ジュースなど砂糖が含まれている飲み物を飲んだら、水を一口飲むなどの工夫をしましょう。
虫歯が出来るのはどうしてに関するQ&A
虫歯菌は糖分をエネルギー源として利用し、その代謝過程で酸を産出します。この酸が歯の表面のエナメル質を溶かし、虫歯を引き起こします。
唾液の再石灰化は、唾液中に含まれるカルシウムやリン酸が、酸によって溶かされた歯の表面を修復する現象を指します。
乳歯が虫歯になり深く進行すると、その下に発育中の永久歯へ感染を広げる可能性があります。また、乳歯の早期喪失は永久歯の正常な位置関係を妨げることがあります。
まとめ
虫歯にならないためには、ニューブランの輪の真ん中の重なっている部分を小さくする必要があります。それには、以下の点に気をつけましょう。
- フッ化物を含んだ歯磨き剤や洗口剤をを使って歯を強くする
- ものを食べたらなるべく早く口の中を中性に戻す
- 間食を減らし虫歯菌にエサを与える機会を減らす
- 糖質の摂取を減らす