歯と口の基礎知識

症状別の歯磨き剤の選び方を教えて

症状別の歯磨き剤の選び方を教えて

心斎橋クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 山田 秀史

ドラッグストアに行けば、様々な薬効のある歯磨き剤が市販されており、どれにしようか迷うくらいです。症状別にどのような成分が配合されている歯磨き剤を選ぶべきかご説明します。

歯磨き剤は気になる症状別に選びましょう

歯磨き剤の主な目的は食べカスや歯垢をきれいに除去して、口の中の細菌を減らして清潔にすることです。

歯磨き剤だけで気になる症状が全てなくなるわけではありませんが、症状に合わせたものを選ぶことで、症状の悪化を防いだり緩和したりする働きが期待できます。

現在お悩みの症状に合った成分をチェックし、症状が少しでも改善させられるような歯磨き剤を見つけましょう。

虫歯予防用の歯磨き剤

虫歯になりやすい人は、歯の表面のエナメル質や象牙質の脱灰を防いで保護・修復し、再石灰化を促して虫歯を予防してくれるフッ素入りの歯磨き剤がおすすめです。現在市販されている歯磨き剤の約9割にフッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムといったフッ素が配合されています。

日本では従来フッ素の配合濃度の上限が1000ppmでしたが、2017年より1500ppmに拡大しました。これにより予防歯科先進国のスウェーデンをはじめとする欧米と同基準となりました。

歯周病予防用の歯磨き剤

歯周病予防のための歯磨き剤には、歯周病菌を殺菌するための塩化セチルピリジニウム(CPC)、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)などの殺菌剤が含まれています。

また、歯茎の腫れや出血を抑えたい場合は、トラネキサム酸(TXA)、塩化ナトリウム、桜葉エキスなどの成分が配合されていると効果が期待できます。

衰えてきた歯茎の細胞を活性化させる成分として、アラントインを配合した歯磨き剤もあります。歯茎への薬用作用の効果を高めるため、発泡剤・防腐剤・合成甘味料の無配号をうたったものもあります。

ホワイトニング用の歯磨き剤

海外の歯磨き剤に含まれているような漂白成分や過酸化尿素は、残念ながら日本で発売の認可を受けた市販の歯磨き剤には含まれいません。

そのため、歯そのものへのホワイトニング効果はありませんが、歯の表面のタバコのヤニやコーヒー、ワインなどの着色汚れを浮かせて除去するための成分として、ポリリン酸ナトリウムやポリエチレングリコール(PEG-8)などが配合された製品があります。

液体歯磨きの中には、炭酸水素ナトリウム粒子を、ホワイトニングパウダーとして配合したものもあります。

知覚過敏対策用の歯磨き剤

噛み合わせが悪くてエナメル質が擦り減ってしまったり、歯周病や歯ぎしり、加齢などによって歯茎が退縮して象牙質が露出すると、知覚過敏が起こります。

知覚過敏用の歯磨き剤には、痛みの緩和のために、歯の表面にイオンのアリアを形成して痛みの伝道を防ぐ目的の、硝酸カリウムが配合されています。

また、歯の中の神経への入り口をふさぐために乳酸アルミニウムを配合した歯磨き剤もあります。

口臭予防効果のある歯磨き剤

薬用成分CPC・IPMPの作用で、歯周病や虫歯を引き起こす細菌を殺菌し、細菌が原因で起こる口臭を予防します。メントールなどのさわやかなフレーバー入りの製品もお口がスッキリします。

その他のペースト、ジェル、液体タイプ

歯磨き剤には、ペーストタイプ、ジェル、液体など様々なタイプがあります。なかでも、もっとも一般的に使われているのはペーストタイプです。

ペーストタイプは研磨剤の粒子を高密度で含ませることが出来るため、着色汚れの除去や歯質の修復に向いています。

研磨剤が含まれていることが多いため、電動歯ブラシを使っている方や歯を強く磨きすぎる方の場合は、歯の表面のエナメル質を摩耗させたり歯茎を傷つけたりすることがあるので注意が必要です。

近年種類が増えているのが、液体の歯磨き剤です。20秒ほど口をすすいで吐き出した後、ペースト状の歯磨き剤と同様に、歯の表面や歯茎を磨きます。ジェルと同じように研磨剤無配号の製品が多く、過剰な研磨を防ぐのも液体歯磨き剤の特徴です。

歯磨き剤に必要な含有成分は年齢によって変わる

歯磨き剤は歯から食べカスや歯垢を除去してきれいに清掃するためのものです。ドラッグストアなどで市販されている歯磨き剤には、「効率良く歯垢を落とし、歯垢がつきにくくする」「着色汚れを落として本来の歯の色に戻す」などの効果のある薬効成分が含まれているものが多いため、ご自身に合ったものを選ぶことが大切です。

特に歯周病患者が増え始める30~40代は、今まで使っていた歯磨き剤を見直す時期ともいえます。歯周病予防のために、歯茎の血行促進や歯茎の引き締め、殺菌などの薬用成分に注目して歯磨き剤を選びましょう。

症状別の歯磨き剤の選び方に関するQ&A

フッ素入りの歯磨き剤はどのような効果がありますか?

フッ素入りの歯磨き剤は歯の表面を保護・修復し、再石灰化を促進して虫歯を予防します。

歯周病予防用の歯磨き剤の特徴は何ですか?

歯周病予防用の歯磨き剤には、殺菌剤や歯茎の腫れや出血を抑える成分が含まれています。

知覚過敏用の歯磨き剤の主な成分とその役割は何ですか?

知覚過敏用の歯磨き剤には、痛みを緩和するための硝酸カリウムや歯の神経への入り口をふさぐ乳酸アルミニウムが配合されています。

まとめ

歯磨き剤

オーラルケア用品はご自分の歯や歯茎のお悩みの解決のために必要な成分が入っているものを選んで使うことが大切です。大人の方は歯周病予防効果のある薬効成分の入った歯磨き剤を選びましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 心斎橋クローバー歯科・矯正歯科
院長 山田 秀史

2007年 松本歯科大学卒業。2011年 松本歯科大学大学院卒業。日本口腔外科学会認定医。アストラテックインプラント認定医。

▶プロフィールを見る

心斎橋クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック