詰め物・被せ物

被せ物が割れてしまう原因は?知っておきたい理由と予防のポイント

被せ物が割れてしまう原因は?知っておきたい理由と予防のポイント

「せっかく入れた被せ物が割れてしまった…」そんな経験ありませんか?

「高いお金を払って治療したのに、また通院することに…」
「鏡を見たらヒビが!どうしたらいいの?」
そんなふうに、不安やショックを感じたことのある患者さんも少なくありません。

特にセラミックなどの白い被せ物は、見た目はとても自然でキレイですが、思わぬ拍子でヒビが入ったり割れたりすることがあります。
日々の生活の中で、実は私たちが無意識にかけている負担が原因となっていることも。

まずは、被せ物が割れてしまう背景と、そこから起こるリスクについてしっかり理解しておきましょう。

放置するとどうなる?割れた被せ物が招くさらなるトラブル

「少し欠けただけだから、まぁいいか…」
と思って放置してしまうと、後々もっと大きな問題につながることがあります。

よくあるリスク

虫歯の再発や進行
→ 被せ物の割れ目から歯垢や細菌が侵入し、内部で虫歯が広がってしまうことがあります。特に神経を取った歯は痛みを感じにくいため、気づいたときにはかなり進行しているケースも…。

知覚過敏や歯の痛み
→ 被せ物のヒビから刺激が伝わると、冷たいものや熱いものがしみることがあります。放っておくと、食事や会話にも支障をきたすことに。

噛み合わせがズレる
→ 割れた部分が段差になり、他の歯に不均等な力がかかるように。これが続くと、顎関節症や不正咬合のリスクが高まります。

見た目の違和感や劣化
→ 前歯など目立つ部分では、被せ物が割れることで見た目の印象も大きく変わってしまいます。

こうしたトラブルは、早期の対応で回避できる場合が多いです。
「少し気になるな」と思ったら、遠慮せず歯科医院でチェックを受けましょう。

被せ物が割れてしまう主な原因とは?

割れてしまう原因

被せ物の割れには、さまざまな原因が複雑に関係しています。
ここでは代表的な5つの要因を詳しく見ていきましょう。

歯ぎしりや食いしばりのクセ
→ 夜間の無意識な歯ぎしりや、集中時の食いしばりが繰り返されることで、想像以上の力が被せ物にかかります。特に奥歯は強い力が加わるため、割れやすくなります。

噛み合わせのバランス不良(不正咬合)
→ 全体の噛み合わせがうまく調和していないと、特定の歯にだけ負荷が集中してしまい、被せ物がヒビ割れたり、部分的に破損する原因に。

素材の特性と選択ミス
→ セラミックなどの素材は審美性が高い反面、強い衝撃にはやや弱い面もあります。力のかかる部位では、ジルコニアなどの高強度素材を選ぶことが重要です。

時間の経過による劣化
→ 長年使用することで、微細なヒビや摩耗が蓄積され、最終的に割れてしまうことがあります。特に10年以上経過している被せ物はチェックが必要です。

土台(支台歯)の弱りやむし歯
→ 被せ物の土台となる歯がむし歯になっていたり、歯根が割れていると、支えが不安定になり、被せ物にも悪影響を与えます。

一見関係なさそうな生活習慣が、実は割れの原因になっていることもあります。患者さんご自身では気づきにくいため、プロの目で定期的にチェックしてもらうことが大切です。

被せ物が割れやすい生活習慣とは?日常のNG行動に要注意

割れやすい生活習慣

「ちゃんと治療したはずなのに、どうしてまた割れたの?」
そんなとき、原因は治療そのものではなく、日常生活のちょっとしたクセや行動に潜んでいることがあります。

実は、患者さんが無意識にやっている行動の中に、被せ物を傷めてしまうリスクが隠れているんです。

こんな生活習慣、していませんか?

片側だけで噛むクセ
→ 虫歯や歯並びの影響などで左右どちらか一方だけで噛むクセがあると、特定の被せ物にばかり負荷がかかります。その結果、片側だけ先に割れてしまうことも。

頬杖・歯を使ってモノを開ける
→ テレビを見ながら頬杖をつくクセや、歯でビニール袋を開けるなどの行動は、被せ物に横方向の負荷をかける危険な習慣です。

寝ている間の歯ぎしりや食いしばり
→ 自覚のないケースが多いですが、ナイトガードを使っていない場合、就寝中の強い圧力で被せ物が徐々にダメージを受けます。

ストレスの多い生活
→ ストレスがたまると無意識に奥歯に力が入ることがあり、慢性的な食いしばりにつながります。これも割れやすさに直結。

硬いもの・ネバつくものをよく噛む
→ 氷、スルメ、ハードキャンディなどを日常的に食べる方は要注意。ネバつくガムやキャラメルも、被せ物が外れる原因になります。

習慣の見直しが、被せ物の寿命を延ばす第一歩!

どんなに丈夫な素材でも、「ずっと同じ場所に過度な力が加わる状態」ではやっぱり割れてしまいます。
とはいえ、「噛む力をゼロにする」なんて無理ですから、生活習慣のバランスを見直すことが何より大切なんです。

被せ物を長く快適に使い続けるためには…

  • 「両側でバランスよく噛む」
  • 「ナイトガードを使う」
  • 「ストレスを溜めすぎない工夫をする」
  • 「硬いものは意識して避ける」

など、ちょっとした心がけが大きな差を生みます。

「自分はどうかな?」と気になった方は、次回の健診で歯科医師に普段のクセについて相談してみるのもオススメですよ。

割れを防ぐためにできること~長持ちさせるコツ~

割れにくい被せ物にするには、「作って終わり」ではなく、日々のケアと生活習慣がカギになります。

被せ物を長持ちさせるためのポイント

歯ぎしり対策を行う
マウスピース(ナイトガード)を使用することで、就寝中の過度な圧力から被せ物を守ることができます。

咬み合わせの調整
被せ物の高さが合っていないと一部に負荷がかかるため、必要に応じて調整が必要です。

硬いものを噛むのは避ける
氷・飴・スルメなど、硬い食品はできるだけ控えることで被せ物の破損リスクを下げられます。

丁寧な歯磨きとケア
歯垢の除去を心がけて、土台の歯や歯ぐきを健康に保つことで、間接的に被せ物も守れます。

定期的な健診でチェック
ヒビや擦り減りは初期の段階では自覚しにくいため、半年ごとの健診でのチェックが効果的です。

これらを実践することで、被せ物の寿命が5年、10年と長くなります。
トラブルの予防こそ、最も安心で費用対効果の高い方法と言えるでしょう。

再治療はお早めに!適切な被せ物選びとケアが大切

「割れたらすぐやり直し」と思うかもしれませんが、再治療には時間・費用・歯への負担がかかります。再治療を繰り返すたびに、歯の寿命自体が縮んでしまうことも。

だからこそ、「どう選ぶか」「どう守るか」がとても重要です。

素材選びのポイント

奥歯には強度重視の素材を
→ ジルコニアやメタルボンドなど、割れにくい素材が適しています。

前歯には審美性を重視
→ 見た目を大事にしたい部位では、セラミックが自然な仕上がりになりますが、破損リスクを踏まえて設計を丁寧に行う必要があります。

患者さん一人ひとりの咬み方や癖、生活スタイルに合った選択を歯科医師と一緒に行うことで、割れにくく満足度の高い被せ物治療につながります。

まとめ

気になる方は歯科医院での相談が第一歩!

被せ物が割れてしまうのは、決して珍しいことではありません。でも放っておくと、歯の健康や見た目、機能面に大きな影響を与えてしまいます。

「まだ使えるかも…」と思っても、歯科医院でチェックを受けることが、トラブルを防ぐ近道です。無理なく、そして長く使える被せ物を保つために、今できることを少しずつ始めてみませんか?

この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

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心斎橋クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック