虫歯にお困りの方がおられる一方で、一度も虫歯になったことのない方もおられます。虫歯になりにくい体質や生活習慣というのは実際にあると考えられます。虫歯になりにくい人にはどのような特徴があるのかについてご説明します。
虫歯になりにくい体質ってあるの?
虫歯になりにくい方は、まずお口の中に虫歯菌が少ない状態であることが考えられます。次に、唾液の質や量などの体質が関わってきます。虫歯になりにくい体質についてご説明します。
1. 口内に虫歯菌が少ない
虫歯菌は赤ちゃんの時期にお父さんやお母さんと箸やスプーンを共用することからうつる場合が多いです。感染の窓と言われる生後1才7ヶ月~2歳7ヶ月の時期に虫歯菌への感染がなければ、大きくなっても虫歯菌に感染する可能性は低く、虫歯がない、または虫歯の少ない子に育ちます。
近年では虫歯菌は親からうつる場合が多いということが広く知られるようになったため、赤ちゃんのいるご家庭では十分に注意されていることと思います。実際に虫歯にかかっている子供は減ってきています。
2. 唾液の質と量
唾液にはサラサラの唾液とネバネバの唾液の2種類があり、サラサラした唾液で分泌される量が多い方は虫歯になりにくいという特徴があります。逆にネバネバの唾液で量が少ない方は虫歯になりやすいです。
唾液は口腔内の食べカスやミュータンス菌などの細菌を洗い流す作用や殺菌する作用があります。唾液の量が少ないとしっかりと洗浄出来ませんし、唾液による殺菌効果も期待出来ません。
また、唾液には再石灰化作用があり、唾液が多いと歯から唾液の中に溶け出したミネラルが歯に再び取り込まれます。唾液が少ないと歯からミネラルが溶け出す脱灰の方が多くなり、再石灰化が追い付かなくなって虫歯になってしまいます。
唾液にはこの他にも、食事によって酸性に傾いたお口の中を中和させて中性に変えて虫歯になりにくくする働きがあります。
虫歯になりにくい生活習慣
虫歯に強い生活習慣を考える際には、虫歯になりやすい生活習慣の逆を考えるとわかりやすいと思います。
虫歯になりやすい人は①甘いものをよく食べる②間食が多い③詰め物・被せ物が多い③歯医者の定期健診を受けていない④歯磨きが十分に出来ておらず磨き残しがある、などがあげられます。
これらの逆が「虫歯になりにくい生活習慣」ということになります。
1.甘いものはあまり食べない
虫歯菌の好物は糖類ですので、甘いものが苦手、またはあまり食べない方は、虫歯菌にとって栄養となる糖類の摂取が少ないため、虫歯菌がお口の中で繁殖しにくいと考えられます。
のど飴やトローチにも砂糖が使われていると虫歯の原因になります。
シュガーレスのお菓子ならどうかといいますと、お菓子の味付けにクエン酸が使われる場合は、クエン酸によってお口の中が酸性になりますので、虫歯の原因になります。キシリトール100%のガムなどは虫歯の原因にはなりません。
2.間食をしない
間食が多いと、お口の中が酸性に傾いている時間が長く、虫歯になりやすくなります。間食をしない方は、お口の中が中性になっている時間が長く、更に間食によって歯に汚れや歯垢がつくことがありませんので、虫歯になるリスクが下がります。
3.詰め物・被せ物が少ない
歯に詰め物・被せ物があると、歯との隙間に虫歯菌が入り込んで虫歯になってしまいますが、治療の痕がなければ、そのようなことは起こりません。
4.歯の健康診断を受けている
歯の健康診断は、年に2~4回程度受診して頂くのが理想です。虫歯や歯周病のチェックの他、歯のクリーニングも行いますので、普段取れにくい歯と歯の間や歯と歯茎の間の歯垢や歯石をきれいに取ることができ、虫歯予防になります。
5.歯磨きが上手で磨き残しがない
毎日歯磨きをしていても、磨き残しが多いと歯垢や食べカスの中に細菌が増殖して虫歯の原因になりますが、きれいに磨けている場合はそのようなリスクが殆どありません。
虫歯になりにくい人の特徴に関するQ&A
はい、虫歯になりにくい体質というのは確かにあります。それには、口内に虫歯菌が少ない状態であることや、唾液の質や量が関わってきます。
甘いものをあまり食べない、間食をしない、詰め物・被せ物が少ない、歯の健康診断を受けている、歯磨きが上手で磨き残しがない、といった生活習慣が挙げられます。
間食が多いと、口の中が酸性に傾いている時間が長くなり、酸で歯が溶けて虫歯になりやすくなります。
まとめ
虫歯になりにくい人の特徴についてご説明しました。
歯磨きをサボっても虫歯にならない方がたまにおられます。うらやましいと思う反面、実は虫歯になりにくい方は日ごろから油断していると、歯周病になりやすいのです。虫歯になりやすい人は歯周病にはなりにくく、逆に虫歯になりにくい人は歯周病になりやすい傾向があります。
これには体質と、様々な生活習慣が関わっています。油断しているといつ何時虫歯や歯周病にならないとも限りませんので、地道に予防を続けていくのが良いと思います。